ANK療法とは?効果や効能は?【癌の治療法】
ANK=ナチュラルキラー細胞でがんを治療
がん細胞を攻撃する免疫細胞にはがん細胞を異物と認識して免疫系が成立した後にがんを排除するT細胞、B細胞、樹状細胞などと、免疫系が成立しなくてもがん細胞を直接感知して攻撃できるNK(ナチュラルキラー)細胞がいます。
このNK細胞に着目して患者由来のNK細胞を一旦、外部で培養して増やすとともにがんを除去する能力を高める処理後に再び患者体内に戻してがんを治療する方法をANK(Amplified Natural Killer=活性化したナチュラルキラー細胞)療法と呼びます。
治療法の効果を科学的に検証するには、がん患者を性差、年齢、がんの種類や進行度、病歴、基本となる治療法などの条件が同じになるように幾つかのグループに分けて効果の評価をしたい治療を施したグループと施していないグループでがんがどの程度小さくなったか、生存期間や生存率に差が出たかなどで効果を評価します。
しかしANK療法は患者個人で異なる状態のNK細胞を様々な手法で培養してがんの排除能力を高めてから患者本人に戻すために、多くの患者をグループ分けして条件を同じにしての評価が極めて困難な治療法であり現在までに科学的評価が出来ていない治療法です。
がんの治療法には科学的に効果や安全性が実証された標準療法と新しい研究中の先進医療があります。
標準療法は保険が適用される診療ですが、ANK療法も含めた先進療法の多くは保険が適用されない患者が全額自己負担する自由診療となります。
ANK療法の効果・効能
対象とするグループが設定されていない条件下で個々のANK療法で効果が認められたと報告されている症例の一部を以下の表にまとめています。
がんの種類 | 併用した治療法 |
---|---|
胃がん(手術不能例) | 抗体医薬品(ハーセプチン) |
卵巣がん(手術不能例) | ― |
再発食道がん | 抗体医薬品(ハーセプチン) |
大腸がんの転移例 | 抗体医薬品(アービタックス) |
前立腺がん転移 | 抗体医薬品(ハーセプチン) |
ANK療法はこんな時に使用(適用)します
手術不能例や転移予防などの難治例において抗体医薬品との併用での使用が考えられていますが、抗体医薬品単独療法と抗体医薬品とANK療法との併用を比較した科学的データによる結果が得られていない状況です。
しかし標準療法や他の先進医療ではがんの治癒が望めなくなった患者の選択肢として使用されます。
医療機関名 | 所在地 | 適用例 |
---|---|---|
新日本橋石井クリニック | 東京都・中央区 | ステージ1~3のがん |
みたかヘルスケアクリニック | 東京都・三鷹市 | 乳がん、前立腺がん、肺がん、胃がん、大腸がん、食道がん、胆嚢がん、泌尿器がん、白血病、肉腫、悪性リンパ腫、膵がん、肝がん、皮膚がん、子宮がん、卵巣がん |
きし整形外科・内科 | 茨城県・土浦市 | 既存療法に難治性のがん |
松本クリニック銀座 | 東京都・中央区 | 全種類、全部位のがん |
桜新町クリニック | 東京都・世田谷区 | 全てのがん |
一番地きじまクリニック | 宮城県・仙台市 | 悪性腫瘍 |
大川外科胃腸科クリニック | 愛知県丹羽郡 | 難治性がん |
河合まごころクリニック | 愛知県名古屋市 | 抗体医薬品を投与しているがん患者への併用 |
麻里メディカル | 愛知県・名古屋市 | 全てのがん |
カメイクリニック高岡院 | 富山県・高岡市 | |
カメイクリニック富山院 | 富山県・富山市 | |
ほりいクリニック | 兵庫県・西宮市 | |
芦屋グランデクリニック | 兵庫県・芦屋市 | |
ひわきクリニック | 福岡県・北九州市 | (著効例)下行結腸癌、膀胱がん、慢性骨髄性白血病、卵巣がん、乳がん、胃がんなど |
天神ひわき栗肉 | 福岡県・福岡市 | |
喜多村クリニック | 福岡県・大野越市 | 全てのがん |
大久保内科外科(内視鏡)クリニック | 大分県・大分市 | |
阿蘇温泉病院 | 熊本県・阿蘇市 | 化学療法、放射線療法が終了したがん患者 |
ANK療法の副作用
ANK療法はがんを攻撃するために免疫系を強く活性化することで体の中で悪寒、発熱、関節痛、筋肉痛、吐き気、頭痛など外部から侵入した病原体を攻撃する免疫が働いた場合と同様な風邪と似たような症状が出てきます。
ANK療法の注意点
がんの治療法には保険が適用となる標準療法と保険の適用外で治療費が患者負担となる自由診療があります。
ANK療法は自由診療ですので治療費については注意が必要です。
臨床試験中の発展途上の治療法なので治療効果や安全性、適したがんの種類などに造詣の深い医師にセカンドオピニオンを求めることが必要です。
再生医療等安全性確保法の施行により行政機関により届け出を受理された医療機関でのみでしかANK療法は受けれませんのでご注意ください。
まとめ
今回の内容は国立研究開発法人がん研究開発センターのホームページ、厚生労働省のホームページ、がん免疫療法用臨床試験ガイダンス(日本免疫治療学研究会)、「図解でわかるがん治療 ANK免疫細胞療法(リンパ球バンク)」を参考にしています。ANK療法について下にまとめています。
- ANK療法はがん細胞を殺傷する能力の高いナチュラルキラー(NK)細胞を体外で活性化後に患者体内に戻す免疫療法です。
- ANK療法は科学的に効果・効能や安全性が確立している療法ではなく個々の症例研究報告のみです。
- 抗体医薬品との併用療法が考えられていますが併用による効果の科学的な裏付けはありません。全てのがんを適用として多くの医療施設でANK療法は実施されています。
- 副作用として免疫系の症状が考えられます。
- 自由診療のため医療費が患者全額負担となり注意が必要です。セカンドオピニオンの活用も考慮しましょう。