直腸がん検査の費用や種類、方法は?

症状が出た時点で速やかに肛門科、胃腸科、消化器科等を受診しましょう
大腸は食物が消化吸収された残りの腸内容物をため、水分を吸収して大便にする器官であり、盲腸・結腸・直腸・肛門の4つの器官で構成されています。
そんな大腸に発生したがんの総称が「大腸がん」であり、その中でも直腸に発生したがんを「直腸がん」と呼んでいます。日本人は結腸(S状結腸)と直腸にがんが発生しやすい傾向があります。
血便が出たら要注意
「直腸がん」は早期の段階では自覚症状がないケースが多いのですが、比較的、出現頻度が多い症状に一つとして、血便があります。
ただ、血便は痔等の良性の疾患においても同様の症状が発生するため、「直腸がん」を早期に発見するためには、症状が出た時点で速やかに医療機関の肛門科、胃腸科、消化器科等を受診し、適正な検査を受けることが重要となります。
「直腸がん」の検査には、次のようなものがあります。
「便潜血検査」は一般的な検診で行われる検査であり、大便の中に血液が混入していないかどうかを調べる検査です。
費用は約1,000~2,000円程度となっていますが、市町村や職場の健康保険組合等から補助金が出ることもありますので、問い合わせてみるのが良いと思います。
この「便潜血検査」で「直腸がん」の疑いがあるという陽性となった場合、次のような精密検査を受けるようになります。
「直腸検診」と「注腸造影検査」
「直腸検診」は、医師が肛門から指を入れ、腫瘍の有無を指で直接触って確認する検査であり、時間としては数分で終わります。
「注腸造影検査」は、腸内の画像をはっきりと映し出すための薬であるバリウムと空気を肛門から注入して、直腸のレントゲン撮影を行う検査であり、「直腸がん」の大きさや発生位置、直腸の状態等を確認することができます。
検査を受ける際は、2~3日前から繊維の少ない食事をとるようにし、検査前日には下剤を飲んで、直腸の中をきれいにしておく必要があります。
検査にかかる時間は約15分程度であり、費用は約8,000~10,000円程度(3割負担の場合)となっています。
「内視鏡検査」って?
「内視鏡検査」は内視鏡という先端に小型カメラが付いている細長い管状の医療機器を肛門から入れて、直腸の内部を映し出すモニター画面を見ることによって、直腸やがんの現在の状態を詳しく調べることができる検査です。
また、内視鏡は「直腸がん」が早期で小さな腫瘍の状態であれば切除することも可能で、病変の組織細胞の採取等を行うこともできます。
検査を受ける際には、検査前日と当日に下剤を飲み、直腸をきれいにしておく必要があります。
検査時間は約20分程度であり、検査費用は約6,000~9,000円程度(3割負担の場合)です。
ただ、腫瘍の切除を同時に行った場合には、約20,000円程度の検査費用となる場合もあり、患部の位置等でも金額が変わります。
また、「内視鏡検査」によって病変を確認した場合、その病変の組織を採取し、その組織を病理検査することとなります。
その検査費用は約4,000~9,000円程度(3割負担の場合)となっています。
「直腸がん」と正式に診断された場合の次の検査は?
このような精密検査によって、「直腸がん」と正式に診断された場合には、さらに詳しく調べる必要があるため、下記のような検査を行います。
「胸部X線検査」は健康診断等で行われる胸部のレントゲン検査と同様の検査であり、「直腸がん」が他の臓器へ転移していないかを確認できます。検査時間は数分です。
「超音波検査」は超音波を腹部にあてることで、がんの位置を確認し、リンパ節や肝臓に転移していないか等を確認できます。検査時間は数分です。
「CT検査(コンピュータ断層撮影検査)」、「MRI検査(磁気共鳴画像法)」では体を輪切りにした状態で画像化し、がんの大きさや位置、形状等と、リンパ節や肝臓に転移していないかを調べることができます。
専用の装置で検査をおこなうため、どちらの検査においても被検者が特に痛みを感じるということはありません。
検査時間は約15~60分です。
早期発見での生存率が極めて高いがんなので早期発見が鍵
「直腸がん」はステージ0や1のケースでは90%以上の確率で完治しており、早期発見での生存率が極めて高いがんとなっています。
ただ、前述のとおり「直腸がん」には初期症状がほとんどなく、痔の症状と思い込んでしまうケースも多いため受診がおくれてしまうことも少なくありません。
定期健診等による「便潜血検査」、いわゆる検便は手軽に受けることができる検査の一つですので、毎年欠かさずに受けるようにしましょう。