肝臓がん検査の費用や種類、方法は?
「肝炎ウイルス抗体検査」がメインの検査。
肝臓に発生した悪性腫瘍のことを「肝臓がん」と呼んでいます。
「肝臓がん」は、全世界でみたときに6番目に多いがんとなっており、日本はその中でも罹患率が高い国の1つとなっています。
「肝臓がん」を発症した人を男女比でみると、約3:1で男性の方が多くなっており、その発症の平均年齢は60歳代前半となっています。
「肝臓がん」は他のいろいろながんとは異なり、もともと慢性肝炎や肝硬変等の慢性的な肝臓病を患っている人が発症しやすいという特徴がありますが、この原因として特に多くなっているのが、肝炎ウイルスの感染です。
日本が欧米諸国よりも「肝臓がん」の発症率が高い原因は、この肝炎ウイルスによるC型肝炎の感染率が高いことによるものだと推測されています。
血液検査による「肝炎ウイルス抗体検査」をまず受けるようになります。
上記の通り、「肝臓がん」には肝炎ウイルスの感染の有無が重要となるため、血液検査による「肝炎ウイルス抗体検査」をまず受けるようになります。
「肝炎ウイルス抗体検査」のうち、「C型肝炎ウイルス検査」では、C型肝炎ウイルスの抗体を測定するHCV抗体検査をまず行い、陽性か陰性かを判定した後に、陽性だった場合はHCV抗体価の量を調べます。
また、C型肝炎ウイルスの遺伝子の一部を増幅して、血液中のごく微量のC型肝炎ウイルスを検出するHCV-RNA定量検査と、C型肝炎ウイルスの抗原を調べるHCVコア抗原検査を組み合わせて行い、総合的に判断します。
インターフェロン治療等でC型肝炎ウイルスが駆除できた人や、C型肝炎ウイルスに一度かかってウイルスがいなくなった人でも、HCV抗体は陽性のまま続くので、肝炎ウイルスの検査は定期的に行う必要があります。
「B型肝炎ウイルス検査」の場合は?
「B型肝炎ウイルス検査」では、血液中に存在しているB型肝炎ウイルスのHBs抗原を測定して、陽性であればB型肝炎ウイルスが増殖していることを示しており、B型肝炎ウイルスの持続感染が疑われます。
その他、B型肝炎ウイルスやHBe抗原、HBe抗体の核酸定量検査等を行い、このウイルスの活動性等を評価します。
血液検査の場合は?
また、血液検査では、「一般肝機能検査」も行われ、特定健診等の定期健診の血液検査の項目にも入っています。
ただし、肺炎の活動性を示すALTやASTの値が正常の範囲内に入っていたとしても、「肝臓がん」が発生しているというケースもあるため、注意が必要です。
癌の場合は「腫瘍マーカー」の値の測定も同時に行います
さらに、がん細胞が発生すると血液中に増える特殊な物質である「腫瘍マーカー」の値の測定も同時に行われます。
「肝臓がん」が3cm以上の大きさになると、8割以上の患者でその値が上昇しますが、2cm未満の小さい「肝臓がん」患者の場合は、8割以上の患者でその値が上昇しないため、早期での「肝臓がん」診断にはあまり有効ではないとされています。
しかし、「肝臓がん」の「腫瘍マーカー」の値の上昇が、他の臓器のがんと違って特徴的であること、2cm未満の「肝臓がん」でもその値が上昇するケースがあること等の理由から、定期検査では重要な項目となっています。
このように「腫瘍マーカー」のみでは「肝臓がん」の診断が確定できない場合もあるので、画像検査も併用で行うことが多くなっています。
最初に行われる検査は「腹部超音波検査」で、これはプローブという装置を直接体表にあてて、超音波を体内の臓器等に発射し、反射してきた超音波を検出して映像化する検査です。
「肝臓がん」の腫瘍の大きさや数等を確認することができます。
ただし、脂肪が多い等、患者の状況によって明瞭な画像を得られないという場合は、さらに詳細な状態を調べるために「CT検査」や「MRI検査」を行います。「CT検査」はコンピューター断層撮影検査ともいい、X線を身体の外周から照射し、組織に吸収されたX線量コンピューターで処理した後に、身体の輪切りの断層像を描き出す画像検査となっています。
「MRI検査」は、磁気共鳴画像検査ともいい、身体に強い電磁波を作用させ、電子が共鳴して放出したエネルギーをコンピューターで処理した後に画像化する検査となっています。
「肝臓がん」の早期発見に努めるようにしましょう。
「肝炎ウイルス抗体検査」は自治体によっては無料で検査を受けることができる地域もあります。
一度、自分の住んでいる自治体の保健所等に問い合わせてみましょう。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれており、自覚症状がないまま「肝臓がん」がどんどん進行してしまうケースも少なくありません。
今まで「肝炎ウイルス抗体検査」を受けたことがない方は、一度受けてみるようにし、「肝臓がん」の早期発見に努めるようにしましょう。