テガフール・ウラシル(ユーエフティ)とは?効果・副作用は?
頭頸部がんや消化器系のがんに広く使用されているテガフール・ウラシル
テガフール・ウラシル(ユーエフティ)とは、頭頸部がんや消化器系のがんに広く使用されている抗がん剤であり、代謝拮抗剤に分類されています。
テガフール・ウラシルは、日本国外の20ヵ国以上で承認されている実績を持つ薬剤であり、抗がん剤のテガフールとウラシルを1:4の割合で組み合わせたものとなっています。
テガフール・ウラシルの略号はUFTとなっており、内用抗がん薬としてはよく処方されている代表的なものとなっています。
このテガフール・ウラシルの主成分のテガフールは、フッ化ピリミジン系の代謝拮抗薬に分類されていますが、これはいわゆるプロドラッグです。
そのため、肝臓で徐々にフルオロウラシルに変化してから効果を発揮し、さらに、フルオロウラシルの分解を抑えるウラシルの配合により、薬の作用時間が長く続くのがテガフール・ウラシルの特徴となっています。
テガフール・ウラシルは、大腸がんや胃がん等の消化器がんに高い有効性を示し、また、乳がんや肺がんの術後補助化学療法においても一定の有効性が示されています。
テガフール・ウラシルは、結腸・直腸がんの大腸がんに対しては、活性型葉酸製剤のホリナート(ロイコボリン)との併用療法が正式に承認され、この療法はホリナート・テガフール・ウラシル療法(UFT/LV)と呼ばれています。
このホリナート・テガフール・ウラシル療法(UFT/LV)は、従来のホリナート・フルオロウラシル療法(5FU/LV)という注射剤による標準治療の1つと同等の有効性が示されています。
また、テガフール・ウラシルは副作用も比較的少ないことから、外来治療に適しており、よく使用されています。
テガフール・ウラシルの臨床試験の結果は?
テガフール・ウラシルの臨床試験の結果として、その奏効率は23.3%と報告されており、がんの種類別の奏効率としては、胃がん25.4%、大腸がん(結腸・直腸がん)18.3%、肝臓がん16.7%、胆のう・胆管がん18.8%、膵臓がん17.4%、肺がん8.7%、乳がん30.2%、膀胱がん30.6%、前立腺がん14.7%、子宮頸がん19.4%、頭頸部がん31.0%となっています。
ただし、これらの奏効率は症例数が十分ではなく、治療歴や症状、臨床試験の効果判定基準等によっても結果が大きく変わる可能性があるため、あくまでも参考値ということになります。
テガフール・ウラシルは、この抗がん剤を単独で使用した場合、副作用の症状は比較的軽いとされています。
そのため、抗がん薬に特有な骨髄抑制の症状は比較的軽いのですが、それでもそれにともなう血球減少や感染症には十分な注意が必要です。
白血球が減少した場合では、身体の抵抗力が著しく落ちて感染症にかかりやすくなり、また、血小板の減少により出血傾向の症状が発生しやすくなります。
もし、歯茎出血・皮下出血等の出血傾向の症状、発熱やのどの痛み用の症状が発生したら、すぐに担当の医師に報告するようにしましょう。
また、テガフール・ウラシルは、前述の通り単独で使用した場合では比較的副作用は軽いのですが、ホリナート・テガフール・ウラシル療法等の他の抗がん剤と併用する場合においては、重い副作用が発生する場合があります。
その際は、重い腸炎や激しい下痢、白質脳症、味覚障害、嗅覚障害等の症状が発生する場合がありますので、十分な注意が必要です。
また、その他のテガフール・ウラシルの一般的な副作用として、下痢、腹痛、口内炎、嘔吐、吐き気、胸やけ、色素沈着等の様々な症状が発生する場合がありますので、治療を開始する前に担当の医師から十分に説明を受けるようにし、実際に症状が発生しても慌てないようにしましょう。
また、重篤な副作用としては、重い腸炎、急性すい炎、間質性肺炎、急性腎不全等が発生したという症例も報告されていますので、このような病気が疑われる症状に心当たりがある方は、早急に担当の医師に報告して適切な処置を受けるようにしましょう。
【まとめ一覧】代謝拮抗剤
■メトトレキサート(メソトレキセート)
>>急性および慢性白血病等に使用される代謝拮抗剤
■メルカプトプリン(ロイケリン)
>>急急性リンパ性白血病の寛解後に使われる代謝拮抗剤
■ペメトレキセド(アリムタ)
>>分子構造のよく似た葉酸の代謝を阻害することで細胞に損害を与える葉酸代謝拮抗剤
■ペントスタチン(コホリン)
>>多くのリンパ系の腫瘍に効果がある代謝拮抗剤
■フルダラビン(フルダラ)
>>多く血病やリンパ腫等の血液腫瘍の治療に用いられる代謝拮抗剤
■フルオロウラシル(5-FU、カルゾナール、ベンナン、ルナコール、ルナボン)
>>多主に大腸がんの化学療法において中心的な役割を果たす抗がん剤
■ヒドロキシカルバミド(ハイドレア)
>>白血病やメラノーマの治療に使用されてきた抗がん剤
■ネララビン(アラノンジー)
>>再発または難治性のT細胞急性リンパ性白血病に使用されてきた抗がん剤
■ドキシフルリジン(フルツロン)
>>日本では、胃がん、結腸・直腸がん、乳がんの治療薬として1987年に承認された抗がん剤
■テガフール・ウラシル(ユーエフティ)
>>頭頸部がんや消化器系のがんに広く使用されている抗がん剤
■テガフール(アチロン、アフトフール、テフシール、フトラフール、ルナシン)
>>代謝拮抗剤に分類されるフルオロウラシル系の抗がん剤
■シタラビンオクホスファート(スタラシド)
>>骨髄性異形成症候群や急性骨髄性白血病に対する治療に適した抗がん剤
■シタラビン(キロサイド)
>>代謝拮抗薬の中でもピリミジン拮抗薬に分類される抗がん剤
■クラドリビン(ロイスタチン)
>>リンパ系腫瘍に治療効果のある抗がん剤
■カルモフール(ミフロール)
>>大腸がん、胃がん、乳がんに対する有効性がある代謝拮抗薬
■エノシタビン(サンラビン)
>>急性白血病の治療に使用される代謝拮抗薬
■ゲムシタビン(ジェムザール)
>>がん細胞を自死(アポトーシス)に導く抗がん剤
■テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(TS-1)
>>胃がん、大腸がん(結腸・直腸がん)、頭頸部がん、非小細胞肺がん、乳がん、膵がん、胆道がんと幅広いがんに対して適応となっている薬剤