イダルビシン(イダマイシン)とは?効果・副作用は?
イダルビシン(イダマイシン)とは、アントラサイクリン系の抗がん性抗生物質です。
イダルビシン(イダマイシン)は、現在のファイザー社であるイタリアのファルミタリア・カルロエルバ社で1974年に開発され、注射薬として販売されており、イダマイシンはその商品名です。
イダルビシンは、ダウノルビシンという同じ抗がん性抗生物質のプロドラッグ(前駆物質)であり、ダウノルビシン塩酸塩の4位が脱メトキシル化されたものであるイダルビシンに強い抗腫瘍効果があることが発見されたため、抗がん剤として販売されるようになりました。
イダルビシンは、ダウノルビシンと同じようなメカニズムで抗腫瘍効果を発揮します。
まず、細胞内のDNAと結合してDNAポリメラーゼの働きを阻害し、それとともにトポイソメラーゼⅡという酵素の働きも阻害します。
この働きによって、DNAの複製を阻害し、がん細胞の増殖を抑え、がん細胞を死滅へと至らせます。イ
ダルビシンはこのダウノルビシンと比べると、抗腫瘍効果がより強く、心毒性も弱く、また、脂溶性にも富んでいるということから、がん細胞に早く吸収されるという特徴も持っています。
ただ、その後「ダウノルビシン以上の有用性を確認することは難しい」という臨床試験の結果が報告されました。
この結果を受け、現在では、イダルビシンの抗腫瘍効果はダウノルビシンとほぼ同等程度であるとされています。
イダルビシンは、慢性骨髄性白血病が急性に転化してしまったもの、急性骨髄性白血病の治療に適応となっており、白血病の寛解導入両方の初期治療として活用されています。
また、その治療効果をより高めるために、イダルビシンとシタラビンを併用して治療するケースが多くなっています。
この場合の基本のレジメンとしては、まず、イダルビシンを3日間、シタラビンを1~7日間投与します。その後、寛解が見られない場合においては、28日後に2コース目を行うのが通常となっています。
イダルビシンの副作用の症状としては、強い骨髄抑制の症状が代表的となっています。
骨髄抑制によって好中球の減少が発生した場合では、感染症にかかりやすくなってしまうので、治療中は人混みを避けりようにし、うがいや手洗いをしっかりと行い、感染症を予防することが大切となります。
もし、出血や貧血等の症状が発生した場合は、速やかに担当の医師に報告し適切な処置を受けるようにしましょう。
また、イダルビシンのようなアントラサイクリン系の抗がん剤には心毒性の副作用のリスクがつきものですが、イダルビシンは前述の通り、同じ抗がん性抗生物質であるダウノルビシンと比較して心毒性が弱いとされています。
しかし、長期間の治療等によって、イダルビシンの総投与量が増えていけば、心毒性の副作用が発生するリスクは高くなってしまい、その症状も重くなり、ショックを起こすというケースも稀に発生します。
そのため、イダルビシンによる治療の期間中には、定期的に心機能のチェックを受けることが重要です。
さらに、口内炎、悪心、嘔吐等の消化器症状や脱毛といった副作用の症状の発生頻度が高いとされています。
その他のイダルビシンの副作用の症状としては、発熱、頭痛、肝機能や腎機能の低下等の症状が発生することがあり、また、イダルビシンは尿中に排泄されるので、投与後は尿が赤色になる場合があります。
しかし、この尿に関してはイダルビシンの薬剤色がそのまま出てしまっているだけですので、特に処置を施す必要はありません。
【まとめ一覧】抗がん性抗生物質の種類
■イダルビシン(イダマイシン)
>>白血病の寛解導入両方の初期治療として活用される抗がん性抗生物質
■アムルビシン(カルセド)
>>主に小細胞肺がん、非小細胞肺がんに活用される抗がん性抗生物質
■アクラルビシン(アクラシノン)
>>心臓への副作用を軽減する目的で開発された抗がん剤
■アクチノマイシンD(コスメゲン)
>>1940年、抗がん作用を持つことが世界で初めて確認された抗生物質