ノギテカン(ハイカムチン)とは?効果・副作用は?
抗がん剤の一種で、トポイソメラーゼ阻害薬に分類されています。
ノギテカン(ハイカムチン)とは、抗がん剤の一種で、トポイソメラーゼ阻害薬に分類されています。
ノギテカン(ハイカムチン)は、日本国内においては日本化薬から点滴薬として販売されており、ハイカムチンはその商品名となっています。
ノギテカンは小細胞肺がんや、がん化学療法後に悪化した卵巣がんの治療に使用され、海岸ではトポテカンと呼ばれています。
また、大規模な臨床試験の結果によって、卵巣がんに対するノギテカン療法は、プラチナ耐性再発卵巣がんに対する治療法の1つともなっています。
ノギテカンは、カンプトテシンを科学的に合成してつくられた薬剤です。
カンプトテシンとは、クサミズやカンレンボクと呼ばれる植物に含まれている植物アルカロイドの一種です。
ノギテカンはイギリスのスミスクライン・ビーチャム社が開発した薬剤であり、2000年に日本でも承認され、その後、2011年に前述の通り、抗がん剤治療後に悪化した卵巣がんにも承認されています。
ノギテカンはイリノテカンと同じ作用機序を持つ抗がん剤であり、DNAの複製のために作用するトポイソメラーゼⅠという酵素の働きを阻害することによって、がん細胞の増殖を抑制します。
ただ、イリノテカンは人間の体内で「SN-38」という物質に代謝されてから、その後に抗腫瘍効果を発揮するのですが、ノギテカンは代謝後ではなく、そのままの形で抗腫瘍効果を発揮するという違いがあります。
「SN-38」が消化器への影響が大きく、重篤な下痢等の副作用の症状を発生させてしまうものでもあります。
そのため、「SN-38」の代謝されることがないノギテカンでの治療においては、イリノテカンと比較し、消化器症状の副作用が軽い症状で済むとされています。
ノギテカンの副作用としては、強い骨髄抑制が代表的であり、好中球、血小板、白血球のいずれも著しく減少します。
この骨髄抑制の症状は、ノギテカンの投与時に高頻度で発生し、感染症によって死亡したという症例も報告されています。
また、吐き気、嘔吐、食欲不振、脱毛、発熱、倦怠感等もよく見られる副作用の症状となっています。
イリノテカン投与時と比較すると、ノギテカン投与時のほうが、下痢等の消化器症状は軽いことが多いのですが、その一方で、消化管出血等の副作用が発生するというケースもあります。
さらに、ノギテカンは尿中に排泄される薬であることから、腎機能に障害を持っている患者がノギテカンを使用した場合、血液毒性の副作用が通常の患者への投与時と比較して、強い症状が発生する場合があります。
そのため、腎機能の障害を持っている可能性が高い、高齢の患者へノギテカンを投与する際は、より慎重に行う必要があります。
その他のノギテカン投与時の副作用としては・・・
その他のノギテカン投与時の副作用として、肺塞栓症や間質性肺炎等の重篤な副作用が、稀ではありますが発生する可能性がありますので、ノギテカンを投与した際には、その経過観察を慎重に行うようにしましょう。
ノギテカン使用時の注意点としては、前述の通り、骨髄抑制等の副作用が発生しやすいため、高い頻度で血液検査や肝機能検査、腎機能検査等を欠かさず行う必要があります。
また、抗がん剤の一種であるシスプラチンと併用すると腎機能が低下し、腎臓からのノギテカンの排出が滞る可能性がありますので注意が必要です。
さらに、ノギテカンと腎イオン輸送系阻害剤(プロベネシド)等を併用すると、副作用の症状が増強されてしまう可能性がありますので注意しましょう。
【まとめ】植物アルカロイド一覧
■パクリタキセル注射剤(アブラキサン)
>>様々ながんの治療に用いられている抗がん剤の1つ
■ビンブラスチン(エクザール)
>>微小管阻害薬に分類されている抗がん剤の1つ
■ビンデシン(フィルデシン)
>>細胞分裂において重要な役割を果たしている微小管の働きを阻害する抗がん剤
■ビンクリスチン(オンコビン)
>>多発性骨髄腫、白血病、悪性リンパ腫等の血液の悪性腫瘍の治療に用いられる植物アルカロイド
■ビノレルビン(ナベルビン)
>>手術不能もしくは再発してしまった乳がんに対しても用いられる植物アルカロイド
■パクリタキセル(タキソール)
>>イチイ科の植物から抽出された成分を使って作られた抗がん剤
■ドセタキセル(タキソテール)
>>パクリタキセルと名称が似ていて、作用機序も同様だが抗腫瘍効果も高い場合も。
■ノギテカン(ハイカムチン)
>>小細胞肺がんや、がん化学療法後に悪化した卵巣がんの治療に使用される抗がん剤
■ソブゾキサン(ペラゾリン)
>>成人T細胞白血病リンパ腫や悪性リンパ腫の治療に使用される抗がん剤
■エリブリン(ハラヴェン)
>>再発または手術不能の乳がんに使用される抗がん剤
■エトポシド(ベプシド、ラステッド)
>>北アメリカのメギ科の植物の根から抽出した抗がん剤
■イリノテカン(カンプト、トポテシン)
>>卵巣がん、子宮がん、乳がんや進行再発胃がん、また、肺がんや大腸がん等の幅広いがんに適用される抗がん剤