骨腫瘍・骨肉腫の手術費用、時間、入院期間は?
年齢別でみると、10歳代という若年層での発症が最も多いという特徴があります。
「骨腫瘍」とは、骨に発生する腫瘍の総称であり、その中で悪性の腫瘍のことを「悪性骨腫瘍」といい、大きく分けると2種類に分類されます。
1つは身体の他の部位から発生した「悪性骨腫瘍」に転移した「続発性悪性骨腫瘍」で、もう1つは、骨自体から発生した「原発性悪性骨腫瘍」です。
「原発性悪性骨腫瘍」は、脊髄や骨盤、手や足等の身体のあらゆる部位の骨で発生する悪性腫瘍の総称であり、さらにいくつかの種類に分類されます。
「骨肉腫」は、腫瘍細胞が自ら骨を形成してしまう腫瘍です。
発生部位としては、上腕骨近位部、脛骨近位部、膝関節周囲の大腿骨遠位部に多く発生します。
「原発性悪性骨腫瘍」全体の中で、「骨肉腫」は発症率が最も高く、日本国内では年間約200人近い人が発症しているといわれており、年齢別でみると、10歳代という若年層での発症が最も多いという特徴があります。
また、性別でみてみると、女性より男性の方が比較的多く発症する傾向がみられます。
「軟骨肉腫」は、骨盤や肋骨等の身体の胴体を支える骨や、上腕骨や大腿骨等の四肢近位部の骨に発生するケースが多い肉腫であり、「原発性悪性骨腫瘍」全体の中で、「骨肉腫」に次いで発生しやすく、中・高年層において多く発症しています。
「軟骨肉腫」は、腫瘍の成長が比較的遅く、「骨肉腫」と比べると転移率が低いという特徴があります。
「ユーイング肉腫」は、骨盤や肋骨、手足の付け根付近に発生しやすい「原発性悪性骨腫瘍」であり、発症時には、発熱等の症状も併発する傾向があります。
発症年齢は、10歳代~20歳代と若年層に多く発症する傾向があり、病気の進行が速く悪性度が高いという特徴があります。
ただ、放射線療法や化学療法の効果が高く、治療に有効という特徴もあります。
その他の「原発性悪性骨腫瘍」としては、アダマンチノーマ、線維肉腫、血管肉腫、脊索腫、悪性線維性組織球腫等があります。
いずれの場合においても、「悪性骨腫瘍」の治療として外科療法(手術)を行う場合は、まず腫瘍を完全に切除し、その後、切除した骨や関節の再建まで行います。ここでは例として「骨肉腫」の手術法の例を紹介します。
様々な「骨肉腫」の手術
「骨肉腫」の手術では、「患肢温存術」という、身体の四肢をできるだけ温存し、切除する範囲を最低限にして、残存部分を多くする手術が選択されるケースが最も多くなっています。
この「患肢温存術」を実施した後、切除した骨の部分に人工関節や人工骨を埋め込み再建する「人工骨・人工関節置換術」を行います。「人工骨・人工関節置換術」の実施後、この人工関節や人工骨は比較的早い時期に動かせるようになります。ただし、人工関節や人工骨は経年劣化により、破損したり摩耗したりすることがあるため、数年に一度は交換する手術を実施することが必要となります。
「患肢温存術」を実施した後、切除した骨の部分に自分の骨を移植する再建術である「自家骨移植」を行う場合もあります。
「自家骨移植」では、骨がくっついて動かせるようになるまでに時間がかかり、自分の骨を摘出する手術も必要になりますが、自分の骨であるため耐久性が高く、人工骨のように経年劣化による交換手術の必要はありません。
また、「骨肉腫」の治療によって膝上から切断を行い、膝関節を失った場合、その再建術として「回転形成術」が行われる場合があります。
「回転形成術」は、膝の部分の切除によって残存した太ももと足首の部分を使い、足首の部分を180度回転させて太ももに埋め込み、足首の関節を膝関節として使うという手術となります。
義足が必要になってしまうということと、見た目に抵抗があるという患者が多いというデメリットはありますが、人工関節や義足よりも耐久性に優れているというメリットもあります。
「骨肉腫」の入院期間は、病状によっても異なりますが、治療期間が約8ヶ月ほど必要となるのが一般的なので、その間は入退院や継続入院を繰り返すことになります。
また、治療にかかる費用は高額となる場合がありますが、例えば「骨肉腫」が多く発症する18歳未満では小児慢性特定疾患医療や、手術を受けた場合には育成医療等の医療費の交付制度が適応される場合があります。
一度、自分の住んでいる自治体等に問い合わせてみましょう。