ピロリ菌と胃がんの関係性は?



ピロリ菌 胃癌

ピロリ菌に感染していると胃がん生リスク増!!?

ピロリ菌の正式名称は「ヘリコバクター・ピロリ」であり、らせん型の細菌を意味する「ヘリコバクター」と、胃の出口付近である幽門を意味する「ピロリ」が組み合わさってできた名前です。

人間の胃の中は、強い酸性の性質を持つ胃液が分泌されています。

そのため、長い間、人間の胃の中には細菌は存在しないと考えられてきました。

しかし、1980年代になって、細菌の一種であるピロリ菌が胃炎の患者の胃の粘膜において、分離・培養されていることが発見されたため、その後、ピロリ菌について様々な研究が行われるようになりました。

そして、ピロリ菌が胃にどのような影響を及ぼし、胃の中でどのように作用しているかが徐々に明らかになってきたのです。

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長期化するとピロリ菌感染胃炎という慢性胃炎が発生します

ピロリ菌は、アルカリ性のアンモニアを産生して胃酸を中和するのですが、ピロリ菌が胃の中に長期間棲み付いていると、前述のアンモニアによって胃の粘膜が徐々に傷ついていきます。

また、ピロリ菌から胃を守ろうとする免疫反応によって、胃の粘膜に炎症が発生し、この炎症が長期化するとピロリ菌感染胃炎という慢性胃炎が発生します。

このピロリ菌感染胃炎が進行すると、次に胃潰瘍が発生するのですが、胃がんの患者の多くにこのピロリ菌感染胃炎に感染した痕跡が見られるとのことなのです。
そのため、ピロリ菌は胃がんの危険因子であると考えられています。

胃がんとピロリ菌は密接に関係しているといわれており、WHO(世界保健機関)は1994年に、ピロリ菌を「確実な発がん因子」に認定しています。

この認定は、タバコやアスベストと同レベルの発がん因子であるとWHOが認めたということになります。

また、日本においては十二指腸潰瘍、胃潰瘍、胃炎などの患者を対象に、ピロリ菌との関係性を調べる調査が行われています。

その調査によると、10年間で病状が進行して胃がんを発症した人の割合は、ピロリ菌に感染している人では2.9%(1246人中36人)であったのに対し、ピロリ菌に感染していない人では0%(280人中0人)であったと報告されています。

このように、ピロリ菌は胃がんや胃潰瘍の原因に深く関係していることが判明し、それまでのストレスやタバコから胃の病気が発症するという概念が完全に覆ったのです。
そのため、一度治っても再発してしまうため、一生の病気とされていた胃潰瘍が、ピロリ菌を除菌すればほとんど再発しなくなるという事実も報告されました。

この、ストレスがあってもピロリ菌に感染していなければ胃潰瘍等の胃の病気になりにくいということは、1995年の阪神大震災に際して行われた研究でも明らかとなっています。

今まで胃潰瘍は、胃粘膜が胃酸の攻撃に耐えきれなくなって胃壁が傷つき、胃潰瘍が発生すると考えられてきました。

しかし、この研究時に震災のストレスで潰瘍を発症した人たちのピロリ菌感染状況を調べたところ、ピロリ菌感染率が高いという結果が出ました。

この感染率は、震災のストレス下でも潰瘍を発症しなかった人たちと比較しても明らかに高かったため、ストレスが原因で潰瘍が発生するのではなく、そこにピロリ菌感染の有無が大きく影響しているということが判明したのです。

このように、ピロリ菌は胃潰瘍等の胃の病気の原因となり、胃がんのリスクを高めます。

したがって、ピロリ菌を取り除くことが胃がんの予防につながりますので、胃の調子が悪かったり、既に胃炎と診断されているという方は、まずピロリ菌の感染の有無を調べるようにしましょう。

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