ソブゾキサン(ペラゾリン)とは?効果・副作用は?

抗がん剤でビスジオキソビベラジン誘導体のソブゾキサン(ペラゾリン)
ソブゾキサン(ペラゾリン)とは、抗がん剤でビスジオキソビベラジン誘導体でもあります。
ソブゾキサンは、成人T細胞白血病リンパ腫や悪性リンパ腫の治療に使用される抗がん剤で、日本で開発されたものであり、19940年に承認されました。
成人T細胞白血病は日本に多い病気であるという特徴があります。成人T細胞白血病は免疫不全が強いという性質があるため、効果が強い抗がん剤は使用できないため、ソブゾキサンはこの病気に使用できる、数少ない貴重な治療薬となっています。
このソブゾキサンという抗がん剤は、かつてイギリスで使用されていたラゾキサンという抗がん剤に類似していますが、現在、ラゾキサンは使用されていません。
また、ソブゾキサンは日本のみで使用されているローカルドラッグとなっています。
ソブゾキサンはトポイソメラーゼⅡ阻害薬に分類されており、これはエトポシドと同様となっています。
がん細胞は無秩序な増殖を繰り返して、正常細胞の中へ入っていったり、転移を行ったりする性質があります。
しかし、その一方で正常細胞はがん細胞のように活発な増殖を行いません。
抗がん剤は、このようながん細胞と正常細胞の細胞分裂のスピードの違いを見極め、細胞分裂のスピードが速い細胞に対して毒性を示すという考え方で作られています。
細胞分裂には、生命情報が書かれているDNAの複製が必須です。
そのため、DNA合成が阻害されれば細胞増殖はストップし、抗がん剤はこのDNA合成を阻害するような働きを示します。DNA合成時には、DNAの二本鎖のらせん構造を、生命情報を読み解くために一本鎖の形状にほどく必要がありますが、この際にはDNAの鎖を一旦切断し、ねじれを解消します。
トポイソメラーゼⅡは、このDNA鎖を切断する働きを持っている酵素となっています。
そのため、このトポイソメラーゼⅡの働きを阻害すれば、DNA鎖を切断できなくなり、DNAのらせん構造をほどくことができず、細胞分裂をストップすることができます。
ソブゾキサンはこのような作用によってDNA合成を阻害し、抗がん作用を示します。
ソブゾキサンの代表的な副作用としては、骨髄抑制があり、それにより白血球減少や赤血球減少等の症状が発生します。
そのため、その影響によって発生する貧血や感染症、出血傾向等の症状には十分な注意が必要となります。
ソブゾキサン投与時には、このような骨髄抑制がどの程度発生するか、その症状の程度等を正確に把握する必要があるため、頻繁に血液検査等を行うことが重要です。
また、口内炎、下痢、嘔吐、脱毛、吐き気等の様々な症状も、ソブゾキサンの副作用では比較的多く発生します。
実際に様々な副作用が発生した場合においても、慌てることがないように、ソブゾキサンでの治療を開始する前に担当の医師から副作用について十分に説明を受けておくことが大切です。
その他のソブゾキサンの副作用としては、稀ではありますが間質性肺炎等の重い肺障害が発生することもありますので、発熱、息切れ、空咳、息苦しさ等の症状には十分に注意する必要があります。
さらに、ソブゾキサンを放射線療法や他の抗がん剤と併用して使用した場合には、単剤での投与時とは違った、他の抗がん剤等の影響による副作用の症状が発生する場合があります。
併用する治療法や抗がん剤による副作用についても、事前に医師から十分に説明を受けるようにしておきましょう。
ソブゾキサンの使用上の注意として、動物実験において小児への毒性があるという結果が報告されています。
そのため、妊娠中または妊娠の可能性がある方は医師との相談の上、十分に検討をしてから治療を開始するようにしましょう。
【まとめ】植物アルカロイド一覧
■パクリタキセル注射剤(アブラキサン)
>>様々ながんの治療に用いられている抗がん剤の1つ
■ビンブラスチン(エクザール)
>>微小管阻害薬に分類されている抗がん剤の1つ
■ビンデシン(フィルデシン)
>>細胞分裂において重要な役割を果たしている微小管の働きを阻害する抗がん剤
■ビンクリスチン(オンコビン)
>>多発性骨髄腫、白血病、悪性リンパ腫等の血液の悪性腫瘍の治療に用いられる植物アルカロイド
■ビノレルビン(ナベルビン)
>>手術不能もしくは再発してしまった乳がんに対しても用いられる植物アルカロイド
■パクリタキセル(タキソール)
>>イチイ科の植物から抽出された成分を使って作られた抗がん剤
■ドセタキセル(タキソテール)
>>パクリタキセルと名称が似ていて、作用機序も同様だが抗腫瘍効果も高い場合も。
■ノギテカン(ハイカムチン)
>>小細胞肺がんや、がん化学療法後に悪化した卵巣がんの治療に使用される抗がん剤
■ソブゾキサン(ペラゾリン)
>>成人T細胞白血病リンパ腫や悪性リンパ腫の治療に使用される抗がん剤
■エリブリン(ハラヴェン)
>>再発または手術不能の乳がんに使用される抗がん剤
■エトポシド(ベプシド、ラステッド)
>>北アメリカのメギ科の植物の根から抽出した抗がん剤
■イリノテカン(カンプト、トポテシン)
>>卵巣がん、子宮がん、乳がんや進行再発胃がん、また、肺がんや大腸がん等の幅広いがんに適用される抗がん剤