漢方薬 ガン

がんの治療で不足した体力、気力、生体防御能を補う漢方薬療法

がんの治療は、がん自体を消失するだけではなく患者の体の負担の軽減や治療中のがんとの共存、治療の副作用や後遺症の症状の緩和が必要です。
病気の原因を除去する西洋医学と異なり漢方医学では日によって異なる患者の状態に応じて漢方薬を処方して気力や体力の回復を図ります。

漢方薬には効果・効能、用法・用量、品質や安全性が確認された病院で処方されることで服用できる医療用医薬品があります。

単一成分あるいは幾つかの単一成分の配合剤である西洋薬と異なり漢方薬は植物、動物、鉱物を複数種類、一定の割合で混合した組成になっています。

がん治療における漢方薬治療の中心的な役割はがん自体やがんの治療で不足した体力、気力、生体防御能を補う補剤にあります。

がん治療で最初に用いられる漢方薬補剤には補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、人参養栄湯(にんじんようえいとう)があり3大補剤と呼ばれています。

さらにがん患者では生まれ持っている生命力が枯渇しているため気力・体力を補うために牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)、八味地黄丸(はちみじおうがん)、六味丸(ろくみがん)などの補腎剤を使用します。

がん患者の悪くなった血流を治すために桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などの駆お血剤も使われます。
他にも様々な目的で漢方薬のがん患者への使われ方が提唱されていますが以降は、上述の漢方薬について説明します。

漢方薬療法の効果・効能

漢方薬の生薬成分と効果・効能を下表にまとめています。

分類 漢方薬名 生薬成分 効果・効能
補剤 補中益気湯 オウギ、トウキ、サイコ、ニンジン、ソウジュツ、タイソウ、チンピ、カンゾウ、ショウマ、ショウキョウ 胃腸の働きを補い増強します
十全大補湯 オウギ、ケイヒ、ジオウ、シャクヤク、ソウジュツ、センキュウ、トウキ、ニンジン、ブクリョウ、カンゾウ 血流の改善を促します
人参養栄湯 ジオウ、トウキ、ビャクジュツ、ブクリョウ、ニンジン、ケイヒ、オウジ、シャクヤク、チンピ、オウギ、カンゾウ、ゴミシ 栄養状態を改善します
補腎剤 牛車腎気丸 ゴシツ、シャゼンシ、ジオウ、サンシュユ、サンヤク、ボタンピ、タクシャ、ブクリョウ 足腰や泌尿器の衰えを回復します
八味地黄丸 ケイヒ、ブシ、ジオウ、サンシュユ、サンヤク、ボタンピ、タクシャ、ブクリョウ 泌尿器などの下半身の衰えを回復します
六味丸 ジオウ、サンシュユ、サンヤク、ボタンピ、タクシャ、ブクリョウ むくみ、かゆみ、排尿障害などを改善します
駆お血剤 桂枝茯苓丸 シャクヤク、ブクリョウ、ケイヒ、トウニン、ボタンピ 血行不良、生理トラブル、更年期障害を改善します

漢方薬療法はこんな時に使用(適用)されます

補中益気湯

疲労、けん怠感が激しい時に使用します。比較的体力が低下し全身倦怠感があり、言葉や眼に力が無く食欲不振、微熱、寝汗、日中の眠気、動悸、不安などを訴える場合に用います。

十全大補湯

病後、手術後、慢性疾患などで体力、体力が衰弱している場合に使用します。疲労けん怠感が著しく顔色不良、皮膚の乾燥、寝汗、貧血、口腔内乾燥、微熱などを訴える場合に用います。

人参養栄湯

著しい疲労倦怠や手術後の体力低下の時に使用します。呼吸症状や不安や不眠など精神症状を訴える場合に用います。

牛車腎気丸

下肢痛、腰痛、しびれ、老人のかすみ目、かゆみ、排尿困難、頻尿、むくみに使用します。

八味地黄丸

腎炎、糖尿病、陰萎、坐骨神経痛、腰痛、膀胱カタル、前立腺肥大、高血圧に使用します。

六味丸

排尿困難、むくみ、かゆみに使用します。

桂枝茯苓丸

子宮並びに付属器炎症、子宮内膜症、月経不順、月経困難、帯下、更年期障害、頭痛、めまい、のぼせ、冷え症、腹膜炎、打撲傷、痔疾患、睾丸炎に使用します。

漢方薬療法の副作用

各漢方薬の副作用を下の表にまとめています。

漢方薬 重大な副作用 その他の副作用
補中益気湯 間質性肺炎、偽アルドステロン症、ミオパチー、肝障害、黄疸 発疹、じん麻疹、食欲不振、胃不快感、下痢、悪心
十全大補湯 偽アルドステロン症、ミオパチー、肝障害、黄疸 発疹、発赤、喀痰、じん麻疹、食欲不振、胃不快感、悪心・嘔吐、下痢
人参養栄湯 偽アルドステロン症、ミオパチー、肝障害、黄疸 発疹、発赤、喀痰、じん麻疹、食欲不振、胃不快感、悪心・嘔吐、腹痛、下痢
牛車腎気丸 間質性肺炎、肝障害、黄疸 発疹、発赤、搔痒、食欲不振、胃不快感、悪心・嘔吐、腹部膨満、腹痛、下痢、便秘、心悸亢進、のぼせ、舌のしびれ
八味地黄丸 発疹、発赤、搔痒、肝機能障害、食欲不振、胃部不快感、悪心・嘔吐、腹痛、下痢、便秘、心悸亢進、舌のしびれ、のぼせ
六味丸 食欲不振、胃部不快感、悪心・嘔吐、下痢
桂枝茯苓丸 肝障害、黄疸 発疹、発赤、搔痒、食欲不振、胃不快感、悪心、下痢

漢方薬療法の注意点・危険因子

共通して含まれる生薬のカンゾウには飲み合わせに注意するべき薬として強力ネオミオファーゲンシー、グリチルリチン酸製剤、カリウム喪失をきたすループ利尿剤、サイアザイドケイ利尿剤があります。

まとめ

今回の内容は「今日の治療薬2017」、「漢方薬とがん治療 -漢方医学センター-(慶応義塾大学病院 医療・健康情報サイト)」を参考にしています。漢方薬療法について下にまとめています。

  • 漢方薬療法はがん患者の状態を診て補完的に服用する補中益気湯、十全大補湯、人参養栄湯が基礎的な補剤です。がん患者で認められる腎臓・泌尿器の衰えを回復する補腎剤には牛車腎気丸、八味地黄丸、六味丸があります。がん患者の血行不良には桂枝茯苓丸などの駆お血剤を用います。
  • 八味地黄丸と六味丸以外には注意するべき重大な副作用等があります。カンゾウを含む漢方薬には飲み合わせの注意が必要です。



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