骨腫瘍・骨肉腫とは?特徴や症状は?
10代~20代の発症が多い骨腫瘍・骨肉腫。
骨に生じる腫瘍のことを「骨腫瘍」といい、非常に多くの種類があり、良性と悪性に分けられます。
それが悪性である場合、「悪性骨腫瘍」といい、その代表格が「骨肉腫」です。
ちなみに良性では「単発性骨嚢腫」や「類骨骨腫」が代表的です。
悪性は原発性悪性骨腫瘍と続発性悪性骨腫瘍の2種類
「悪性骨腫瘍」は「原発性悪性骨腫瘍」(骨自体から発生した腫瘍)と、「続発性悪性骨腫瘍」(身体の他の部分に生じた悪性腫瘍が骨に転移した腫瘍)の2種類に分けられます。
「原発性悪性骨腫瘍」は他のさまざまな癌の多くが、上皮組織である肺や胃から発生した悪性腫瘍であるのに対して、間葉系組織である骨から発生した悪性腫瘍という意味をもって「骨の肉腫」と呼ばれることもあります。
「原発性悪性骨腫瘍」は、他の癌と比較して稀な疾患であり、人口100万人に対して年間約4人程度の発症頻度とされています。
「原発性悪性骨腫瘍」には、次のような種類があります。
「骨肉腫」は腫瘍細胞自体が骨を作ってしまうという「原発性悪性骨腫瘍」です。
「原発性悪性骨腫瘍」の中で、日本では「骨肉腫」にかかる人が最も多くなっており、人口100万人に対して年間約2人程度の発症頻度となっています。
発生部位は上腕骨、脛骨近位部、大腿骨遠位部等の肩関節や膝関節に近いところに発生するケースが多いようです。
年齢別にみてみると、10歳代において、約半数、5~24歳までの間に約3分の2の患者が発症していることから、運動等で活動性の高い少年期に発症するケースが多いといえます。
最近では、50~60歳代での発症例も増加してきています。
1980年以前は診断がついた時点で、足や腕の切断手術が行われていましたが、近年の化学療法の発達によって、「骨肉腫」の患者の生存率が著しく改善されたため、手術療法においても、切断手術から足や腕を残して切除する方法へと移行してきています。
「軟骨肉腫」とは?
「軟骨肉腫」は「骨肉腫」に次いで発症頻度の高い「原発性悪性骨腫瘍」であり、年齢別では30歳以上の中・高年に多く発生しています。
発生部位としては、体幹の骨である骨盤、肋骨や、上腕骨や大腿骨等の四肢近位部に多く発生しているようです。
「骨肉腫」ほど転移は起こさず、進行もゆっくりであることが多いですが、良性骨腫瘍である骨軟骨腫や内軟骨腫などから二次的に発生することもありますので、注意が必要です。
「ユーイング肉腫」は?
「ユーイング肉腫」は「原発性悪性骨腫瘍」の中で、「骨肉腫」「軟骨肉腫」に次いで3番目に多くなっており、年齢別では10歳前~20歳代に多く発生しています。
発生部位としては、体幹の骨である骨盤、肋骨や、手足の根元付近の骨に発生することが多くなっています。「ユーイング肉腫」は、進行度が速く悪性度が高いという特徴がありますが、放射線療法や化学療法の効果が高いため、治癒が可能となっています。
「原発性悪性骨腫瘍」にはその他多くの種類があります
「原発性悪性骨腫瘍」には、その他にも、脊索腫(せきさくしゅ)、アダマンチノーマ、血管肉腫、脊索腫、悪性線維性組織球腫等のいろいろな病気があります。
「原発性悪性骨腫瘍」の初期症状としては、歩いたり走ったりしたときに痛む、運動時痛が主となります。
その後、病気が進行してくると、夜間寝ている時の痛みや、安静時の痛み等も出てきます。
「軟骨肉腫」では硬い腫瘤が発生しますが、痛みがほとんどなく、ゆっくりと大きくなるため、発見が遅れることも多くなっています。
また、骨盤等の身体の深い部分の骨に生じた腫瘍では、大きな腫瘍になるまで全く症状が出ないということも多いです。
そのため、腫瘍そのものの症状ではなく、脊髄に生じた腫瘍の影響に依る手足の痺れや麻痺、もしくは腫瘍によって弱くなった骨の骨折等の症状によって発見されるケースもあります。
以前は不治の病とされていましたが、最近では生存率が上がってきています
以前は「不治の病」とされていた「骨肉腫」ですが、「骨肉腫」と診断された患者の約60~75%は診断されてから5年以上生存しています。
また、肺に転移してしまった場合、予後が悪くなるという傾向があったのですが、近年では肺への転移が確認されたとしても、5年生存率は約50~70%となっており、かなり改善していることがわかります。
このように「骨肉腫」の予後は昔に比べて改善されていますが、「骨腫瘍」には多くの種類があり、それぞれの病気や進行状況等によって症状、治療方法、予後が大きく異なりますので、治療にあたっては正確な診断に基づく、適切な治療法の選択が重要となります。
「原発性悪性骨腫瘍」の正確な診断、治療には専門的な知識が必要なため、もし発症が疑われるような症状があったら、専門の医療機関を受診することをおすすめします。