慢性白血病とは?特徴や症状は?
日本では、全「白血病」の発症率は年間に人口10万人あたり約6人程度
血液内の赤血球・白血球・血小板等の血液細胞は、骨の中にある「骨髄」によって作られ、そこには全ての血液細胞のもととなる「造血幹細胞」があります。
「白血病」では、この「造血幹細胞」自体が癌化してしまい、血液内に異常な血液細胞が増加することによって、正常な血液細胞が減少します。
正常な血液の減少によって、貧血・発熱・あざ・出血等の症状が現れ、また、免疫力の低下に伴い、細菌やウイルスに感染しやすい状態となり、肺炎、敗血症等の感染症を発症してしまい、死に至ってしまうケースもあります。
癌がこのように骨髄系の「造血幹細胞」で発生すれば「骨髄性白血病」、癌がリンパ系の「造血幹細胞」で発生した場合は「リンパ性白血病」と分類され、それぞれ「慢性」と「急性」に分けられます。
遺伝子異常が積み重なる時間を十分に経た高齢者に発症が多い
日本では、全「白血病」の発症率は年間に人口10万人あたり約6人程度となっています。(1997年の統計)
ただ、高齢者が増えた2005年の統計では、人口10万人あたり約7.1人の罹患率となっており、遺伝子異常が積み重なる時間を十分に経た高齢者に発症が多いという状況を示しています。
また、日本の「白血病」では、白血病全体の約80%を「骨髄性白血病」が占めており、「リンパ性白血病」は残りの約20%を占めている状況で、「慢性」と「急性」では、「急性」が約80%と大半を占めています。
「慢性骨髄性白血病」では、急性の白血病のようにはっきりとした症状が、初期の段階では現れないケースが多いので自覚することが難しいという特徴があります。
したがって、健康診断等で白血球増加を指摘されて、発見するというケースもしばしば起こります。
そんな中で比較的自覚できる症状としては、皮膚のかゆみ、体重減少、全身のだるさ等があり、その他では、脾臓や肝臓の腫大による腹部の膨満感があり、さらに、胃潰瘍を併発するというケースもあります。
病期が進行すると、発熱・出血傾向・高度の貧血等の症状が出ます。
「慢性骨髄性白血病」は発症から数年後に必ず急性に移行する、急性転化を起こすため、このような症状が出た場合は早急な対応が必要となります。
「慢性リンパ性白血病」は、病気の進行がゆっくりしているため、その症状が自覚しにくくなっています。
初期にあらわれる症状としては、リンパ節の腫れがありますが、痛みを伴わないというのが特徴的です。
病気がある程度進行していくと、食欲や免疫力が低下するため、微熱・寝汗・体重減少・全身倦怠感等の症状があらわれることがあります。
ただ、「慢性リンパ性白血病」は前述の通り、「慢性骨髄性白血病」等の他の白血病と比較して、病気の進行が非常に遅いため、症状が安定していて、病状に変化がみられない場合には、経過観察のみとなり、治療が行われないケースもあります。
また、慢性リンパ性白血病」は、「慢性骨髄性白血病」のように急性転化することはほとんどないようです。
「白血病」全体における5年生存率は??
「白血病」全体における5年生存率は、ステージⅠで約65~85%、ステージⅡで約40~60%、ステージⅢで約25~40%、ステージⅣで約10%以下となっており、生存率の数値の幅が大きいのは「白血病」それぞれの種類や治療法等によって生存率が大きく変わることによります。
したがって、あくまで目安となりますが、「慢性白血病」では、ステージⅠ・Ⅱ期で約5~10年、ステージⅢ・Ⅳ期で約2~3年が生存期間であるといわれており、「造血幹細胞」移植による治療を行えば、生存期間を伸ばせるようです。
ただ、「慢性骨髄性白血病」が急性転化した場合は、それまで効果のあった抗がん剤の効果が全く効かなくなるので、約90%の患者が3~6ヶ月以内に死亡するといわれています。
早期発見による素早い対応が重要
「慢性白血病」は初動の対応が遅れても、すぐに生命を脅かすようなことはない病気ですが、ステージが進んだり、急性転化したりすると、ほとんど助からなくなってしまいます。
したがって、早期発見による素早い対応が重要となりますが、「白血病」は他の癌等と比較しても、さらに自覚症状がない病気となっています。
ただ、「白血病」の場合、血液検査を受ければ、様々な数値の上下によって、その異常に気付くことができるので、定期的に血液検査を受けることが予防のために大切だと思われます。