79歳で肝臓がんになった父。転移とホスピス入院。【体験ブログ】
父にがんが見つかったのは、79歳の時でした。
年齢よりも若く見え大きな病気もしたことがなかったのですが、高血圧で月に一度通っていた病院での血液検査で異常がみつかり、精密検査を勧められたのがきっかけでした。
某大学病院での検査入院で、肝臓がんがみつかり、それは既にとても大きくなっていることが分かりました。
できている部位が比較的切除しやすい場所に固まっているということで、ほかに転移もなかったため手術を勧められました。
ただ、高齢なので、手術に耐えられるか、また手術後の回復についても何とも言えないということで、手術をしないで抗ガン治療、という選択も提示されました。
本人も含めて治療法を協議。手術or抗がん剤治療・・・
本人も含め、私と兄、母で、医師の説明を受けて検討した結果、手術するということになり、いくつもの術前検査のあと、がんの摘出手術となりました。
かかった時間はたしか5時間以上だったと思います。
摘出したものを見せてもらいましたが、私の握りこぶしくらいの大きながんで、肝臓の半分近く切除したとのことでした。
手術後は2日間は集中治療室にいて、その後一般病室に移りました。
手術は成功。その後の予後は
心配していた回復も比較的早く、1か月ほどで退院し自宅で静養しながら、2週に一度くらい地元の病院へ通院となりました。
大学病院は隣町で、電車で1時間かかるため、その大学から医師が来ていた地元の市民病院への通院ということになったのです。
父の肝臓は残りの部分が、肝硬変などもなくいい状態だった、ということで、機能も保っていたようです。
通院はしていましたが、すっかり治ったのではないかと思うくらい、元気になりました。
半年後に腰にがんが転移。
その後は経過観察しながら過ごし、術後半年経ったころのことです。
そのころ父は体力づくりのため、よく散歩をしていたのですが、脚が痛いというようになりました。
筋肉痛だろうと、本人も家族も思っていて、無理をしないように散歩の距離を減らすなどしたのですが、脚の痛みは一向に良くならず、詳しい検査をしてもらうと、腰にがんが転移していて、それが右脚の神経に影響している、ということがわかりました。
できれば自宅療養にしたいという希望にそって
腰の骨に転移しているので、今度は手術で取るというわけにはいきませんでした。
父は昔から病院嫌いだったので、できれば自宅療養にしたいという希望があったので、これまでかかっていた病院から紹介され、緩和ケアの医師に訪問診療で来てもらうことになりました。
週に3回、看護師さんが来てくれ、週に一度は医師も一緒に来てくれます。
それで、肝臓がんにだけは、点滴ではなく口からとることができる錠剤の抗がん剤があり、その薬での抗ガン治療を勧められました。
しばらくはその薬を試していましたが、抗がん剤について懐疑的だった父は、その薬も辞めると言い出して、積極的ながん治療はしないことにしました。
痛みを抑えることを中心に、自宅療養を続けましたが、がんの最初の診断から1年近くたったころ、痛みがひどくなってきたのと自宅での療養も不安になってきて、ホスピスへ入院になりました。
ホスピスへ入院。見守る私たち
入院直後は、病気のせいで譫妄という認知症に似たような症状も現れ、これまでの父とあまりに違うので、見守る私たちはとても戸惑い落ち込みました。
しかし、その後は比較的落ち着いて過ごしていたと思います。
よくしゃべり、若作りしていた父とは変わり、痩せて口数も少なくなりましたが、にこにこした普通のおじいちゃんになりました。
結局、父はホスピスに入院後3か月で亡くなりましたが、転移後に余命は3か月くらいと言われていたので、それよりも3か月は長生きしたことになります。
抗ガン治療をやめたことが正しかったのか、ずいぶん考えましたが、それでも本人の選択だったし少しでも余命を長引かせることができたので、いい選択だったのかもしれません。