皮膚がんの原因になる?放射線や紫外線とは?
放射線とは、とても小さな粒のことで、運動エネルギーを持って空間を飛び回っており、私たちの身近にも多く存在しています。
その身近な放射線は、レントゲンに用いられているX線やガンマ線などであり、それらは「光」の性質を持っています。
ただ、放射線の中には、がん治療に用いられている重粒子線や、放射性物質から出るアルファ線やベータ線などの「粒子」の性質を持った、より高エネルギーの放射線も存在します。
ただ、これらの放射線の何れにおいても、ものすごい高速で動いている電磁波であることに変わりはなく、この中でもマイクロ波などの比較的エネルギーが低い電磁波は、電子レンジなどに用いられています。
放射線はもともと、地球や宇宙空間に存在していたものであるため、放射線自体は自然なものであり、宇宙に存在している「宇宙線」は高エネルギーを持った放射線となっています。
したがって、地球においても上空に行けば行くほど被ばく量は増加することから、宇宙飛行士はもちろん、CAやパイロットなどの飛行機で働く人の年間の被ばく量は高くなります。
現在「年間200ミリシーベルト以上」の放射線量が、人体に影響を与える放射線量の目安となっています。
しかし、個人差もあるため、この数値以下であれば放射線の影響を受けることがないとは必ずしもいえません。
放射線は、このように高いエネルギーを持っているため、人体にあたると細胞の中をでたらめに走り回ります。
そのため、人体のあちこちに傷をつけてしまうのですが、その際にDNAに傷をつけると、がん発症の原因となってしまうのです。
細胞核には4つの塩基で構成された2本のDNAの鎖があり、細胞分裂の際に1本ずつ分かれます。
そして、それぞれ新たにもう1本を作成して2本鎖を生成するのですが、DNAが放射線を浴びた場合、何れかの塩基に傷ができ、正常なコピーができなくなることがあります。
それでも健康な人では、自己修復したり異常細胞を排除できますが、放射線が高線量になった場合、1本もしくは2本の鎖が問答無用で切断されますので、その細胞は死滅します。
こうなると、急速にがん化が進んでいきますので、広島や長崎の被爆者に早い段階から白血病が多発したのは、この影響だと考えられています。
強い紫外線には殺菌作用があります。
また、一方で、紫外線も放射線と同じ電磁波の一つであり、太陽から地球に照射されているもので、その波長の長さによってUVAやUVBなどに分類されています。
強い紫外線には殺菌作用があります。そのため、UV殺菌灯や日光消毒などに利用されており、また、適度に紫外線を浴びると、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを皮膚で合成できます。
しかし、紫外線も放射線と同じくDNAを傷つけ、正常な分裂を阻害するリスクがあります。
そのため、無防備に紫外線を浴び過ぎないように注意が必要です。
ただ、放射線と比較して紫外線のエネルギーは低く、その波長もやや長いため、放射線のように体の深部まで到達することがないことから、紫外線を直接浴びる皮膚が主に影響を受けています。
実際、紫外線による影響によって、皮膚がんを発症するということがわかっています。
このような紫外線から皮膚を守ってくれるのが、メラニン色素であり、日本人は有色人種であることから、このメラニン色素を持っています。
そのため、黒色人種ほどではないにしろ、紫外線に対して抵抗性があることから、白色人種と比較して皮膚がんを発症しにくいといわれています。
しかし、マリンスポーツや農作業を続けていて、外での活動が多いという人は、高齢になった時に長年の影響から、皮膚がんを発症するという事がありますので注意しましょう。
ただ、放射線も紫外線も、もともと地球や宇宙空間に存在していたものであるというところは化学物質とは違う点です。
したがって、放射線・紫外線共にその使用方法によっては、私たちの生活を便利にしてくれます。
しかし、過度に浴び過ぎるとがんの原因となりますので、適切な線量を把握するということが重要です。