放射線治療の副作用は?被爆量は?
放射線治療を受けるのだということをよく理解しておくことが重要です。
放射線は、細胞が分裂して増える時に必要な遺伝子に作用することができるため、細胞が増えないようにしたり、細胞が新しい細胞に置き換わる時に脱落する仕組みを促すことができます。
「放射線治療」では、このような作用を利用して、がん細胞を消滅させたり、少なくしたりして、がんを治療します。「放射線治療」には主に、X線、γ線、電子線等が使用されます。
放射線は腫瘍本体や転移した病巣、また、がんの再発や残存が予想される部位に照射しますが、その際、病巣の周囲には必ず正常な組織もあるので、それらが影響を受けさまざまな副作用が発生します。
ただ、その副作用には個人差があり、副作用によるデメリットより、放射線治療によってもたらされるメリットのほうが大きいので、放射線治療を受けるのだということをよく理解しておくことが重要です。
また、副作用には、治療中や治療直後にあらわれる「急性期の副作用」と、治療終了後3ヶ月以上経ってからあらわれる「晩期の副作用」があり、副作用が治療終了後約1年以上継続するというケースもあります。
放射線治療の「急性期の副作用」
「急性期の副作用」として、全身の倦怠感等の、全身的な副作用が発生することがありますが、がんという重い病気の影響を受けたストレスや、通院治療による疲れ等の影響である場合もあり、副作用かどうかの判別がしにくくなっています。
また、骨に放射線があたった影響で、造血機能が低下し、赤血球・白血球・血小板が減少することがあり、赤血球が減少すると貧血の症状があらわれるようになります。
したがって、放射線治療中は血液検査を定期的に行い、血球数の変動に注意して、著しく減少した場合には放射線治療を休止することになりますが、そのようなケースは稀です。
その他、放射線が照射される部分によって、次のような副作用があらわれます。
皮膚には、発赤、乾燥、かゆみ、色素沈着等の症状があらわれ、まるで日焼けをしたあとのような変化がみられます。
放射線治療が終了すれば、数週間で治るケースがほとんどですが、医師によっては軟膏が処方されることもあります。
日焼け跡と同じく、掻いたり、こすったりすると悪化してしまうので注意が必要です。
頭部においては、脳がむくんでしまうため、吐き気、嘔吐、めまい、頭痛等の症状があらわれることがあり、それを改善する薬が使用されることもあります。
頭の皮膚の発赤や、頭髪の脱毛等の症状もみられますが、放射線治療が終了すれば改善します。
口やのど、食道では、粘膜が炎症を起こしてしまうため、食べ物が飲み込みにくい、飲み込むときに痛む、声がかれる、口が乾く等の症状があらわれます。
各症状の具合をみて、必要に応じて症状を改善する薬が処方されることもあります。
放射線肺炎等の場合、治療を中断することも。
胸部においては、放射線肺炎が発生して、息切れ、発熱、せき等の症状があらわれることがあり、症状が酷い場合には、放射線治療を中断することもあります。
また、乳房が腫れてしまうという場合もありますが、放射線治療が終われば治ります。
腹部では、腸や胃に放射線があたるため、腹痛、下痢、吐き気、嘔吐等の症状があらわれることがありますので、必要に応じて薬が処方されます。
また、膀胱に放射線が照射された場合では、排尿困難や頻尿等の症状があらわれることがあります。
放射線治療が終わってから3ヶ月以上経過してからあらわれる「晩期の副作用」
「晩期の副作用」は、放射線治療が終わってから3ヶ月以上経過してからあらわれるものであるため、重篤な副作用があらわれることは稀となっています。
頭部の照射においては、脳障害、顔面神経麻痺、難聴等の症状があらわれることがあり、目への照射では、網膜症や白内障等の影響による視力障害があらわれることがあります。
皮膚の照射では、皮下が硬くなったり、潰瘍が発生することがあり、口やのど、食道への照射では、味覚異常、口が乾く、飲み込みにくい等の症状があらわれることがあります。
胸部や腹部への照射においては、心外膜炎のために動悸・息切れ等の症状があらわれる、肺線維症によって呼吸困難になる、大腸に潰瘍ができて出血してしまう等の症状があらわれることもあります。
このような症状に気づいたり、心当たりがあるような場合はすぐに専門の医療機関を受診することが重要です。