スキルス性胃がんの初期症状は?気になるチェック項目。
特に上腹部のみぞおちに痛みを感じる「スキルス性胃がん」
胃がんは、胃の壁の最も内側にある粘膜内の細胞が、何らかの原因によってがん細胞化してしまい、その後、無秩序に増殖を繰り返すようになるがんです。
このように、普通の胃がんですと、胃の表面の粘膜に異常が起こるのですが、「スキルス性胃がん」の場合ですと胃の表面粘膜にあまり大きな変化が起こらないため、胃カメラを飲んだり、X線検査等を行っても発見できず、発見された時には、がんがかなり進行してしまっているというケースも少なくありません。
通常の内視鏡検査では初期症状を発見しづらくなっています。
「スキルス性胃がん」は胃壁の中を広く浸潤し、粘膜層の下にまるで木の根っこのように広がるため、粘膜部分の表面に異常が出にくくなっており、通常の内視鏡検査では初期症状を発見しづらくなっています。
したがって、胃壁全体が硬くなったり、胃が収縮し始めた時にようやく診断がつくことも多いため、精密検査をしてもらった段階では手遅れになっている場合も多く、その時には既に末期の状態であるということもあります。
そもそも「スキルス」とは、「硬い」という意味を持ち、胃が硬くなることから「スキルス性胃がん」は「硬がん」ともいわれています。
また、「スキルス性胃がん」は女性のほうが男性よりも発症する方が多くなっており、年齢別でみてみると、30~40代の比較的若い女性に多いがんとなっています。
そんな「スキルス性胃がん」の初期症状には次のようなものがあります。
「スキルス性胃がん」になると「胸やけ」の症状が出る人が多いといわれており、これは通常の胃がんと変わらず、胃液が多く出すぎてしまって胃粘膜とのバランスが崩れることによって発生するといわれています。
ただ、「胸やけ」の症状自体は、食べ過ぎたり、飲みすぎたりしただけでも発生する症状であるため、見落とされやすくなっています。
「胸やけ」が毎食事の度に発生していたり、かなり頻度が多く発生しているときには、胃がんや胃潰瘍だけではなく「スキルス性胃がん」も疑うようにしましょう。
また、「消化不良」という症状も「スキルス性胃がん」による胃もたれや胃粘膜の炎症によって発生する人も多いとされていますが、この症状も「胸やけ」と同様に胃潰瘍等の初期症状と同じであるため、見過ごされるケースが多くなっています。
「胸やけ」や「消化不良」が発生している際に、同時に「食欲不振」の症状も発生するケースがあります。
「食欲不振」は胃の粘膜機能の低下による、胃の処理能力低下によって発生する場合と、胃酸の逆流等の不快感によって発生している場合があり、この「食欲不振」により、当然ながら体重も減少します。
少しでも胃痛がある場合には、なるべく早い段階で医師の診察を受けることが望ましいと思われます。
また、「スキルス性胃がん」になると、特に上腹部のみぞおちに痛みを感じるといわれており、食後に痛みだし、食事を取りすぎた際に長時間痛みが続いたり、逆に空腹時に腹痛が起こって、食事をすると治まってしまうという症状が発生する場合もあります。
ただ、腹痛が強ければ強いほど状態が悪いというわけではなく、「スキルス性胃がん」が進行して、胃が相当ダメージを受けてから初めて激痛が起こるというケースもあることから、少しでも胃痛がある場合には、なるべく早い段階で医師の診察を受けることが望ましいと思われます。
さらに、「スキルス性胃がん」により、胃液が多く出てくる状態になると、前述の「胸やけ」等とともに酸っぱいゲップが出てくるようになり、「吐き気」、「嘔吐」という症状につながるともいわれています。
ただ、これも胃潰瘍と同様の症状となっているため、見過ごされるケースが多くなっています。
その他の症状としては、口臭が臭い、味覚異常、下痢や便秘を繰り返す、胃が張ったような感じがする、全身倦怠感がある、貧血がある、真黒な便(タール便)が出る、腹部にしこりがある、顔や手等が黄色くなっている(黄疸)等の症状があります。このような症状に一つでも心当たりがあれば、速やかに専門の医療機関を受診することをおすすめします。
また、「スキルス性胃がん」の初期症状の傾向としては、胃(みぞおち)に何らかの小さな変化が発生し、それが徐々に大きくなっていくというケースが多くなっているので、その近辺の小さな兆候(サイン)を見逃がさないようにすることが、「スキルス性胃がん」の早期発見につながっていくと思われます。