抗がん剤

膵臓がんもしくは、切除不能又は再発した非小細胞肺がんに用いるエルロチニブ

エルロチニブ(タルセバ)とは、内服抗がん剤で分子標的治療薬の1つであり、ゲフィチニブと同様に上皮成長因子受容体(EGFR)のチロシンキナーゼを選択的に阻害します。

エルロチニブは非小細胞肺がん患者に対して、ゲフィチニブでは現れなかった延命効果を示しました。

エルロチニブの製造元は米国OSIファーマシューティカルズ、販売元は米国ジェネンテック社であり、「タルセバ」はその商品名です。エルロチニブはとして用いられています。

エルロチニブの効果・効能は?

米国食品医薬品局(FDA)は2004年11月19日、エルロチニブを非小細胞肺がんに対する治療薬として認可しました。
その後、2005年11月2日にエルロチニブを、膵臓がんの治療薬として、ゲムシタビンとの併用療法において用いることを承認しました。

さらに日本では、2006年4月14日、中外製薬がエルロチニブの販売製造承認申請を厚生労働省に行い、2007年10月19日に承認されています。

この際の承認の条件として、「製造販売後、一定数の症例に係るデータが蓄積されるまでの間は、前症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講ずること」という条件が提示されたため、中外製薬では、3000例の症例の集積を目標として、30ヶ月にわたり全症例調査を実施しています。

がん細胞の増殖過程における指令系統を分子レベルでブロックする働きを持つ

エルロチニブは、チロシンキナーゼ阻害薬の一種のEGFR阻害薬(EGFR-TKI)であり、がん細胞の増殖過程における指令系統を分子レベルでブロックする働きを持ちます。

このエルロチニブの標的は、上皮成長因子受容体(EGFR)のチロシンキナーゼ(TK)であり、その化学構造をみるとキナゾリン系の小分子となっており、アファチニブ(ジオトリフ)、ゲフィチニブ(イレッサ)と同系統となっています。

肺がんにおいては、エルロチニブによるもの以外の標準的な化学療法の効果が悪い場合や無効な場合において、エルロチニブによる二次治療が試みられますが、この場合、EGFR遺伝子変異の有無を問わず、治療が行われることとなります。

もし、EGFR遺伝子変異陽性が確認された場合においては、はじめから一次治療薬としてエルロチニブを使用することができ、エルロチニブによってよい治療効果が得られる背景因子としては、このようにEGFR遺伝子変異が陽性であること、腺がんであること、非喫煙者であること、東洋人であること等が挙げられます。

なお、類薬であるゲフィチニブ(イレッサ)においては、EGFR遺伝子変異が陽性である場合のみ適応となります。

骨髄抑制にともなう血液障害の副作用はほとんど発生しないとされています。

エルロチニブにおいては、一般的な抗がん薬の使用時に多く発生している、骨髄抑制にともなう血液障害の副作用はほとんど発生しないとされています。

ただし、膵がんにおいては、ゲムシタビンとの併用療法を実施した場合に頻発します。

エルロチニブの使用によって、ほとんどの人にあらわれる副作用として皮膚症状があります。
この皮膚症状では、皮膚が乾燥して痒くなったり、ニキビのような発疹が発生したりしますが、ほとんどの場合、その症状は軽症となっています。

ただ、稀に水疱が発生して皮膚の皮がむけたり、化膿したりして症状が強くなる場合もありますので注意が必要です。

その次に多い症状としては、下痢の症状があり、その発症の頻度はおおよそ7割くらいとなっています。

下痢といえども、その症状が激しくなると脱水症状を発生することがありますので、このような症状が強い場合においては下痢止め薬や点滴で対処するようになります。

エルロチニブによる副作用で、もっとも重いものが間質性肺炎等の肺に発生する障害となっています。

このような肺障害の副作用はかなりの頻度で発生し、死亡例も報告されています。
そのため、その肺障害の初期症状である、息苦しさ、息切れ、から咳、発熱といった症状があらわれたら、早急に専門の医療機関で受診する必要があります。

その他にも、角膜潰瘍や肝障害、消化管潰瘍など注意を要する副作用が発生する可能性がありますので、少しでも普段と違う症状を感じたら、すぐに担当の医師に報告するようにしましょう。

【まとめ】分子標的薬一覧

リツキシマブ(リツキサン)
>>世界でベストセラーの抗がん剤

トラスツズマブ(ハーセプチン)
>>HER2蛋白に特異的に結合する事で抗腫瘍効果を発揮

タミバロテン(アムノレイク)
>>耐性急性前骨髄球性白血病に用いられる経口剤

ダサチニブ(スプリセル)
>>複数の細胞増殖に関係する酵素の働きを阻害する

トレチノイン(ベサノイド)
>>人間の体内に入ると細胞の遺伝子核に入り込む

セツキシマブ(アービタックス)
>>転移性大腸がん、EGFRの発現を伴わない頭頸部がんの治療

ゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ)
>>抗体薬物複合体の1つで、主に急性骨髄性白血病の治療に使用

ゲフィチニブ(イレッサ)
>>手術不能となってしまった非小細胞肺がんに対する治療薬

イブリツモマブチウキセタン(ゼヴァリン)
>>骨髄増殖性疾患等に使われる分子標的薬

ソラフェニブ(ネクサバール)
>>腎がん・肝細胞がんの治療に用いられる分子標的薬

エルロチニブ(タルセバ)
>>膵臓がんもしくは、切除不能又は再発した非小細胞肺がんに用いる分子標的薬

ボルテゾミブ(ベルケイド)
>>形質細胞性骨髄腫や多発性骨髄腫の治療に使用される分子標的薬

イマチニブ(グリベック)
>>Bcr-Ablを標的とした分子標的治療薬

エベロリムス(アフィニトール)
>>免疫抑制剤としての使用及び、腎細胞がん治療薬としても有用な分子標的薬

ラパチニブ(タイケルブ)
>>手術不能乳がんまたは再発乳がんに対し使用される分子標的薬




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