ヒドロキシカルバミド(ハイドレア)とは?効果・副作用は?

白血病やメラノーマの治療に使用されてきたヒドロキシカルバミド(ハイドレア)
ヒドロキシカルバミド(ハイドレア)とは、代謝拮抗剤に分類される抗がん剤であり、ドイツのDreslerらによって1869年に合成された尿素誘導体です。
ヒドロキシカルバミド(ハイドレア)はブリストル・マイヤーズ・スクイブ社によって販売されており、ハイドレアはその商品名となります。
ヒドロキシカルバミドは前述の通り、今から約150年ほど前の1869年に開発された薬剤であり、古くからいろいろな病気の治療に対して活用されてきました。
ヒドロキシカルバミドはアメリカで1967年に抗がん剤として承認され、白血病やメラノーマの治療に使用されてきました。
しかし、日本で承認されたのはそれよりかなり遅れており、1992年にようやく承認されています。
ヒドロキシカルバミド(ハイドレア)の効果・効能は?
ヒドロキシカルバミドは、DNAの合成を助ける働きを持つリボヌクレオチドレダクターゼという酵素の作用を阻害します。
これによりヒドロキシカルバミドは抗腫瘍作用を発揮し、がんを死滅させることができます。
ヒドロキシカルバミドの略号はHYDとなっており、アルキル化薬のマブリンと比べて副作用の症状が軽いため、比較的使いやすい薬剤となっています。
しかし、近年ではイマニチブ(グリベック)等の優れた新薬が開発されてきているため、ヒドロキシカルバミドの処方機会は徐々に減少傾向となっています。
ヒドロキシカルバミドは白血球数のコントロールに有用となっていますが、病気そのものを根治させるということは困難であるため、インターフェロン療法やチロシンキナーゼ阻害薬のイマニチブ、または骨髄移植とうの治療法が優先され、ヒドロキシカルバミドによる治療はそれらの治療法の補助的な役割を果たすものとなっています。
そのため、ヒドロキシカルバミドによる治療によって白血球の数が安定してきたら、イマニチブ等の薬剤に処方を変更するというケースが多くなっています。
また、日本において2013年に、真性多血症と本能性血小板血症への効能が、海外での臨床試験でそれらの病気に対する有効性が示されていることから、公知申請という特例扱いで正式に承認されました。
そのため、国内外において真性多血症と本能性血小板血症への1次治療薬としてヒドロキシカルバミドが推奨されています。
比較的安全な抗がん剤とされるヒドロキシカルバミド(ハイドレア)
ヒドロキシカルバミドは他の抗がん剤と比べて、比較的安全な抗がん剤とされているため、副作用は少ないとされています。
ただ、その中でも腹痛、下痢、嘔吐、吐き気、食欲不振等の消化器関連の副作用の症状が多く発生します。
また、頭痛、眠気、見当識生涯等の中枢神経の異常が発生する場合もあります。
さらに、ヒドロキシカルバミドを長期間にわたって投与している場合においては、皮膚潰瘍や皮膚がんが発症する危険性もありますので、注意が必要です。
さらに、ヒドロキシカルバミドによる重大な副作用としては、間質性肺炎や骨髄抑制の症状が発生することがあります。
骨髄抑制により白血球が必要以上に減少すると、身体の抵抗力が著しく落ちて感染症にかかりやすくなってしまいます。
また、血小板が減少することにより、出血が生じることもありますので、歯茎出血・皮下出血等の出血傾向、発熱やのどの痛み等の症状が発生した場合は、速やかに担当の医師に報告し、指示を仰ぐようにしましょう。
【まとめ一覧】代謝拮抗剤
■メトトレキサート(メソトレキセート)
>>急性および慢性白血病等に使用される代謝拮抗剤
■メルカプトプリン(ロイケリン)
>>急急性リンパ性白血病の寛解後に使われる代謝拮抗剤
■ペメトレキセド(アリムタ)
>>分子構造のよく似た葉酸の代謝を阻害することで細胞に損害を与える葉酸代謝拮抗剤
■ペントスタチン(コホリン)
>>多くのリンパ系の腫瘍に効果がある代謝拮抗剤
■フルダラビン(フルダラ)
>>多く血病やリンパ腫等の血液腫瘍の治療に用いられる代謝拮抗剤
■フルオロウラシル(5-FU、カルゾナール、ベンナン、ルナコール、ルナボン)
>>多主に大腸がんの化学療法において中心的な役割を果たす抗がん剤
■ヒドロキシカルバミド(ハイドレア)
>>白血病やメラノーマの治療に使用されてきた抗がん剤
■ネララビン(アラノンジー)
>>再発または難治性のT細胞急性リンパ性白血病に使用されてきた抗がん剤
■ドキシフルリジン(フルツロン)
>>日本では、胃がん、結腸・直腸がん、乳がんの治療薬として1987年に承認された抗がん剤
■テガフール・ウラシル(ユーエフティ)
>>頭頸部がんや消化器系のがんに広く使用されている抗がん剤
■テガフール(アチロン、アフトフール、テフシール、フトラフール、ルナシン)
>>代謝拮抗剤に分類されるフルオロウラシル系の抗がん剤
■シタラビンオクホスファート(スタラシド)
>>骨髄性異形成症候群や急性骨髄性白血病に対する治療に適した抗がん剤
■シタラビン(キロサイド)
>>代謝拮抗薬の中でもピリミジン拮抗薬に分類される抗がん剤
■クラドリビン(ロイスタチン)
>>リンパ系腫瘍に治療効果のある抗がん剤
■カルモフール(ミフロール)
>>大腸がん、胃がん、乳がんに対する有効性がある代謝拮抗薬
■エノシタビン(サンラビン)
>>急性白血病の治療に使用される代謝拮抗薬
■ゲムシタビン(ジェムザール)
>>がん細胞を自死(アポトーシス)に導く抗がん剤
■テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(TS-1)
>>胃がん、大腸がん(結腸・直腸がん)、頭頸部がん、非小細胞肺がん、乳がん、膵がん、胆道がんと幅広いがんに対して適応となっている薬剤