精巣がんの初期症状は?気になるチェック項目は?

若年者でも「精巣がん」の初期症状を理解しておきましょう
精巣は男性の股間に左右1つずつあり、陰のうの内部にある卵形をした臓器で、睾丸とも呼ばれています。
そんな精巣に発生する悪性腫瘍のことを「精巣がん」といいます。
精巣には精子をつくる役割と男性ホルモンを分泌する役割がありますが、この精子をつくるもとになるのが精母細胞であり、男性ホルモンを産出するのがライディヒ細胞となっています。
「精巣がん」の大部分である約95%は、この精母細胞から発生しています。
20歳代後半から30歳代にかけての比較的若い世代に発症のピーク
「精巣がん」にかかる割合は約10万人に1人程度であるため、比較的まれながんですが、20歳代後半から30歳代にかけての比較的若い世代に発症のピークがあるという、他のがんとは異なる特徴があります。
したがって、若年者であっても「精巣がん」の初期症状を理解しておかないと、がんを早期発見するということができなくなってしまいます。
痛みのない精巣の腫れが特徴
「精巣がん」の初期症状として特徴的なものは、痛みのない精巣の腫れです。
腫れていても痛みがほとんどないということが特徴的であり、こぶし大くらいの巨大な大きさまで腫れあがったとしても痛みが全くないというケースが多くなっています。
また、精巣を触ると表面にゴツゴツとしたしこりを感じるというケースもあります。
他の部位に短期間で転移する精巣ガン
さらに、「精巣がん」の性質として、比較的短期間で他の臓器への転移を起こすというものがありますので、転移によって起こる症状によって、「精巣がん」が発見されるという場合もあります。
その症状は転移によって異なりますが、もし肺へ転移した場合は、血痰・咳・息切れ等の症状が起こり、腹部リンパ節へ転移した場合では、腰痛・腹痛・腹部のしこり等の症状が起こります。
「陰のう水腫」の可能性もあります。
前述の通り、「精巣がん」の特徴的な症状として、精巣の腫れが多くあらわれますが、この腫れの症状があらわれたとしても、必ず「精巣がん」が発生しているとは限らないので、注意が必要です。
精巣の陰のう部が腫れる疾患は「精巣がん」の他にも複数あり、多く見られるのが、「陰のう水腫」という疾患です。
この「陰のう水腫」では、陰のう部に水がたまる状態となりますが、この症状は自然に消滅してしまうケースが多く、そのため、特別に治療することもありません。
また、「精液瘤」という疾患では、睾丸または副睾丸周辺に精液が入った袋状のものが発生しますが、大きい「精液瘤」になることがなければ、治療は必要ないとされています。
「鼠径ヘルニア」の場合も
さらに、「鼠径ヘルニア」という疾患は、腸の一部が押し出された状態で鼠径部や陰のう部へはみ出てくるため、陰のう部が腫れてきますが、痛みは伴いません。
「鼠径ヘルニア」の治療は外科手術になりますが、放置すれば生命にかかわってきますので、早期の治療が必要となります。
あれ??と思ったら速やかに専門の医療機関を受診するようにしましょう
このように、精巣の腫れという症状が発生しても「精巣がん」ではなく、他の疾患である可能性もありますが、この判断を自分で行うことは難しいため、症状が発生したら、速やかに専門の医療機関を受診するようにしましょう。
ただ、場所的にはずかしいという気持ちから受診をためらう方もいると思いますが、「精巣がん」が発生していた場合でがんが進行してしまっている状態であれば、治療が困難な場合もあるので、少しでも精巣付近に異常を発見したら、はずかしがらずに早めの受診を心がけるようにしましょう。