50歳、女性、看護師をしています。3年前乳がん発症【体験ブログ】
「看護師さんなら、自分の病気も、見つけやすい」と思われがちですが、むしろ逆かもしれません。
とにかく仕事が忙しく、職場と自宅を往復するだけの日々。体調が悪い、疲れがたまっていると感じても、それは仕事のせいだと、思い込んでいました。
癌が発見される1年ほど前からでしょうか、これまで病気らしい病気をしたことがなかった体に、さまざまな異変が現れ始めました。
まず、はじめに起こったのは、全身に赤い斑点ができて、強烈なかゆみを伴うという症状。
勤めていた病院で、アレルギーらしいと診断され、内服治療を行いましたが、一向に改善しません。
かゆみを抑えるために保冷材で、身体を冷やしながら仕事をするという過酷な状況でしたが、2週間ほどで、なんとか改善し、ほっとしたのもつかの間。
今度は、歯茎から膿が出始めるという症状が。
あわてて歯科を受診すると、歯槽膿漏の初期状態だと言われ「最善は尽くすが、最悪、抜歯の必要がある」と説明されました。
症状にショックを受けたのはもちろんですが、それ以上に衝撃だったのは、治療のための高額な出費。
そんな思いが通じたのか、最終的には、抜歯は免れることができたました。
しかし、ハミガキには人一倍気をつかっているのに、こんなことになるなんてと、釈然としない思いが残りました。
あきらかに違和感のある、はっきりとしたしこりを見つけた
その後も、アレルギー性鼻炎の症状が悪化して、耳鼻科に通院し続ける羽目になったり、目の奥の網膜と言う部分に穴が開いており、その場でレーザー治療を行って、あやうく失明という事態を免れたりと、いろいろな不調があらわれました。
ここまで、不調が続けば、看護師として「ちょっとおかしいのでは」と思うべきだったのでしょう。
でも、私はまったく気づきませんでした。
もしかしたら、精神的にも、正常な判断ができないような状況に陥っていたのかもしれませんね。
そんなある日、お風呂から出て、ふと自分の左胸に触れた時に、その姿勢のまま、動けなくなりました。
あきらかに違和感のある、はっきりとしたしこりを見つけたからです。
直感的に「これは、まずい」と思い、次の日にすぐ、乳腺外来を受診しました。
結果は乳がん。すぐに手術を行い、放射線治療、抗がん剤治療を行い、現在でもホルモン剤の内服治療を続けています。
幸い、再発はみられておらず、手術も腫瘍部分のみで済みましたので、胸を全摘せずに残すことができました。
3年たった今でも「もしあの時気づかなかったら」と思うとぞっとします。
でも、なぜ気づくことができたのか、乳がんの疑いなどみじんも持っていなかったし、検診の意識すら全くなかった私が、どうしてあの時、自分の胸に触れてみたのか、不思議でなりません。
理屈では説明できない、何かの力が働いたとしかいいようのない、まさに奇跡ともいえる出来事でした。
あのことを思い出す度、今自分がこうして生かされていること、それにどんな意味があるのか、考えさせられます。
今回、この記事を書くに至ったことも、その意味の一つなのかもしれない、そんな風に考えたりします。