抗がん剤 治療 副作用

テガフール(アチロン、アフトフール、テフシール、フトラフール、ルナシン)

テガフール(アチロン、アフトフール、テフシール、フトラフール、ルナシンほか)とは、代謝拮抗剤に分類されるフルオロウラシル系の抗がん剤であり、胃がんや大腸がん等の消化器系のがんによく使用されています。
テガフールは、ラトビア共和国の科学アカデミーの研究によって、1960年代に開発されたフルオロウラシルのプロドラッグです。

そのため、体内の肝臓で代謝されてフルオロウラシルとなり、DNAやRNAの合成を阻害して、がん細胞を死滅させる働きを持ちます。

プロドラッグとは、体内で代謝されることで効果を発揮する薬のことをいいます。

プロドラッグは体内で代謝を受けてない状態だと薬としての効果を発揮しませんが、肝臓等に存在する代謝酵素のよって化学構造が変化すると薬としての効果をはっきするようになります。
医薬品をプロドラッグ化させる理由としては、体内への吸収性を良くする、特定の臓器で作用させる、副作用を低減させる、薬の作用を持続化させる等の理由が挙げられます。

この理由のなかで、薬の作用を持続させるという点について、このプロドラッグ化によって薬としての作用時間を持続化させた医薬品の例として、テガフールが挙げられます。
医薬品は、すぐに代謝や排泄の影響を受けてしまうと、半減期が短い医薬品である場合、薬を投与した時の効果も短くなってしまいます。

そのため、半減期として薬の作用時間をある程度確保しないと医薬品としての効果を発揮できないので、このような薬の作用時間を持続させる方法として、薬剤のプロドラッグ化が有効とされています。

プロドラッグ化すれば、半減期が極端に短い医薬品であっても、その半減期を長くすることができます。

このような半減期が極端に短い医薬品として、半減期が約10分という短い時間で、昔から使われている抗がん剤である、フルオロウラシルが挙げられます。
フルオロウラシルはそのままの状態では作用時間がとても短いため、フルオロウラシルにプロドラッグ化を施して、テガフールへと変換することが開発されました。

テガフールは肝臓の代謝酵素によって徐々にフルオロウラシルへ変換されるのですが、その半減期は約7.5時間となっているため、かなり長い時間をかけて少しずつ抗がん作用を発揮する有効成分へと変化していきます。

テガフールは、大腸がん、胃がん、膀胱がん、乳がん、頭頚部がんに適応となっています。

また、テガフールは経口タイプの錠剤やカプセル剤、粉末剤等の内服薬や、座薬、注射剤などの多くのタイプがあり、使用するがんの種類によって投与されるタイプが変わります。
テガフールを経口薬として使用する場合においては、1日分の投与量を2~4回に分けて服用しますが、胃がんにおいてはテガフールよりTS-1を治療の中心的薬剤として使用することが多くなっています。

テガフールを投与した際の主な副作用は?

テガフールを投与した際の主な副作用としては、下痢、嘔吐、吐き気、腹痛、口内炎、食欲不振、胸やけ等の消化器系の副作用が強い症状となって発生することが多くなっています。
また、その副作用の症状が重くなってしまった場合においては、消化管出血や激しい下痢による脱水症状が発生したりします。

また、テガフールを使用した際に発生する重篤な副作用としては、骨髄抑制の影響による白血球減少による感染症や出血傾向が発生したり、間質性肺炎が発生したりしますので、十分な注意が必要となります。

その他のテガフールによる副作用の症状としては、発疹、かゆみ、脱毛、皮膚炎等の過敏症が発生することがあります。
さらに、めまい、頭痛、しびれ等の神経症状や、血痰、血尿、発熱等の症状が発生するということもあります。

テガフール使用時の注意点として、抗がん剤であるTS-1と併用してはいけないということがあります。

TS-1と併用すると、重篤な骨髄抑制の血液障害等の症状が発生することがあります。
また、TS-1の使用中止後も抗がん剤の影響は残りますので、最低でも1週間はテガフールを使用しないようにしましょう。

また、テガフールには催奇形性が報告されています。
そのため、妊婦の方や妊娠の可能性がある方は、安全性の確保がされていないので、テガフールの使用は控えるようにし、また、授乳をしている方は中止するようにしましょう。

【まとめ一覧】代謝拮抗剤

メトトレキサート(メソトレキセート)
>>急性および慢性白血病等に使用される代謝拮抗剤

メルカプトプリン(ロイケリン)
>>急急性リンパ性白血病の寛解後に使われる代謝拮抗剤

ペメトレキセド(アリムタ)
>>分子構造のよく似た葉酸の代謝を阻害することで細胞に損害を与える葉酸代謝拮抗剤

ペントスタチン(コホリン)
>>多くのリンパ系の腫瘍に効果がある代謝拮抗剤

フルダラビン(フルダラ)
>>多く血病やリンパ腫等の血液腫瘍の治療に用いられる代謝拮抗剤

フルオロウラシル(5-FU、カルゾナール、ベンナン、ルナコール、ルナボン)
>>多主に大腸がんの化学療法において中心的な役割を果たす抗がん剤

ヒドロキシカルバミド(ハイドレア)
>>白血病やメラノーマの治療に使用されてきた抗がん剤

ネララビン(アラノンジー)
>>再発または難治性のT細胞急性リンパ性白血病に使用されてきた抗がん剤

ドキシフルリジン(フルツロン)
>>日本では、胃がん、結腸・直腸がん、乳がんの治療薬として1987年に承認された抗がん剤

テガフール・ウラシル(ユーエフティ)
>>頭頸部がんや消化器系のがんに広く使用されている抗がん剤

テガフール(アチロン、アフトフール、テフシール、フトラフール、ルナシン)
>>代謝拮抗剤に分類されるフルオロウラシル系の抗がん剤

シタラビンオクホスファート(スタラシド)
>>骨髄性異形成症候群や急性骨髄性白血病に対する治療に適した抗がん剤

シタラビン(キロサイド)
>>代謝拮抗薬の中でもピリミジン拮抗薬に分類される抗がん剤

クラドリビン(ロイスタチン)
>>リンパ系腫瘍に治療効果のある抗がん剤

カルモフール(ミフロール)
>>大腸がん、胃がん、乳がんに対する有効性がある代謝拮抗薬

エノシタビン(サンラビン)
>>急性白血病の治療に使用される代謝拮抗薬

ゲムシタビン(ジェムザール)
>>がん細胞を自死(アポトーシス)に導く抗がん剤

テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(TS-1)
>>胃がん、大腸がん(結腸・直腸がん)、頭頸部がん、非小細胞肺がん、乳がん、膵がん、胆道がんと幅広いがんに対して適応となっている薬剤




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