父が60歳で大腸癌と診断されて手術を受けました。【体験ブログ】
病院へ行き大腸内視鏡検査を受けると、S状結腸部分に3センチ大の腫瘍がある事が分かりました。
2年前に父が大腸癌と診断されて手術を受けました。
最初に気が付いたのは毎年行う会社での健康診断です。
それまでの健康診断では血圧が少し高めだったり中性脂肪の値が多かったりと、多少の異常はあったものの再検査が必要な程ではありませんでした。
それが2年前の健康診断では検便検査で便に血が混ざっていた事が分かり、再検査をする事になったのです。
すぐに病院へ行き大腸内視鏡検査を受けると、S状結腸部分に3センチ大の腫瘍がある事が分かりました。
そしてそのまま細胞を採取して検査した結果、悪性腫瘍である事が分かり60歳で大腸癌だと診断されてしまったのです。
私が初めて癌だと聞かされたのは大腸内視鏡検査の検査結果が出た夜の事でした。
何となく父の様子がいつもと違っていたので嫌な予感はしていたのですが、大腸癌だと聞かされた時はやはりショックが大きかったです。
医療は昔に比べてかなり進歩している為、父の癌も適切な治療を行えば治癒する可能性は高いという事でした。
それでも癌は大病であるという認識があり、再発する可能性もゼロとは言えず心配で仕方がありませんでした。
いくら医者から治る可能性が高いと言われても「死」という不安は常にあり、何より「まさか自分の親が癌になるなんて」と当時の気持ちは今でもよく覚えています。
癌は放っておけばどんどん進行してしまいます。
手術をするにしても医者からは「転移を含めもっと詳しい検査が必要」と言われ、PET検査を受けて転移箇所の有無を調べる事になりました。
このPET検査は、がん細胞に印をつけて小さな癌も発見できるというものです。
検査の結果、その時点では転移箇所はどこにも見当たらないとの事で、手術をどのように行うかの話を進める事になりました。
提案された手術は2種類で一つはメスで開腹して病巣を切除するという方法、もう一つは腹腔鏡手術という方法です。
30センチ程切開しなければならない開腹手術に対し腹腔鏡手術はお腹に5箇所穴をあけそこから器具を入れて病巣を切除する為、体への負担が少ないと説明を受けました。
更に父はこの時大腸癌と一緒に糖尿病とも診断されていたので、傷の治りが遅い可能性があると説明を受けた事もよく覚えています。
家族で相談した結果、傷が少なくて済む腹腔鏡手術の方が良いと判断して腹腔鏡手術を受ける事が決まりました。
手術前に言われた病状では、リンパ節への転移が数箇所あると思われるステージ3bの可能性が高いとの事でした。
そう言われてからはネットを見たり本を購入して大腸癌について調べましたが、ステージ3bはリンパ節への転移も深刻で再発の可能性も高確率であると知り衝撃を受けました。
医師からも転移や再発の事については強く言われており「術後は抗がん剤による長期の治療が必要でしょう」という言葉は今でも忘れる事ができません。
ただ実際に切除してみないとリンパ節へ転移しているかどうかの判断は難しい為、手術をして結果を見てからその後の治療方針は決めるという事でした。
切除してみなければどうなるかは分からないというのがとても不安で、手術の日程や入院する日が決まってからも心が休まる時はなかったと言えます。
考えていたのは「転移があったらどうしよう」「思ったより深刻だったらどうしよう」「手術は成功するのだろうか」という不安ばかりで、私や家族も悪い方にばかり考えてしまっていました。
父は癌だと分かってからも見た目には普段通りで不安な様子も見せませんでしたが、内心はとても怖かったのだと思います
更に糖尿病も併発していた為にそちらの治療が優先されて、血糖値が安定するまでは手術ができないという状況にあった事も不安を大きくさせた理由の一つです。
糖尿病の治療をしている間も癌は確実に進行しているのに、癌に対しての治療はできません。
手術が遅れる事によって「もっと早く手術を受ける事ができていたら助かったかもしれないのに」という事も十分にあり得ます。
当時父の食事を作っていたのは私だった為、糖尿病にまでなったのは私の作っていた食事が原因だったのかと自分を責める事もありました。
そんな不安な日々を過ごす中ついに手術の日がやってきました。
入院は手術の前日で、予定では入院8日程度とかなり短いものでした。
手術自体は難しいものではないと言われており、手術の予定時間は5時間です。
予定より少し長い6時間程で手術は終了しましたが、終わるまでの間は生きた心地がせず待合スペースの前を看護師さんが通る度に「父に何かあったのではないか」とドキッとしたのを覚えています。
無事に手術が終わり、結果はリンパ節への転移も認められず病巣は全て切除できたと医師から説明を受け、この時に初めて心からほっとする事ができました。
もちろん術後も感染症といった危険はあるので楽観視はできませんが「転移や再発の可能性はないと考えて良い」という言葉を医師の口から聞いた時は本当に嬉しかったです。
医師の話だと早期発見できたのが良かったとの事で、その後無事に回復し予定通り8日後に退院する事もできました。
抗がん剤治療を行う必要もなく、半年に1度の検査を続けるだけでいいそうです。
普段何気なく受けている会社の健康診断ですが、今回私たち家族はその健康診断に救われたと思っています。
健康診断をしていたから癌を早期に発見する事ができ治す事ができました。今でも父が検査をする度に結果を聞くのは怖いですが、手術前と変わらない元気な姿で生活しているのを見ると本当に良かったと思います。
癌をきっかけに家族全員の生活習慣を見直す事になって、以前より健康に気を遣うようにもなりました。
健康でありたいと思っていても何かきっかけがないと中々できないものです。
治ったから言える事ですが、私たち家族にとってそのきっかけが癌だったのだと思うようにしています。”