口腔がんの手術費用、時間、入院期間は?
頭や喉に発生するがんの中だけでみてみると、喉頭がんに次いで2番目に多い口腔がん
「口腔がん」は口腔内に悪性腫瘍が発生する疾患であり、その大部分は、口腔の表面を覆っている薄く扁平な形をした細胞である、扁平上皮細胞から発生したものであり、これらは「扁平上皮がん」と呼ばれています。
「口腔がん」には舌のがんである「舌がん」、舌と歯ぐきの間に発生するがんである「口腔底がん」、歯ぐきのがんである「歯肉がん」、頬の内側の粘膜に発生するがんである「頬粘膜がん」、上あごの発生するがんである「硬口蓋がん」等の種類があります。
「口腔がん」は全てのがんの種類の中ではその発生率が、約1~3%程度
比較的稀ながんといえますが、頭や喉に発生するがんの中だけでみてみると、喉頭がんに次いで2番目に多いがんとなっています。
さらに、日本国内で「口腔がん」にかかる人は年々増加しており、現在では年間約7,000人が新たに「口腔がん」にかかっているとされています。
ただ、「口腔がん」は早期に発見することができれば、その90%以上が完治するがんであり、特に「口腔がん」の約60%を占めている「舌がん」では、がんを早期発見できれば、約80%の患者において舌を残存したまま完治することができるようです。
そのためにも、がんを早期発見し、適切な手術を受ける必要があります。
人間において、口は話すための舌があったり、食べ物をかみ砕いたりして、重要な役割を担っている部分であるので、「口腔がん」の手術においては、患者の生活の質をなるべく低下させないため、口の中や舌を温存する治療法が選択されます。ほとんど全ての「口腔がん」において、治療法は手術治療が中心となり、その手術法には次のようなものがあります。
「局所切除術」は、「口腔がん」全体と周囲の正常組織の一部を切除する手術法です。
「口腔がん」の約60%を占める「舌がん」では、できるだけ舌を温存するために、ステージⅠ期・Ⅱ期では舌を切除せず、がんが発生した部分だけの切除を行います。
がんの大きさが約2cm以下であれば、舌を切除しなくても、約80~90%の「舌がん」患者が完治しています。
ステージⅢ以降では、がんが発生した部位側の舌を半分だけ切除するようにし、同時にリンパ節切除も行った後に、舌の機能が残るように縫合を行います。
また、がんが骨まで広がってしまっている場合には、そうした骨組織の切除も行われることがあります。
「頸部郭清術」は、頸部リンパ節と頸部のそのほかの組織を切除する手術法
近年では手術後の後遺症を低減させるため、これらの組織を可能な限り温存するように、手術法が工夫されてきています。
「再建手術」は、体の一部の再建を行う手術であり、咽頭や口腔、頸部等を修復するために組織移植等を行うことがあります。
口腔内の欠損に対しては、通常は患者の体の別の部分である、腕や足、お腹等の皮膚を使用して再建することが多いようです。
また、「舌がん」の手術において、舌の半分若しくは全部を切除した場合では、前腕の筋肉や腹部の筋肉を移植し、舌を再建します。
もし、歯肉の骨やあごの骨を切除した場合は、金属や患者自身の骨を移植して、再建します。
「口腔がん」の治療費は例えば、ステージⅡ期であれば約60万円、ステージⅣ期であれば約150万円かかるといわれています。
早期発見できれば医療費も少なくて済み、温存治療も可能なことから、手術後の機能回復も期待できます。
そのためにも、「口腔がん」をなるべく早期発見できるように、日頃から口の中の様子に注意するようにし、がんを発見した場合は、速やかに専門の医療機関を受診することが大切です。