フルタミドとは?効果・副作用は?
フルタミド(オダイン、フルタミド、フルタメルク)はホルモン療法剤に分類されています。
フルタミド(オダイン、フルタミド、フルタメルク)は、日本化薬から経口の内服薬として販売されており、オダイン錠125mgはその商品名の1つとなっています。
男性ホルモンは性ホルモンとしてよく知られていますが、この男性ホルモンによってガンが憎悪することがあります。
特に前立腺ガン等は男性ホルモンの影響を大きく受けるため、その治療のために男性ホルモンの働きを制御する薬として、フルタミドは開発されました。
前立腺は、尿道のまわりに、それを取り囲むように存在している臓器です。
そのため、生殖器系に大きく関わっている臓器であることから、男性ホルモンの影響を大きく受けてしまいます。
男性ホルモンが前立腺ガンに対して作用すると、ガン細胞の活性化を引き起こしますので、男性ホルモンの働きを阻害することができれば、前立腺ガンの増殖を抑制することができます。
有名な男性ホルモンの1つとして、テストステロンというホルモンがありますが、これは前立腺の中において、より強い作用を持つジヒドロテストステロンへと変換されます。
これらのテストステロンやジヒドロテストステロンといったホルモンが前立腺の受容体へ結合すると、前立腺ガンの憎悪を促してしまいます。
そこで、テストステロンやジヒドロテストステロンの前立腺の受容体への結合を阻害し、これらのホルモンの働きを抑制する作用を持つ薬がフルタミドです。
男性ホルモンは、別名アンドロゲンとも呼ばれています。そのため、フルタミドは抗アンドロゲン薬と呼ばれることもあります。
抗アンドロゲン薬は、古くから前立腺ガンの治療に用いられてきました。
しかし、これまでの抗アンドロゲン薬は男性ホルモンだけではなく、その他の多くのホルモンの作用に影響を与えてしまうという点が問題とされてきました。
男性ホルモンなどの性ホルモンは、ステロイド骨格と呼ばれる独特な構造を持っています。
そして、このステロイド骨格を有していると様々なホルモン作用を示す可能性が高くなってしまうのですが、フルタミドはこのステロイド骨格を持っていません。
そのため、男性ホルモンを抑制する作用以外の働きは少なく、その他のホルモンには影響を与えることは少ないとされています。
フルタミドの代表的な副作用としては、その抗アンドロゲン作用から、乳房の女性化の症状が最も多く発生します。
また、のぼせ、ほてり等のホットフラッシュ症状、むくみ、勃起機能低下、骨粗しょう症、体重増加等の抗アンドロゲン薬を投与した際に発生する共通の副作用が、フルタミドにおいても同様に発生する可能性があります。
その他、下痢、食欲不振、悪心・嘔吐等の消化器系の副作用や、貧血、肝機能検査値の上昇等の副作用がフルタミド服用時の副作用として報告されています。
さらに、フルタミドは、その使用時において、肝機能に重大な障害が発生する可能性があることが報告されています。
そのため、フルタミドによる治療時には、月に1回は必ず肝機能検査を受けるようにし、肝機能の状態を確認しながら服用を続けなければなりません。
フルタミドの服用中にもし、かゆみ、発疹、悪心・嘔吐、食欲不振、全身の倦怠感、白目や皮膚の色が黄味を帯びる等の症状が発生した場合は、肝機能障害が発生した可能性が考えられます。
すぐに担当の医師に報告し、受診して指示を仰ぐようにしましょう。
【まとめ一覧】ホルモン剤の種類
■リュープロレリン(リュープリン)
>>性腺刺激ホルモンのLH-RHによく似た構造を持っているホルモン剤
■メピチオスタン(チオデロン)
>>抗エストロゲン作用、アンドロゲン作用、アナボリックステロイド作用を持つホルモン剤
■メドロキシプロゲステロン
>>代表的な合成黄体ホルモン薬
■メチルテストステロン(エナルモン、エネルファ)
>>男性ホルモンであるテストステロンにメチル基を結合させたホルモン薬
■ミトタン(オペプリム)
>>副腎皮質から発生したガンを縮小させたり、クッシング症候群に対するホルモン薬
■ホスフェストロール(ホンバン)
>>副男性ホルモンであるアンドロゲンの作用を抑える働きのホルモン薬
■プレドニゾロン(プレドニソロン、ブレドニン、プレドハンほか)
>>合成副腎皮質ホルモン製剤で、コルチゾールから作製されているホルモン薬
■フルタミド(オダイン、フルタミド、フルタメルク)
>>男性ホルモンの働きを制御する薬