病院で胃カメラ検査をしたら胃癌発覚。即入院。【体験ブログ】
私が以前仕事でお世話になった方の話です。
その方は胃癌でした。
自覚症状があった為、病院で胃カメラ検査をしたところ判明したそうです。
癌だと分かってからは入院生活を余儀なくされました。
以前は美食家で有名な何よりも食べる事が大好きだったその方が治療のキツさから殆ど食べ物を受け付けなくなってしまったそうです。
私がその方のお見舞いに行った時には、最初誰だか分からないくらい痩せ細った姿になっていました。
「食べる事が趣味みたいなものだったから、好きなものが食べられないのは辛い」
お見舞いに訪れた半年前に会ったきりでしたが、もともと少しふくよかな印象だった為その姿を見た時は本当に衝撃でした。
本人は驚く私を見て苦笑していましたが、その闘病生活の凄まじさを目の当たりにしたような気がして、正直かける言葉が見つかりませんでした。
「食べる事が趣味みたいなものだったから、好きなものが食べられないのは辛い」
と漏らしていたその方に、元気になれば好きな物も食べられますよ、なんて気軽には言えず…只々黙って話を聞いていました。
痛みや吐き気からだんだんと食べたいという欲求が消えていって、このまま何も食べられなくなった時が本当の終わりなのだ…、
と言っていたのを今でもはっきりと覚えています。
何とも言えない気持ちで話を聞いていると、その方から一枚の絵葉書を見せてもらいました。
花の絵だったと思います。
自分が書いたのだと、少し笑って私に見せながら
「今はこっちが私の趣味。」
と言っていました。
何かしないと気持ちも参ってしまうと思い、昔描いていた絵をもう一度趣味として描く事にしたそうです。
昔は油絵を描いていたらしいのですが、病院では難しいので病室に小さなスケッチブックと水彩画の道具を持ち込んで時間がある時に描いているのだ、と教えてくれました。
病室から見える風景やお見舞いでもらった花や果物を描いていたそうです。
「絵を描いている時はいくらか気分がいい、これが唯一の楽しみ」
その言葉を聞いて、私は大事な事を教えられた気がしました。
どんなに辛い状況にあっても、楽しいことや幸せな事を見つける事が出来れば、それはその人にとって大きな支えになります。
ですが、それはとても難しい事だとも思います。
苦しい事が多過ぎると些細な幸せや楽しみは見逃してしまいがちです。
その方のように状況に悲観するばかりでなく、気持ちを切り替えて自分の好きな事を見つけ、それを実践する所まで持っていくのにどれだけの労力が必要なのか…、
そう考えるとその方がどれだけ凄い事をしているのか実感します。
それでも、楽しみを見つければそれが頑張る為の活力になるのは確かです。
癌で闘病中の方にも何か夢中になれるような事が見つかるように…そう思います。