食道ガン、咽頭ガン、喉頭ガン、また、胃ガンの原因になるタバコ・喫煙
ガンの原因の一つに発ガン性化学物質がありますが、このような有害な化学物質が含まれるものに、タバコの煙があります。
発ガン性化学物質といわれて、誰もが思いつくものがタバコであり、タバコは肺ガンのみならず、あらゆるガン発症のリスクを高めるということがわかっています。
例えば、タバコの煙が直接触れる食道ガン、咽頭ガン、喉頭ガン、また、胃ガンなどのガンにもタバコは深く関わっています。
その他、口から遠く離れた臓器である肝臓ガン、膀胱ガン、すい臓ガンなどの発症リスクも高めることがわかっています。
喫煙者の死亡リスクが非喫煙者と比較して30倍と、極めて高くなっています。
この中で、咽頭・喉頭ガンは、喫煙者の死亡リスクが非喫煙者と比較して30倍と、極めて高くなっています。
これらのガンにおいては、その6~9割のガンの原因がタバコであるそうです。咽頭は、鼻の奥~食道の入り口までの長い管で、その全長は約13cmほどとなっています。
喉頭は、のどぼとけ周辺のことを指し、咽頭の前側にある部位です。この咽頭・喉頭は、口や鼻から吸ったタバコの煙が真っ先に触れる部位となっています。
そのため、タバコの煙に含まれる発ガン性化学物質の影響を受けやすいとされています。
咽頭ガンは、その発生位置によって、上咽頭ガン、中咽頭ガン、下咽頭ガンの3つに分かれ、上咽頭ガンはウイルス感染が中心となっています。
そのため、中咽頭ガン、下咽頭ガンがタバコがリスク要因となって発症する主な咽頭ガンです。
その一方で、患者の95%以上が喫煙者であるといわれているほど、タバコと密接な関わりがあるガンが喉頭ガンです。
この咽頭ガン、喉頭ガンともにおよそ3400人くらいの年間罹患者数となっており、喫煙と関係が深いことから、男性の罹患率が高くなっています。
肺ガンは非喫煙者の6倍以上の罹患率
また、肺ガンも喫煙によってその発症リスクが高まりますが、特に喫煙指数が60以上となると、非喫煙者の6倍以上の罹患率となるというデータも報告されています。
肺ガンの中で、肺門部のガンが特に喫煙によって発症することが多いとされています。
これは太い気管支に近い肺門部のほうが、タバコの煙に直接触れやすいため、ガン化しやすいと考えられているからです。
また、タバコの受動喫煙によっても、肺ガンの発症リスクは2倍以上高まるといわれており、この受動喫煙による肺ガンは肺の奥の方の肺野部に発生することが多いため、早期発見が難しいという特徴があります。
次に、食道ガンは、日本人の罹患率が近年上昇しているガンであり、特に飲酒と喫煙が大きなリスク要因として指摘されています。
食道は、食べ物を胃に送るための通り道です。そのため、タバコの煙やお酒などの口から入ったものが、直接触れるので、その影響を受けやすい器官となっています。また、喫煙は「逆流性食道炎」という胃酸が食道に逆流してくる炎症の原因ともなります。そのため、食道ガンの発症リスクをさらに高めているといわれています。
その他、胃ガンも、タバコによって発症リスクが高まるガンであり、胃ガンを発症した人の4人に1人が、タバコが大きな原因となって発症したというデータも報告されています。
胃ガンはピロリ菌の感染がリスクファクターとして有名です。
しかし、ピロリ菌の保菌に喫煙が重なると、さらに胃ガン発症のリスクが高まるとされています。
このように、タバコの害は全身の様々なガンの発症リスクを高めますので、早めの禁煙をおすすめします。
また、今は保険を使って、禁煙外来を利用することも可能ですので、どうしても禁煙できない方は、一度受診してみましょう。