人口10万人あたりの死亡率は0.1程度と極めて稀ながん
「陰茎がん」は陰茎に発生するがんで、日本国内での「陰茎がん」による死亡率は、人口10万人あたりの死亡率は0.1程度と極めて稀ながんとなっています。
年齢別にみてみると、60~80歳代での罹患率が高くなっており、65~70歳くらいに発症のピークがあります。
「陰茎がん」の罹患率を国際的に比較して見ると、日本は欧米と比較して低い傾向にあるようです。
包茎、亀頭包皮炎、生殖器の不衛生が発症のリスク要因
「陰茎がん」は、新生児期に包皮切除を行う習慣のある地域において、その発症率が低くなっていることから、包茎、亀頭包皮炎、生殖器の不衛生が発症のリスク要因と考えられています。
また、性的パートナーが多いこと、梅毒や尖圭コンジローム等の性感染症を持っていることで「陰茎がん」のリスクが高くなっている状況や、「陰茎がん」の男性を夫に持つ女性では子宮頸がんのリスクが高くなっていること等から、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染も発症リスク要因の候補となっています。
したがって、まず、包茎であることと、HPVウイルスに感染しているということに心当たりがある方は、自分において「陰茎がん」発症のリスクが高まっているということを自覚する必要があります。
心当たりがあって、「陰茎がん」の初期症状が確認された場合は、速やかに専門の医療機関を受診する必要があります。
痛みのない腫瘤(おでき)が陰茎に発生
「陰茎がん」の初期の段階では、痛みのない腫瘤(おでき)が陰茎に発生しますが、がんが進行してくると、痛みや出血等の症状もあらわれてきます。
腫瘤は、前述した包茎状態の場合、包皮内の亀頭部に発生しやすいので、外からは気づき難く、発見が遅れるということもありますので、注意が必要です。
発生する腫瘤は普通、表面が不整なごつごつした外観の塊で、潰瘍を伴っているというケースもあるようです。
「陰茎がん」が進行すると、がんが尿道や海綿体まで広がるため、排尿困難の症状もあらわれてきます。
また、大腿の付け根である鼠径部のリンパ節の腫れが多くみられます。
この腫れは感染によるものが多く、それ以外では、がんが転移して発生するものもあります。
陰茎に発生する発赤や刺激、かゆみやひりひり感、膿、出血も要注意
その他の症状としては、陰茎に発生する発赤や刺激、かゆみやひりひり感、膿、出血等が発生する場合もありますので、陰茎に異常を感じたら直ぐに専門の医療機関を受診するようにしましょう。
「陰茎がん」はリンパ節まで転移していなければ、ほとんどのケースにおいて、完治するがんといわれています。
しかし、陰茎という場所が場所なために、医療機関を受診するのがためらわれ、「陰茎がん」が進行してしまって手遅れの状態になってから受診されるというケースも少なくありません。
そのため、少しでも陰茎に異常を感じたら、速やかに受診をするように心がけましょう。