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甲状腺がんの手術費用、時間、入院期間は?
5対1くらいの割合で女性に多い甲状腺がん
人間の甲状腺は、のどぼとけのすぐ下、気管の前面に位置しており、その甲状腺に発生した悪性腫瘍のことを「甲状腺がん」と呼びます。
「甲状腺がん」の大半は、他のがんと比較すると、進行が遅くておとなしい性質であって、治療できちんと治すことができるがんであり、5対1くらいの割合で女性に多いがんとなっています(乳頭がんの場合)。
初期症状が無い甲状腺がん
「甲状腺がん」には、初期症状は無いため、首のしこりや腫れを風邪で病院にかかった時等に医師に指摘されて、「甲状腺がん」の発見につながったというケースも多くなっています。
「甲状腺がん」の大半は、他の臓器に転移することはほとんどないのですが、比較的早期の段階から、甲状腺周囲のリンパ節に転移することはあります。
ただ、リンパ節に転移しても、がん自体の進行が遅いため、治療で治すことができるケースが多くなっています。
手術で甲状腺の一部、もしくは全部分の切除が基本的な治療方法
「甲状腺がん」の大半の治療は、他の臓器へのがんの転移が確認できない限り、手術で甲状腺の一部、もしくは全部分の切除、さらに、転移がみられるリンパ節を切除することで終了となり、手術後、放射線治療や抗がん剤治療を行う必要もありません。
「葉切除術」で甲状腺の片方切除
「甲状腺がん」のステージがまだⅠ期・Ⅱ期であれば、「葉切除術」という、左右に分かれている甲状腺(左葉・右葉)のうち、がんが発生している片方を切除する手術を行います。
比較的簡単な手術であり、治療後の経過も良好で、手術後、甲状腺ホルモンを薬で補う必要がないというメリットがあります。
ただ、温存した甲状腺に微小ながんがのこる可能性があり、反回神経という声帯の運動を司っている神経の麻痺を起こす可能性があります。
また、放射性ヨウ素を用いた再発の検査や治療が必要になったり、「甲状腺がん」の再発が確認されたりした場合は、残した甲状腺を切除するための再手術が必要になります。
もし、「甲状腺がん」の大きさが、約10㎜以下であれば、手術せずに経過観察ですむ場合もあり、また、内視鏡手術を行う場合もあります。
「甲状腺がん」の腫瘍が大きい・悪性の場合はどうするの?
「甲状腺がん」の腫瘍が大きい場合、悪性度が高いがんの場合、がんのステージがⅢ期以上まで進んでしまっている場合は、甲状腺全体を切除する「全摘術」を行います。
「全摘術」では、甲状腺にがんが残ることはなく、手術後、放射性ヨウ素による再発・転移の検査や治療が容易になり、同じく手術後の腫瘍マーカー(サイログロブリン(Tg))を用いた再発・転移の検査が可能となります。
ただ、甲状腺の機能が完全に失われるため、甲状腺ホルモンを薬で補い続ける必要があり、「葉切除術」と同じく、反回神経という声帯の運動を司っている神経の麻痺を起こす可能性があります。
また、場合によっては、副甲状腺機能に低下が生じてしまい、血液中のカルシウムが不足してきてしまうため、薬で治療を受ける必要が出てくるケースがあります。
リンパ節に転移、広がっていたら?
もし、「甲状腺がん」が、のどのリンパ節である頸部リンパ節や、他の臓器(喉頭、食道、気管等)にまで広がってしまっている場合には、それらも手術によって切除することになります。
「葉切除術」、「全摘術」のどちらにおいても起こる可能性のある反回神経麻痺の症状は、声のかすれや水分を飲むとむせる等となっています。
反回神経麻痺は、甲状腺に接している反回神経を手術の際に切除すると起こってしまうので、できる限り温存するように手術を行います。
「甲状腺がん」を「全摘術」・・・費用はどのくらい?
「甲状腺がん」の「全摘術」を受けた場合の費用は、某大学病院の資料によると、概算で約20万~30万円の自己負担で、入院期間は約9日間ほどだったそうです。
高額療養費制度を利用した場合、入院が月をまたぐということがなければ、約8万~9万円程度の負担ですむと思われます(自己負担額3割、一般的な所得者の場合)。
また、甲状腺ホルモンを一生補い続けるための薬の価格は安く、1日1錠飲んでも自己負担は3円ほどで、年間約1,100円ほどしかかからないようであり、副作用も少なく、近所のかかりつけの病院でも処方が可能な、身近な薬となっています。
このように「甲状腺がん」は、他のがんと比較すると、経済的にも身体的にも優しいがんであるといえそうです。