悪性リンパ腫とは?特徴や症状は?血液の3大悪性腫瘍。
「悪性リンパ腫」は全身のどこにでも発生する可能性が。
人間の身体の血液内のリンパ球とは白血球の1種であり、身体の免疫システムの中で重要な役割を果たしていて、体内に侵入した細菌やウイルスを撃退します。
「悪性リンパ腫」とは、このようなリンパ球が癌に変異してしまったもので、白血病・多発性骨髄腫と共に、血液の3大悪性腫瘍とされています。
リンパ系は全身を巡っているため、「悪性リンパ腫」は全身のどこにでも発生する可能性がありますが、もっとも発生頻度が多いのが「リンパ節」です。
「リンパ節」は足の付け根、脇の下、首等の全身に張り巡らされているリンパ管が合流する場所に存在します。
次いで発生しやすいのが、扁桃を含む咽頭(のどの中の鼻から食堂に続いていく部分)リンパ組織である「ワルダイエル輪」で、3番目に発生しやすいのが「胃」とされています。
40歳代から発症しやすくなる「悪性リンパ腫」
日本では年間約1万3000人が「悪性リンパ腫」に罹患し、そのうち約9500人が死亡しているようです。
年齢でみると、40歳代から発症しやすくなっており、その後は高齢になればなるほど、発症率が高くなっているようですが、稀に子供でも発症するケースがあるようです。
「悪性リンパ腫」は「非ホジキンリンパ腫」と「ホジキンリンパ腫」の2種類に大きく分けることができます
日本ではこの「非ホジキンリンパ腫」が約90%と大半を占めている状況です。
この「非ホジキンリンパ腫」は、さらに、「T細胞型」と「B細胞型」に大きく分類され、その他、悪性度・進行スピード・腫瘍の形等によって30種類以上に分類されます。
このように非常に種類が多い「非ホジキンリンパ腫」ですが、日本では「B細胞型」が約70~80%と大半を占めています。
「非ホジキンリンパ腫」は胃、大腸などのリンパ節以外の組織から発生するものと首、わきの下、足の付け根などのリンパ節から発生するものがあり、日本では特に胃に発生する症例が多くなっています。
「悪性リンパ腫」の代表的な症状は・・・
「悪性リンパ腫」の代表的な症状は、リンパ節のしこり・腫れであり、その多くは股の付け根、首や脇の下のリンパ節に発生します。
「悪性リンパ腫」のしこりや腫れの特徴は痛みがないことですが、病気が進行して、腫瘍が大きくなってしまうと、発熱や痛みを伴うケースも稀にあります。
また、癌に変異しているリンパ球が全身を巡るため、かゆみ・寝汗・全身倦怠感・体重減少等の全身症状があらわれてくることもあります。
「非ホジキンリンパ腫」の「T細胞型」では、首の辺りから胸の辺りにかけて発生することが多く、病気が進行して腫瘍が大きくなると、その胸の辺りを圧迫するため、呼吸困難の症状が出ることがあります。
さらに進行して、胸水がたまってしまうと、腹膜炎に似た症状も発症します。
「B細胞型」は、腸間膜、大腸や小腸の壁のリンパ節から発生することが多いため、腹部の腫れや便秘、腹痛等の症状があらわれます。
「悪性リンパ腫」の5年生存率は・・・
「悪性リンパ腫」の5年生存率は「非ホジキンリンパ腫」のステージⅠで約70~90%、ステージⅡで約70~80%、ステージⅢで約50~70%、ステージⅣで約50~65%となっており、「ホジキンリンパ腫」では、ステージⅠで約90%、ステージⅡで約80~90%、ステージⅢで約65~80%、ステージⅣで約40~65%であるため、「ホジキンリンパ腫」のほうが「非ホジキンリンパ腫」より予後が良好であるといえます。
ただし、「非ホジキンリンパ腫」は種類が非常に多いので、全てが予後不良であるとはいえず、前述の数字もあくまで目安の数値という位置づけになります。
「悪性リンパ腫」は以前は不治の病として恐れられていましたが、現在では、ステージⅢ~Ⅳ期であっても、平均生存率が10年前後であるというデータもあり、十分に治療可能な病気だといえると思います。
悪性リンパ腫の原因は今のところ解明はされてません
「悪性リンパ腫」の原因としては、ヘリコバクター・ピロリ・EBウイルス等ののウイルスや細菌への感染が原因でないかと考えられていますが、いまだにはっきりとは解明されていません。
また、「悪性リンパ腫」は痛みがない場合が多いため、自覚していない間に進行してしまうこともありますので、日常の健康管理や定期的な検診がより重要になる病気であると思います。