子宮がんの手術費用、時間、入院期間は?
多くの手術方法がある子宮がん
「子宮がん」は女性がかかるがんで最も多いものとなっており、「子宮頸がん」と「子宮体がん」に分けられます。
子宮の頸部や頸管の上皮から発生したがんが「子宮頸がん」であり、胎児を育てる子宮の内側にある、子宮内膜から発生するがんが「子宮体がん」です。
「子宮頸がん」と「子宮体がん」は同じ子宮のがんですが、診断・治療・予後のいずれに関しても異なることが多く、もちろん手術方法についても違いがあるので、その違いを正しく理解することが大切となります。
「子宮頸がん」の手術方法には次のようなものがあります。
「円錐切除術」の場合
「円錐切除術」は、初期段階の「子宮頸がん」の治療法として最もよく行われている手術です。
高周波のメスやレーザーを使用して、がん細胞のある子宮の入り口部分である頸部を円錐形に切除する手術で、手術時間は約20分程度と、比較的簡単な手術となっています。
手術後の出産・妊娠には、子宮の大部分が温存されることから、ほとんど影響がないといわれていますが、早産・流産のリスクが若干高まるともいわれています。
手術費用は、約26万円程度となっています(入院期間を4日間とした場合)。
「光線力学的治療」の場合
「光線力学的治療」は、まず、がん細胞にだけ反応する光感受性物質を、子宮に注入してがん細胞を包み込み、その後、特殊なレーザーを照射することによって光感受性物質ごと、がん細胞を焼き切って死滅させるという手術です。
この「光線力学的治療」の実施後は、暗室で約2~3週間ほどの比較的長い入院が必要となります。
「子宮全摘出術」の場合
「子宮全摘出術」は、「子宮頸がん」が前述の「円錐切除術」で病変を全て取りきれないほどに大きく広がってしまっている場合に行われる手術です。
「子宮頸がん」のステージが進んでしまっている場合では、膣の一部や卵巣、リンパ節等の子宮の周辺の臓器や組織も一緒に摘出する「広汎子宮摘出術」が選択され、まだステージが初期の段階であれば、子宮だけを摘出する「単純子宮全摘出術」が選択されます。
「単純子宮全摘出術」の手術費用は約80万円程度、「広汎子宮摘出術」の手術費用は約117万円程度となっています(共に入院期間を15日間とした場合)。
「子宮体がん」の手術方法には次のようなものがあります。
「単純子宮全摘出術と両側付属器(卵巣・卵管)切除術」の場合
「単純子宮全摘出術と両側付属器(卵巣・卵管)切除術」は、子宮だけを摘出する「単純子宮全摘出術」と卵巣・卵管の切除を組み合わせた手術です。
開腹し、子宮、卵巣、卵管を切除する手術で、子宮内膜異型増殖症と手術前の診断で判明している場合に、標準的に行われる手術方法となっています。
手術前の診断で、「子宮体がん」のステージが既にⅠ期以上になってしまっている場合には、この手術に加えて、腹部大動脈周囲や骨盤のリンパ節郭清を実施するケースもあります。
「広汎性子宮全摘出術」の場合
「広汎性子宮全摘出術」は、膣、卵巣、卵管、子宮と子宮周囲の組織を含めた広い範囲を切除する手術で、「子宮体がん」が子宮の頸部に及んでいる、ステージⅡ及びⅢ期の一部と診断された場合において選択されることがあります。
通常、「広汎性子宮全摘出術」では、骨盤内のリンパ節郭清を行い、同時に腹部大動脈周囲のリンパ節郭清を行うケースもあります。
手術費用は約112万円程度となっています(入院期間を15日間とした場合)
「準広汎子宮全摘出術+卵巣・卵管切除術」は、上記2つの手術の中間のような位置づけの手術であり、卵管、卵巣、子宮に加えて、リンパ節と子宮を支える組織の一部を切除します。
このような「子宮がん」の手術ですが、その費用は、それぞれのがんの症状や腫瘍の数、患者の状態等によって手術方法が変わるので、上記に示したものはあくまで目安の金額となります。
「広汎性子宮全摘出術」では、かなり高額な手術費用となってしまうため、高額療養費制度を活用したりして、自己負担額を抑えるようにしましょう。
また、がんが初期段階であれば、そのような大がかりな手術にならなくてすみますので、検診等を必ず受けるようにし、がんの早期発見に努めるようにしましょう。