メピチオスタン(チオデロン)とは?効果・副作用は?

ステロイド系化合物のメピチオスタン(チオデロン)
メピチオスタン(チオデロン)とは、抗エストロゲン作用、アンドロゲン作用、アナボリックステロイド作用を持つステロイド系化合物です。
メピチオスタン(チオデロン)は、乳ガンの化学療法、腎不全で透析中の腎性貧血の治療にも応用されており、チオデロンはその商品名となっています。
メピチオスタンはエピチオスタノールの17位をエーテル化したプロドラッグです。
また、経口投与が可能な薬剤であるため、投与後、生体内で代謝されてエピチオスタノールを生じ、このエピチオスタノールが、例えば膣、子宮、乳腺といった標的器官のエストロゲン受容体に結合します。
そして、エストロゲンとエストロゲン受容体の結合を競合的に阻害し、その結果、エストロゲン作用を抑えるようになります。
このように、女性ホルモンであるエストロゲンの働きを抑制することから、エストロゲン依存性の乳ガンに有効となっています。
ただし、メピチオスタンは、乳ガンそのものを根治することは不可能であるため、乳がんの治療薬として、第一選択されることはありません。
メピチオスタンの薬理作用としては、ラット及び多血マウスにメピチオスタンを投与した場合、動物の赤血球59Fe摂取率が明らかに上昇したため、造血作用が確認されています。
この場合、骨髄幹細胞にメピチオスタンが直接作用し、骨髄中の赤芽球コロニー形成細胞であるCFU-Eを増加させることによって、造血効果を発揮していると考えられています。
また、メピチオスタンの抗エストロゲン作用の効果の強さを比較してみると、乳腺部位においてはフルオキシメステロンより強くなっており、膣部位においてはフルオキシメステロンと同等程度の強さとなっています。
さらに、抗乳腺腫瘍作用について、ホルモン依存性マウス乳ガン、ラット乳腺線維腺腫に対する効果の強さについて比較してみると、メピチオスタンはいずれの場合においても、フルオキシメステロンよりも効果が強いという結果が出ています。
肌荒れ、ニキビ、多毛、声枯れ、月経異常等の症状が発生することがあります。
メピチオスタンの副作用としては、女性においては男性ホルモンの影響による作用である、肌荒れ、ニキビ、多毛、声枯れ、月経異常等の症状が発生することがあります。
これらの症状はメピチオスタンの服用を中止すれば、ほとんどの症状が治るとされています。
ただし、声変りが発生した場合は、メピチオスタンの中止後においても元の状態に戻りにくいということがあるようです。
また、男性においては、持続性勃起や陰茎肥大の症状が時々現れ、さらに、メピチオスタンを長期に渡って大量に使用した場合においては、逆に睾丸が委縮し、精子や精液が減少してしまう恐れがあります。
これらの異常に気づいたら、すぐに担当の医師に報告するようにしましょう。
また、これらの症状がどうしても気になるという方は、メピチオスタンによる治療中または治療前に、担当の医師とよく相談するようにし、服用量の減量等を検討するようにしましょう。
その他のメピチオスタンによる副作用としては、肝機能値の異常が治療中の検査においてよく確認されています。
また、心臓や腎臓がもともと悪いという方は、体重増加やむくみといった症状の発生と共に、その病状が悪化してしまうという恐れがありますので、身体の異常(動悸や息切れ等)に気づいたら、すぐに担当の医師に報告するようにしましょう。
【まとめ一覧】ホルモン剤の種類
■リュープロレリン(リュープリン)
>>性腺刺激ホルモンのLH-RHによく似た構造を持っているホルモン剤
■メピチオスタン(チオデロン)
>>抗エストロゲン作用、アンドロゲン作用、アナボリックステロイド作用を持つホルモン剤
■メドロキシプロゲステロン
>>代表的な合成黄体ホルモン薬
■メチルテストステロン(エナルモン、エネルファ)
>>男性ホルモンであるテストステロンにメチル基を結合させたホルモン薬
■ミトタン(オペプリム)
>>副腎皮質から発生したガンを縮小させたり、クッシング症候群に対するホルモン薬
■ホスフェストロール(ホンバン)
>>副男性ホルモンであるアンドロゲンの作用を抑える働きのホルモン薬
■プレドニゾロン(プレドニソロン、ブレドニン、プレドハンほか)
>>合成副腎皮質ホルモン製剤で、コルチゾールから作製されているホルモン薬
■フルタミド(オダイン、フルタミド、フルタメルク)
>>男性ホルモンの働きを制御する薬