肺がんの手術費用、時間、入院期間は?

日本人のがんによる死亡原因の第一位となったのが「肺がん」
人間の肺の肺胞、気管支、気管の一部の細胞が何らかの原因でがん化したものを「肺がん」と呼んでいます。
近年、日本人のがんによる死亡原因の第一位となったのが「肺がん」であり、さらに引き続き増加傾向となっています。
「肺がん」は「小細胞肺がん」と「非小細胞肺がん」の2つに分けられ、「肺がん」全体の約80~85%を「非小細胞肺がん」が占めています。
「非小細胞肺がん」には放射線治療や化学療法の効果が得られにくいという特徴があるので、治療の中心は手術となります。
手術による治癒の確率は約50%ほどといわれています。
「肺がん」の手術は、「肺がん」の患者全てが受けられるわけではなく、患者それぞれの「肺がん」の進行具合で決まり、その手術による治癒の確率は約50%ほどといわれています。
その手術方法には次のようなものがあります。
「開胸手術療法」
「開胸手術療法」は、全身麻酔を行い、胸を開いた後、「肺がん」の発生している肺の部分を切除して、がんが発生している臓器周辺のリンパ節を切除する、リンパ節郭清も行う手術です。
「胸腔鏡手術」
「胸腔鏡手術」は、肺野部の早期「肺がん」に行われるケースが多く、「肺がん」患者の胸壁に2~3cmの孔を開けて、そこから胸腔鏡を入れて治療する手術です。
胸腔内を内視鏡で確認しながら、がんの発生している部分もしくは一部分を、胸腔鏡につけた器具によって、肺葉単位で切除します。
「胸腔鏡手術」は、「開胸手術療法」と比較して、患者の身体への負担が軽いため、数日という短期間の入院ですむというメリットがあります。
また、「肺がん」の手術では、肺をどのように切除するかで、手術の方法が変わってきます。
「一側肺全切除術」
「一側肺全切除術」は、「肺がん」が気管支の中央に近い部分に発生している場合に多く行われる手術であり、左右どちらか片側の肺をがんごと全て切除して取り除きます。
この手術方法は肺が一つになってしまうことによって、患者への負担がとても大きくなってしまうというデメリットがあるため、最近ではあまり行われなくなってきています。
肺の中の肺葉は、左の肺が上葉、下葉、右の肺が、上葉、中葉、下葉の5つに分けられますが、この肺葉に「肺がん」が発生した場合、その肺葉のみを切除するのが「肺葉切除術」であり、「肺がん」の手術中でもスタンダードなものとなっています。「肺葉切除術」は肺葉にがんが限局している状態のみ行うことが可能であり、がんが発生した肺葉を切除して、その肺葉に関連しているリンパ節を郭清します。
「気管支形成術」
「気管支形成術」は早期の肺門部がんの縮小手術として行われており、がんの発生した肺葉と気管支のみを切除し、残った正常な気管支をつなぎなおす手術となっています。
切除する範囲が比較的狭くてすみながらも、転移予防も行えるというメリットがあります。
「肺部分切除術」
「肺部分切除術」は、肺野部がんへの温存手術として行われており、「肺葉切除術」よりもさらに小さい範囲を切除する手術となっています。
肺がん」手術のスタンダードとなっている「肺葉切除術」では約120~150万円程度の費用
「肺がん」の手術費用は、患者それぞれのがんの症状や手術の方法、規模等によってかなり違いが出てきますが、「肺がん」手術のスタンダードとなっている「肺葉切除術」では約120~150万円程度の費用がかかるとされています。
ただ、この手術では保険が適用されるため原則として自己負担額は3割で、高齢者の場合は1割ですみます。
また、月々の上限額を設定する高額療養費制度を活用すれば、自己負担額は月に10万を超えることはまずないと思われます。
最も再発や転移を起こしやすいがんがからこそ、早期発見を
「肺がん」は他の全てのがんと比較して、最も再発や転移を起こしやすいがんの一つとなっています。
肺は全身の臓器と血液で密接につながっているため、転移しやすくなっており、特に「小細胞がん」の場合、早期の段階でも既に転移がみられるケースもあります。
がんの転移が進んでしまうと、手術でがんが切除できなくなってしまうので、何よりも早期発見が重要となります。
5年生存率からみても、がんの腫瘍が1cm以下の時点で発見できれば、ほぼ確実に治癒できることがわかっていますので、そのためにも定期検診を必ず受けて、がんの早期発見に努めることが大切となります。