抗がん剤

日本化薬から注射薬として販売されているビンブラスチン(エクザール)

ビンブラスチン(エクザール)とは、初期の頃はビンカレウコブラスチンと呼ばれていた、抗がん剤(抗悪性腫瘍剤)の一種です。

ビンブラスチン(エクザール)は、微小管阻害薬に分類されている抗がん剤の1つで、日本化薬から注射薬として販売されており、エクザールはその商品名となっています。

ビンブラスチンは1958年、キョウチクトウ科のニチニチソウから成分を抽出し、アメリカとカナダの研究者がそれぞれ別に作り出した、植物アルカロイドの1つとなっています。

この点でビンブラスチンはビンクリスチンと同様で、その作用機序においてもビンクリスチンと同様となっており、「微小管」という細胞分裂に欠かせない物質の働きを阻害します。

「微小管」とは、小さな束上組織であり、チューブリンというタンパク質から構成されます。「

微小管」はDNAを複製する時において、「紡錘糸」を形成します。コピーされたDNAは、この「紡錘糸」によって両極に引っ張られるようにして分かれます。この働きによって、細胞が2つに分かれます。

したがって、ビンブラスチンが「微小管」の働きをすれば、がん細胞が細胞分裂し、増殖していくことを妨げることができます。

ビンブラスチンは、胞状奇胎や絨毛がん等の絨毛性疾患や、悪性リンパ腫、尿路上皮がん、難治性または再発の胚細胞腫瘍等の疾患に提供されている抗がん剤です。

ビンブラスチンは、例えば「ABVD療法」(ビンブラスチンをドキソルビシン、ブレオマイシン、ダカルバジンと併用する治療法)として、進行期ホジキンリンパ腫の治療に活用されています。

また、「M-VAC療法」(ビンブラスチンとメトトレキサート、ドキソルビシン、シスプラチンと併用する治療法)として、尿路上皮がんの治療に活用されています。

さらに、「VelP療法」(ビンブラスチンとシスプラチン、イホスファミドと併用する治療法)として、難治性の胚細胞腫瘍の治療にもよく活用されています。

ビンブラスチンの代表的な副作用は??

ビンブラスチンの代表的な副作用としては、骨髄抑制があり、特に好中球の減少の症状が顕著にあらわれます。

そのため、ビンブラスチンの投与中には、発熱や感染症に十分な注意が必要です。
もし、この骨髄抑制の症状が重度であった場合には、G-CSF製剤の使用も検討するようになります。

また、ビンブラスチンの副作用としては、イレウス(腸閉塞)や便秘等の消化器系の副作用があらわれることもあります。

そのため、ビンブラスチンの投与中は、食物繊維や水分を十分に摂取するようにし、このような症状の予防をすることが大切となります。

さらに、ビンカアルカロイド系の抗がん剤の副作用の特徴として、神経障害が発生しやすいとされています。

その具体的な症状は、手足のしびれ等の末梢神経障害、排尿障害、筋肉痛等があり、この神経障害が重篤化すると、けいれん、神経麻痺、筋力低下等の症状が引き起こされるケースもありますので注意が必要です。

その他、ビンブラスチンの投与中においては、アナフィラキシーショック等のショック症状や呼吸困難等が発生したケースも報告されています。

また、ビンブラスチンとマイトマイシンCを併用した場合においては、気管支けいれんが発症したケースもあり、さらに、ビンブラスチンと白金製剤を併用した場合においては、難聴等が発症したケースもあるそうです。

その他、消化管出血が発生したケースもありますので、ビンブラスチンの投与中や投与後は経過観察を慎重に行うことが重要となります。

ビンブラスチン使用時の注意点としては、性腺への影響があるという点が挙げられます。

そのため、子供や生殖可能年齢の患者においては、ビンブラスチンの使用判断を担当の医師とよく相談の上、慎重に決定するようにしましょう。

【まとめ】植物アルカロイド一覧

パクリタキセル注射剤(アブラキサン)
>>様々ながんの治療に用いられている抗がん剤の1つ

ビンブラスチン(エクザール)
>>微小管阻害薬に分類されている抗がん剤の1つ

ビンデシン(フィルデシン)
>>細胞分裂において重要な役割を果たしている微小管の働きを阻害する抗がん剤

ビンクリスチン(オンコビン)
>>多発性骨髄腫、白血病、悪性リンパ腫等の血液の悪性腫瘍の治療に用いられる植物アルカロイド

ビノレルビン(ナベルビン)
>>手術不能もしくは再発してしまった乳がんに対しても用いられる植物アルカロイド

パクリタキセル(タキソール)
>>イチイ科の植物から抽出された成分を使って作られた抗がん剤

ドセタキセル(タキソテール)
>>パクリタキセルと名称が似ていて、作用機序も同様だが抗腫瘍効果も高い場合も。

ノギテカン(ハイカムチン)
>>小細胞肺がんや、がん化学療法後に悪化した卵巣がんの治療に使用される抗がん剤

ソブゾキサン(ペラゾリン)
>>成人T細胞白血病リンパ腫や悪性リンパ腫の治療に使用される抗がん剤

エリブリン(ハラヴェン)
>>再発または手術不能の乳がんに使用される抗がん剤

エトポシド(ベプシド、ラステッド)
>>北アメリカのメギ科の植物の根から抽出した抗がん剤

イリノテカン(カンプト、トポテシン)
>>卵巣がん、子宮がん、乳がんや進行再発胃がん、また、肺がんや大腸がん等の幅広いがんに適用される抗がん剤




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