肥満は心筋梗塞や糖尿病に加え、ガンの原因になると考えられています。
ガンが発症する原因として、栄養の過剰摂取や飲酒、喫煙などの生活習慣が大きな要因とされていますが、その中で、肥満は心筋梗塞や糖尿病などの生活習慣病のリスクを高めるだけではなく、ガンの原因になると考えられています。
ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院(LSHTM)の研究チームは、500万人以上の英国人を対象とした過去最大規模の研究によって、BMI(体格指数)が高い肥満や過体重の人は、ガンを発症する確率が高いという結果を発表しました。
BMIは「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」という式で求められるのですが、研究チームはこのBMIが27を超えると、ガンの発症リスクは上昇していくと、医学誌「ランセット」に発表したのです。
この研究チームは、「臨床診療研究データリンク」という英国の国民健康保険の加入者を対象としたデータリンクより16歳以上でこれまでにガンと診断されたことのない524万人の被保険者を抽出しました。
そして、その抽出された対象者を、平均7.5年にわたって追跡調査したのです。
この調査では、英国人が発症する全てのガンの中で、上位90%を占める22種類のがんについてBMIとの関連を調べ、前述の対象者のうち16万6955人がガンを発症しました。
そして、肥満度をあらわすBMIとガン発症について、22種類のガンのうち実に17種類ものガンにおいて関連性があるとの結果が出たのです。
その結果によると、BMIの数値が5高まるごとに、子宮がんリスクは62%、胆のうがんは31%、腎臓がんは25%、子宮頸がんは10%、甲状腺がんは9%、白血病は9%、高まることが判明しました。
この結果より、「ガンの発症リスクを抑えるためには、適正体重を維持することが必要です」というアドバイスを研究チームの研究者は残しています。
また、日本においては、食生活の欧米化が時代の変化に伴って進んでいます。
き、肥満やメタボリックシンドロームが増加する傾向にあり、この増加傾向の伴って大腸がん、肝臓がん、前立腺がん、乳がんが見られるようになりました。
この中で大腸がんは、食生活の欧米化等の変化によって著しい増加がみられたガンであり、肥満と関係の深いガンとして、日本内科学会のBMIと各種ガンの発症率に関するメタ解析でも分析されています。
肥満においては、内臓に脂肪が溜まる内臓脂肪蓄積や、血液中に含まれるアディポネクチンの分泌量の低下を引き起こす作用が、大腸がんを発症させる大きな危険因子とされています。
また、肝臓がんも肥満と関連すると、その発症リスクが高まる恐れのあるガンとなっています。
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)という、飲酒歴がないのに肝細胞に脂肪が溜まって脂肪肝がみられるようになる病気は、肥満によって内臓脂肪が蓄積されることによって、引き起こされます。
また、同様に非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)という、脂肪肝によって炎症が発生し、線維化が進行する病気も引き起こされます。
このNAFLDやNASHが進行すると、肝臓がんを発症させる細胞へと発展させてしまう可能性があるのです。
このように、ガンと肥満は大きく関連していることが明らかであるため、日頃から肥満対策を心がけることは重要となります。
脂肪を燃焼させ、肥満を解消するためには、適度な運動を取り入れるが必要なため、ウォーキングやストレッチなどの有酸素運動はおすすめです。
また、効率よく脂肪を燃焼させるには、軽めのジョギングなどを行うことも良いと思います。
また、食生活においては栄養バランスの良い食事を取るようにし、インスタント食品やスナック菓子はなるべく控えるようにしましょう。