日本では1973年に悪性リンパ腫の治療薬として承認されたプロカルバジン

プロカルバジン(塩酸プロカルバジン)とは、アルキル化剤系の抗悪性腫瘍薬であり、ホジキンリンパ腫や膠芽腫等の悪性腫瘍に対する化学療法を実施する際に使用されています。

プロカルバジンは、肝臓で代謝されて活性体となりますが、他にMAOを阻害するという働きもあるため、この影響で抗うつ薬、アドレナリン作動薬、チラミンの作用が強くなります。

プロカルバジンは1969年、アメリカ食品医薬品局(FDA)に承認され、日本においても1967年から臨床試験が始まりました。

その後、日本では1973年に悪性リンパ腫の治療薬として承認され、2005年2月には神経膠腫に対する承認も追加されました。

効果・効能は?

プロカルバジンは、がん細胞がRNAやDNA、たんぱく質を合成することを阻害する働きを持ち、その働きによって抗腫瘍効果を発揮する薬剤となります。
また、プロカルバジンは血液脳関門を通過する性質も持っています。

血液脳関門とは、血液と脳・脊髄を含む中枢神経系の組織液との間の物質交換を制限する機構となっており、これは実質的に、血液と脳脊髄液との間の物質交換を制限する機構であるともいえます。

プロカルバジンはこのような血液脳関門を通過するため、脳腫瘍を治療する際に、プロカルバジンにニムスチン、ビンクリスチンを加えたPAV療法や、PAV療法にインターフェロンを加えたPAV-フェロン療法というような治療法に用いられることが多くなっています。

また、悪性リンパ腫においては、プロカルバジンにシクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドジゾンを加えたCOPP療法等の治療法に用いられています。

さらに、悪性リンパ腫の一種であるホジキン病においては、C-MOPP療法が行われており、この治療法においては、まずシクロフォスファミドを点滴で投与します。次にビンクリスチンを静脈注射で投与し、その後、プロカルバジンとプレドニンを経口で投与するようになります。

気になる副作用は?

プロカルバジンの副作用としては、嘔吐や吐き気、口内炎、下痢等の様々な症状の副作用が発生しやすくなっていますので、予想外の症状が発生したとしても慌てることが無いように、治療を開始する前に担当の医師から十分に説明を受けておく必要があります。

また、その副作用の症状が軽いものであった場合には、副作用の症状を改善させる前に、治療を優先させるというケースもあります。

プロカルバジン投与時に発生する副作用において、もっとも重要となるのが骨髄抑制による血液障害であり、この副作用では白血球が異常に減少してしまうため、身体の抵抗力が著しく落ちてしまい、感染症にかかりやすくなってしまいます。

また、血小板も減少してしまうため、出血も生じやすくなりますので、プロカルバジン投与中に発熱やのどの痛み、もしくは歯茎出血・皮下出血等の出血の症状等が発生したら、すぐに担当の医師に報告して指示を仰ぐようにしましょう。

また、その他のプロカルバジンの副作用として、間質性肺炎やけいれん発作が発生したという症例の報告もあります。
間質性肺炎では、息切れや空咳、発熱、息苦しさ等の症状が発生しますので注意が必要です。

プロカルバジンの使用時の注意点は?

プロカルバジンの使用時の注意点としては、まず、この薬剤の代謝作用が低下し、体内に蓄積させてしまう作用を持つ食品があります。
チーズ等の乳製品、にしん等の魚介類、またワイン等のアルコール類がこれに相当しますので、摂取は控えるようにしましょう。

また、プロカルバジンには、ドーパミンという神経伝達物質の分解を抑制する作用もあります。

そのため、向精神薬や抗うつ剤を服用している方は、プロカルバジンでの治療を開始する前に、必ず担当の医師に相談するようにしましょう。

さらに、プロカルバジンと他の抗がん剤を併用で使用した際、骨髄異形成症候群、急性白血病、肺がん等が発生したという症例も報告されています。
すでに他の抗がん剤を投与している方は、担当の医師との相談のうえ、十分に検討してからプロカルバジンでの治療を開始するようにしましょう。

【まとめ一覧】アルキル化剤の種類

ニムスチン(ニドラン)
>>いろいろながんの治療に適応しているアルキル化剤

ダカルバジン(ダカルバジン)
>>ホジキンリンパ腫、悪性黒色腫、膵ランゲルハンス島腫瘍、肉腫等の治療に適応しているアルキル化剤

イホスファミド(イホマイド)
>>ナイトロジェンマスタード系のアルキル化剤に分類

テモゾロミド(テモダール)
>>悪性度の高い脳腫瘍等に使用されるアルキル化剤

プロカルバジン(塩酸プロカルバジン)
>>1973年に悪性リンパ腫の治療薬として承認されたアルキル化剤

ラニムスチン(サイメリン)
>>田辺三菱製薬よりストレプトゾトシンを基本骨格として創薬されたアルキル化剤

メルファラン(アルケラン)
>>骨髄腫治療薬として承認されているアルキル化剤

シクロホスファミド(エンドキサン)
>>投与されると肝臓で代謝され、活性代謝物へと変化し薬効を示すアルキル化剤

ブスルファン(ブスルフェクス、マブリン)
>>アルキル化薬に属する、かなり強力な抗がん剤




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