PET検査とは?費用は?保険は適用される?
「PET検査」では、ずっと小さな早期がんまで発見することが可能
「PET検査」とは、がんを検査する方法の一つであり、「陽電子放射断層撮影」という意味で、「ポジトロン・エミッション・トモグラフィー(Positron Emission Tomography)」の略となっています。
通常、がんは体に何かしらの変化が起きる等の、ある程度進行した状態でないと発見しにくい病気であるため、特殊な検査薬を使用して、がん細胞に目印をつけ、がんを早期発見するということが「PET検査」の目的となります。
「PET検査」では、特殊な検査薬を人体の全身に点滴によって投与し、全身の細胞のうち、がん細胞だけに目印をつけることができ、専用の装置で身体全体を撮影することによって、がん細胞だけを写し出すことができます。
これにより、従来の検査と比較して、「PET検査」では、ずっと小さな早期がんまで発見することが可能となりました。
「PET検査」においては、細胞の性質を利用して、がんを探し出します。
従来のがん検査で行われる、レントゲン(X線)検査やCT、MRI検査等の検査では、検査によって写し出された造形からがんを見つけますが、「PET検査」においては、細胞の性質を利用して、がんを探し出します。
がん細胞には、正常細胞と比較して3~8倍のブドウ糖を取り込むという性質があり、「PET検査」はその性質を利用しています。
ブドウ糖に近い成分であるFDGを体内に注射し、FDGが体内の全身にまわりきった頃に、全身をPETで撮影します。
すると、がん細胞が発生している部位ではFDGが多く集まっている様子が写し出されるため、がんを発見する手掛かりとすることができます。
欧米では、まずは「PET検査」の結果をみて、がんの治療方針を決めるということが普通になっており、「がんが疑われたらまずはPET検査を(PETFirst)」という言葉があるほど、既に定着しているようです。
健康保険を適用で3割負担で受けられる「PET検査」
今まで、健康診断で「PET検査」を受ける場合では「自由診療」となっていましたが、平成22年4月より、健康保険の適用範囲が広がり、健康保険を適用する場合は、3割負担となるので、より一般的に受けることが可能となりました。
これまで「PET検査」においては、一部の疾患を除き、健康保険の適用対象にならなかったのですが、平成22年4月からは、早期の胃がんを除くすべての悪性腫瘍に健康保険の適用が認められるようになったのです。
ただし、血液や超音波等の検査、レントゲン検査やMRI等の画像検査において、転移、再発の診断が確定できない、または既に診断されている患者のみに限定されます。
また、その他の病気での適用範囲は、てんかんにおいては、難治性部分てんかんで外科手術が必要とされる患者、虚血性心疾患では、虚血性心疾患による心不全で、心筋組織のバイアビリティ診断を必要とされる患者(通常の心筋シンチグラフィでは判定困難なケースに限る)となっています。
また、「PET検査」によって悪性腫瘍か良性腫瘍かを鑑別する場合、同じ月に「PET検査」を同じ病名によるもので受けた場合、「PET検査」を受けた同じ月にガリウムシンチグラフィを受けた場合では、健康保険の適用ができなくなりますので、注意が必要です。
スタンダードな「PET検査」のコースで、1人1回あたり約10万円前後
現在、「PET検査」の費用としては、検査機関や病院、地域等によって違いはありますが、スタンダードな「PET検査」のコースで、1人1回あたり約10万円前後となる場合が多く、オプションでCTやMRI等を組み合わせた場合はもう少し高額となっているようです。
詳細は事前に各医療機関のホームページ等で確認しておくとよいでしょう。
また、検査費用の支払い方法は分割やカードでの支払いが可能な場合もあり、医療機関によっては検査費用の割引等を実施しているところもあるため、それも含めて各医療機関へ問い合わせてみるとよいと思います。