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肺に作用しやすいビノレルビン(ナベルビン)

ビノレルビン(ナベルビン)とは、抗がん剤で、植物由来のビンカアルカロイド系抗悪性腫瘍剤であり、フランスの製薬会社であるピエールファーブルメディカメン社で開発されました。

ビノレルビン(ナベルビン)は、協和発酵キリン株式会社から販売されていて、ナベルビンはその商品名です。

ビノレルビンは微小管阻害薬とも呼ばれている抗がん剤で、他のビンカアルカロイド系の薬と違って脂溶性であることから、肺に作用しやすい薬となっています。

そのため、ビノレルビンは非小細胞肺がんにおいて、シスプラチンと併用するNP療法が標準治療となっており、また手術不能もしくは再発してしまった乳がんに対しても、ビノレルビンの単剤投与による治療が行われています。

細胞分裂の速い細胞を攻撃のターゲットにするというのが抗がん剤の基本的な考え方

がん細胞は正常細胞が変異することで発生しますが、元は正常細胞であることから、がん細胞と正常細胞にはその構造等に大きな違いはみられません。

しかし、正常細胞は活発に細胞分裂を行いませんが、がん細胞は無秩序な増殖を繰り返すという特徴があり、そのため、細胞分裂のスピードという点で正常細胞とがん細胞には大きな違いがあります。

そこで、がん細胞に対抗し抗がん作用を示すためには、細胞分裂の速い細胞を攻撃のターゲットにするというのが抗がん剤の基本的な考え方となっています。

この細胞分裂を阻害すれば細胞毒性を示し、がん細胞の主要組織を縮小させることができますが、この時に微小管という物質が重要となります。

細胞分裂を行うためには細胞内のDNAを複製し、これを分裂時に2つへ分けなければならないのですが、この過程において微小管という物質が関わっています。

細胞分裂を行う際において、この微小管は寄せ集まるようになりますが、これを専門用語で「重合する」と呼び、この微小管の重合によって、DNAを2つに分けるための準備が整います。

つまり、この微小管の重合を阻害することができれば、細胞分裂を行う際に微小管を分けられなくなるので、細胞分裂がストップします。このような作用機序によって、抗がん作用を示す薬がビノレルビンとなります。

ビノレルビンは、非小細胞肺がんや乳がん等の治療に対して使用される抗がん剤となっています。

非小細胞肺がんにビノレルビンを単独で使用した場合の、がん細胞が縮小したり、消えたりする割合である奏効率は、約30.6%であったという報告がされています。

また、ビノレルビンと他の抗がん剤であるシスプラチンやマイトマイシンを併用した場合においては、約58.6%の奏効率であったとのことです。

ビノレルビンの代表的な副作用は?

ビノレルビンの代表的な副作用としては、骨髄抑制があり、特に好中球の減少の症状が発生しやすいとされているため、ビノレルビンの投与開始から2週間ほどは、発熱等の症状の発生に十分に注意しなければなりません。

また、ビノレルビンは血管炎の発生しやすい抗がん剤であるともいわれています。そのため、投与後の血管外漏出には特に注意が必要となります。

この血管炎の症状は、ビノレルビンの投与後から数日が経ってから発生する場合もあります。
この症状を遅発性血管炎と呼んでいますが、もしビノレルビンを注射した部位に痛みや腫れなどが発生した場合には、すぐに担当の医師等に報告することが重要です。

その他のビノレルビンの副作用として、間質性肺炎、虚血性心疾患、イレウス(腸閉塞)、便秘等の症状が発生する場合もありますので、もともとこれらの病気を持病として持っていたという患者は、ビノレルビン投与後の経過観察を、特に慎重に行うことが大切です。

また、ビノレルビン投与時に稀ではありますが、アナフィラキシーショック、腎障害、急性膵炎、肺塞栓症等の重篤な副作用が発生することもありますので注意しましょう。

さらに、ビノレルビンとマイトマイシンCを併用で使用した場合においては、気管支けいれんの副作用が発生するケースも報告されています。

【まとめ】植物アルカロイド一覧

パクリタキセル注射剤(アブラキサン)
>>様々ながんの治療に用いられている抗がん剤の1つ

ビンブラスチン(エクザール)
>>微小管阻害薬に分類されている抗がん剤の1つ

ビンデシン(フィルデシン)
>>細胞分裂において重要な役割を果たしている微小管の働きを阻害する抗がん剤

ビンクリスチン(オンコビン)
>>多発性骨髄腫、白血病、悪性リンパ腫等の血液の悪性腫瘍の治療に用いられる植物アルカロイド

ビノレルビン(ナベルビン)
>>手術不能もしくは再発してしまった乳がんに対しても用いられる植物アルカロイド

パクリタキセル(タキソール)
>>イチイ科の植物から抽出された成分を使って作られた抗がん剤

ドセタキセル(タキソテール)
>>パクリタキセルと名称が似ていて、作用機序も同様だが抗腫瘍効果も高い場合も。

ノギテカン(ハイカムチン)
>>小細胞肺がんや、がん化学療法後に悪化した卵巣がんの治療に使用される抗がん剤

ソブゾキサン(ペラゾリン)
>>成人T細胞白血病リンパ腫や悪性リンパ腫の治療に使用される抗がん剤

エリブリン(ハラヴェン)
>>再発または手術不能の乳がんに使用される抗がん剤

エトポシド(ベプシド、ラステッド)
>>北アメリカのメギ科の植物の根から抽出した抗がん剤

イリノテカン(カンプト、トポテシン)
>>卵巣がん、子宮がん、乳がんや進行再発胃がん、また、肺がんや大腸がん等の幅広いがんに適用される抗がん剤




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