日本では、胃がん、結腸・直腸がん、乳がんの治療薬として1987年に承認されたドキシフルリジン

ドキシフルリジン(フルツロン)とは、フッ化ピリミジン系の抗がん剤(経口抗悪性腫瘍剤)であり、アメリカのホフマン・ラ・ロシュ社によって発見されました。
その後、1978年に日本ロシュ社によって開発され、中外製薬株式会社から販売されるようになり、フルツロンカプセルがその商品名となります。

ドキシフルリジンはフルオロウラシルのプロドラッグとして、胃がん、大腸がん、転移性の乳がんに使用されており、代謝拮抗剤に分類されています。
日本では、胃がん、結腸・直腸がん、乳がんの治療薬として1987年に承認され、また、再発予防を目的とした手術後の補助療法としても多く使用されています。

ドキシフルリジンの効果・効能は?

このドキシフルリジンはフルオロウラシルのプロドラッグであるため、体内で徐々にフルオロウラシルに変換されていきます。
そして、このフルオロウラシルの働きによって、DNAの合成やRNAの合成を阻害し、がん細胞を死滅させます。

ドキシフルリジンの略号は5-DFURとなっており、薬の作用増強と副作用の軽減を目的に開発されました。
ドキシフルリジンはフルオロウラシルそのものよりも高い治療効果が期待でき、胃がんや大腸がん等の消化器がんを中心として、各種のがんの治療に使用されています。

ドキシフルリジンは前述の通りプロドラッグとなっていますが、骨髄、肝臓、小腸等の身体の部位のかなり広い範囲において、フルオロウラシルに変化していってしまいます。

そのため、腫瘍選択性が高いとはいえないので、近年は腫瘍選択性がより高くなっているカペシタビン(ゼローダ)等を処方に用いるケースも多くなっています。

ドキシフルリジンの臨床試験結果は?

ドキシフルリジンの臨床試験では、複数の施設で実施された臨床試験の結果、がんの種類別の奏効率として、胃がん14.3%(20/140例)、大腸がん(結腸・直腸がん)9.2%(7/76例)、乳がん35.9%(37/103例)、子宮頸がん20.6%(7/34例)、膀胱がん29.6%(16/54例)というような結果が出ています。

ただし、これらの臨床試験の結果は、症例数が十分ではなく、患者の病状や治療歴、または効果判定基準によってもその結果が大きく変わる可能性があるため、あくまで参考の奏効率の数値となります。

ドキシフルリジンの副作用はあるの?

ドキシフルリジンの副作用としては、フルオロウラシルを使用した際と同様の症状が発生し、重度の腸炎や下痢、それにともなう脱水症状。
嘔吐、食欲不振、吐き気等の消化器症状が多く発生します。

重い症状としては、間質性肺炎、骨髄抑制による白血球減少や血小板減少等の症状が発生する場合もあります。

骨髄抑制の症状としては、他の抗がん剤使用時と比較すると軽い方であるとはされていますが、感染症や出血傾向等の症状には十分に注意が必要です。

その他の特に注意が必要なドキシフルリジンの副作用としては、肝障害、脱水症状や激しい下痢をともなう重い腸炎、白質脳症等があります。白質脳症は長期間にわたってドキシフルリジンを服用している方に稀に発生する副作用です。

その初期症状としては、舌のもつれ、歩行時のふらつき、物忘れ等が発生しますので、心当たりがある症状がある場合には、すぐに担当の医師に報告するようにしましょう。

ドキシフルリジンの使用上の注意として、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(TS-1)との併用はできません。
併用した場合、消化器症状や重い骨髄抑制の症状が発生する可能性がありますので、絶対に併用しないようにしましょう

。また、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(TS-1)の使用を中止した後でも、その影響が残っている可能性がありますので、使用中止後1週間はドキシフルリジンを使用することはできません。

また、抗血栓薬のワルファリンカリウムと併用すると、これらの薬の作用が増強されてしまいます。
そのため、出血が発生したりして、死亡したという症例も報告されていますので、これらの薬を併用している場合には、必ず定期的に血液凝固能検査を受けるようにしましょう。

【まとめ一覧】代謝拮抗剤

メトトレキサート(メソトレキセート)
>>急性および慢性白血病等に使用される代謝拮抗剤

メルカプトプリン(ロイケリン)
>>急急性リンパ性白血病の寛解後に使われる代謝拮抗剤

ペメトレキセド(アリムタ)
>>分子構造のよく似た葉酸の代謝を阻害することで細胞に損害を与える葉酸代謝拮抗剤

ペントスタチン(コホリン)
>>多くのリンパ系の腫瘍に効果がある代謝拮抗剤

フルダラビン(フルダラ)
>>多く血病やリンパ腫等の血液腫瘍の治療に用いられる代謝拮抗剤

フルオロウラシル(5-FU、カルゾナール、ベンナン、ルナコール、ルナボン)
>>多主に大腸がんの化学療法において中心的な役割を果たす抗がん剤

ヒドロキシカルバミド(ハイドレア)
>>白血病やメラノーマの治療に使用されてきた抗がん剤

ネララビン(アラノンジー)
>>再発または難治性のT細胞急性リンパ性白血病に使用されてきた抗がん剤

ドキシフルリジン(フルツロン)
>>日本では、胃がん、結腸・直腸がん、乳がんの治療薬として1987年に承認された抗がん剤

テガフール・ウラシル(ユーエフティ)
>>頭頸部がんや消化器系のがんに広く使用されている抗がん剤

テガフール(アチロン、アフトフール、テフシール、フトラフール、ルナシン)
>>代謝拮抗剤に分類されるフルオロウラシル系の抗がん剤

シタラビンオクホスファート(スタラシド)
>>骨髄性異形成症候群や急性骨髄性白血病に対する治療に適した抗がん剤

シタラビン(キロサイド)
>>代謝拮抗薬の中でもピリミジン拮抗薬に分類される抗がん剤

クラドリビン(ロイスタチン)
>>リンパ系腫瘍に治療効果のある抗がん剤

カルモフール(ミフロール)
>>大腸がん、胃がん、乳がんに対する有効性がある代謝拮抗薬

エノシタビン(サンラビン)
>>急性白血病の治療に使用される代謝拮抗薬

ゲムシタビン(ジェムザール)
>>がん細胞を自死(アポトーシス)に導く抗がん剤

テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(TS-1)
>>胃がん、大腸がん(結腸・直腸がん)、頭頸部がん、非小細胞肺がん、乳がん、膵がん、胆道がんと幅広いがんに対して適応となっている薬剤




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