乳がん治療中。ホルモン療法でノルバデックス服用中。【体験ブログ】
乳がん患者である私は、ホルモン療法で毎朝ノルバデックス10mgを飲んでいます。
これは病気の広がりを抑える薬。朝は必ず服用しています。
ずぼらな私が飲み忘れを防ぐ方法は、お箸と一緒にこの薬を用意することです。
そのおかげで飲み忘れることがありません。以前は、ボーっと考え事をしながら飲んでいたので、服用したのに飲んだかどうかを忘れることさえありました。
この病気になる前からコーヒーが大好きだった私は、通院している病院内にあるコーヒーショップを訪れました。
術後よりだいぶ元気に歩けるようになった私は、エスプレッソを注文。
すると店員さんは、エスプレッソは濃くて苦みがあるため、お客様にはこちらのコーヒーがおすすめですよ、と私を気遣ってくれたのです。
そんなやさしいことを店員さんから言われたのは初めてだったので、嬉しい反面迷惑をかけちゃったかなと思ったり…。
言われた通りマイルドなコーヒーに代えて注文しました。
きっと、術後のよたよた歩く私をその店員さんは見ていてくれたのでしょう。
見ず知らずの私にやさしい心を向けてくださり、感謝した出来事でした。
乳がん手術後半年のことです。
自分へのごほうびとして、こどもふたりと私でグアム旅行へ行く計画を立てました。
初めての海外です。もちろんこどもも海外は初めて。
がん手術を終えた私は怖いものなどなにもありません。
ちょっとこれは大げさな言い方ですが、数々の精密検査や全身麻酔、入院生活を経験したのです。
なんでもどんとこい!って感じです。
全くのはじめての海外なので、準備をいちからしなくてはなりませんでした。
パスポート申請やスーツケース購入などなど。準備が大変ですがそれも旅行の楽しみですね。
現地では食事は最低限あればいいやと思い、なるべく安く済ませました。
私が一番のメインにしていたことが、自然に囲まれての実弾射撃です。
こどもにやらせるのが目的でした。ところが、私も体験していいことになったのです。
お店の人が、英語で「さあ!やりましょう!」と誘導してくれました。
私もやりたいって顔に書いてあったに違いありません。
ですが、私は片方の乳房がないし、放射線治療で皮膚がかさかさでつっぱっているし。
それに旅行出発の3日前に、反対側の胸にできた良性の腫瘍の手術をしたばかりだったため、射撃は遠慮しました。
こどもが満足すればそれで良かったです。
でもやはり射撃のチャンスを逃したので、いつか同じ射撃場に行って自然の中で打ってみたいです。
グアム旅行の最中、私はもう最後だからよくこの景色を見ておこうではなく、来年また来るぞ!と感じていました。
なぜ弱っちい私がこんなに元気を取り戻したかというと、閉所恐怖症なのに、乳房専用MRIを30分間最後まであの狭い機械の中にいられることができたからです。
以前はMRIが怖くて怖くて、検査の間泣いてしまって最後までいられませんでした。
でも、がんは確定したのだからもう手術するしかないのです。
乳がんの私は、乳房だけを見るMRIも受けなければなりませんでした。
ただ怖いというだけで甘えてはいられないです。泣いたって動かなければいいのです。
私はたくさんの汗をかきながら、そして涙もぼろぼろと流しながらじっと我慢しました。
この機械の中にいてなんにも怖いことないのです。
深く息をしながらじっと耐えました。手術のためには必要なんだ!と思いながら。
閉所でも平気なことが分かった私は、飛行機も心の底から楽しみました。
旅行の計画を立てる時は飛行機は大丈夫かなあと心配していましたが、周りの乗客とともに3時間半のフライトを楽しむことができました。
狭くても大丈夫、平常心でいられました。
人は後悔を必ずします。
あの時こうすればよかったと思うことは当然だと感じながら、私は毎日過ごしています。
今日まで当たり前だったことが、明日には当たり前でなくなるかもしれません。
相手を思う気持ちを忘れずに、あのコーヒーショップの店員さんや、射撃場のスタッフの方を時々思い出しながら、今度は私が誰かにやさしく接しようと思っています。