スキルス性胃がん検査の費用や種類、方法は?
特に30~40歳代の比較的若い女性に多くみられるスキルス性胃がん
普通の胃がんは、胃の壁にがん細胞ができてそこから胃全体に広がっていきますが、「スキルス性胃がん」の「スキルス」とは「硬い」という意味を指し、その名の通り、胃の壁が硬くなります。
胃がんの大部分は腺がんという種類に分類されますが、その腺がんは分化型腺がんと印環細胞がんや低分化腺がん、粘液がん等の未分化型腺がんにさらに分けられます。
分化型腺がんは、がん細胞の形や並び方が胃の粘膜構造を残しているため、比較的予後が良いとされていますが、未分化型腺がんは、胃の粘膜構造が少なく、細胞がばらばらになってしまっているがんであるため、小さながんであっても肝臓やリンパ節、腹膜等に転移することがあり、予後が悪いがんとなっています。
そのような未分化型腺がんのうち、小さなびらんや陥凹等の、わずかな胃の壁の粘膜変化しか発生しない状態で、胃壁全体にがんが浸潤していて、胃壁全体が硬くなってしまう特殊な胃がんのことを「スキルス性胃がん」と呼んでいます。
「スキルス性胃がん」は、潰瘍を作ったり、胃粘膜の表面が盛り上がったりする等の大きな変化が発生しないため、見た目では発見することが難しく、発見した時にはがんがかなり進行しているというケースも多くなっています。
また、がん事態の進行も速く、発見した際には既に手術不可能な状態になっている患者が約50%にも達するという、胃がんの中で最も悪性度の高いがんとなっています。
「スキルス性胃がん」は、胃がん全体の約10%程度を占めており、年齢や性別でみてみると、特に30~40歳代の比較的若い女性に多くみられるがんとなっています。
「スキルス性胃がん」の診断は以下のようなものがあります。
「スキルス性胃がん」の診断時には、内視鏡検査や造影検査、超音波内視鏡検査、腹部エコー検査、腹部CT検査、腹部MRI検査、レントゲン検査などの画像検査を行うことが多くなっています。
「胃内視鏡検査」
「胃内視鏡検査」は内視鏡を口から胃の中に入れて、胃の内部を直接観察する検査で、早期胃がんの場合では条件を満たせば、内視鏡を使用してがんの切除を行うこともできます。
ただ、「スキルス性胃がん」では、浸潤が進んでいることが多いため、内視鏡的治療では取り残しのリスクがあることから、選択されないケースが多くなっています。
「造影検査」
「造影検査」は、造影剤(バリウム)と胃を膨らませる発泡剤を一緒に飲んで行う検査であり、バリウムによって胃壁の凹凸がはっきりと確認できるため、胃壁の陥凹性や隆起性の病変を見逃すことなく発見することができます。
内視鏡検査だけでは「スキルス性胃がん」の広がりを診断できませんが、「造影検査」によって胃の変形が観察できるため、がんの広がり具合も診断することができます。
「超音波内視鏡検査」
「超音波内視鏡検査」は、内視鏡の先端に超音波を発生する装置を付け、胃の粘膜の断層像を映し出して確認する検査です。
内視鏡で胃の粘膜側の所見を調べ、超音波でリンパ節転移の有無とがんの深さを調べます。
「腹部超音波(エコー)検査」
「腹部超音波(エコー)検査」は、体の中にある臓器などに超音波が当たって跳ね返ってきた信号が映像になって映し出される検査で、胃の周りや大動脈周囲のリンパ節の腫大、肝臓への転移、胆道閉塞の有無、腹水の有無糖を調べることができます。
「腹部CT検査」
「腹部CT検査」は、X線を用いて人体を輪切りのような断層画像に映し出し、肝転移や肺転移、胸水、腹水の有無、胃がんと周りの臓器の位置関係、周辺臓器への浸潤の有無、胸部や頸部のリンパ節腫大等を確認できます。
ただ、放射線の被ばく量がX線検査と比較して数十倍となるというデメリットもあります。
「腹部MRI検査」
「腹部MRI検査」は、X腺ではなく強い磁場をかけて身体の中を調べる検査であり、微小肝転移の診断やリンパ節転移の診断能が高い検査となっています。
放射線被ばくが無いというメリットがありますが、強い磁場がかかるので、ペースメーカー等を使用されている方は検査を行えないというデメリットもあります。
「胸部X線検査(レントゲン)」
「胸部X線検査(レントゲン)」は、安価で簡単に実施できる検査であり、患者への負担が比較的少なく、胸部のおおまかな情報を速やかに調べることができるというメリットがある検査です。
主に胃がんの肺転移を発見するのに適していますが、心臓や大血管と重なったり、病変が小さかったりするとがんの検出が困難となるというデメリットもあります。
このように「スキルス性胃がん」の検査にはいろいろなものがあります。
その検査費用ですが、実施機関や検査の種類によっても異なりますが、例えば「造影検査」で約10,000~15,000円程度、「胃内視鏡検査」で約15,000~20,000円程度となっています。
また、胃がん検診は各自治体や健康保険組合などの団体から、補助が出る場合もありますので、一度、自分が住んでいる地域の自治体に問い合わせてみると良いと思います。