卵巣がんの手術費用、時間、入院期間は?

87人に1人の割合で「卵巣がん」を罹患しているとのデータも。
卵巣とは、子宮の両側にそれぞれ1つずつある、直径2~3cmも小さな臓器であり、卵胞を育て、卵子として放出し、女性ホルモンを分泌する働きを持っています。
卵巣は腫瘍が発生しやすい臓器ですが、その腫瘍の約85%は良性です。
しかし、途中から悪性に変化する腫瘍もあり、そのような悪性腫瘍のことを「卵巣がん」と呼んでいます。
「卵巣がん」はもともと欧米女性に多いがんでしたが、近年は日本女性の患者数も年々増加しており、2008年のデータでは87人に1人の割合で「卵巣がん」を罹患しているとのデータがあります。
自覚症状が出ないため、早期判断がしにくい「卵巣がん」
「卵巣がん」はある程度がんが進行し、がんが腫大するとか腹水がたまる等までがんが蔓延しないと、自覚症状が出ないため、早期判断がしにくいがんであり、また、「卵巣がん」と良性の卵巣腫瘍との識別が難しいため、手術によって卵巣を摘出・検査してから初めて「卵巣がん」と診断されるケースも多くなっています。
したがって、「卵巣がん」の手術は他のがんと違い、治療目的の腫瘍摘出と同時に、がんの進行度や悪性度を判断する目的で行われます。
また、卵巣の腫瘍が良性でる場合、その大きさによっては経過観察となりますが、8cm以上になると手術が必要となります。
最近では「腹腔鏡手術」がメイン
「卵巣がん」の手術は、最近では「腹腔鏡手術」という、お腹に3~4箇所の小さな穴を開け、炭酸ガスを入れてお腹にスペースを作り、そこからカメラや器具を入れて手術を行う方法が確立されてきていますが、一般的な手術は「開腹手術」となっています。
「卵巣がん」を早期に発見できれば、卵巣の摘出だけですみますが、ほとんどの場合、リンパ節や子宮まで摘出します。
「卵巣の切除」の場合
「卵巣の切除」では、両側の卵巣、卵管、子宮を全て切除する、または片側の卵巣や卵管を切除するという手術方法があり、片側の卵巣を残す保存手術であれば、後に妊娠することも可能となります。
ただし、「卵巣がん」のタイプや大きさによって実施できない場合もあり、年齢が若くないと残せなかったりもするので、誰でも保存手術を受けられるということではありません。
胃から垂れ下がって、腹部を覆っている大きな網のような脂肪組織を「大網」といいますが、この「大網」には「卵巣がん」の転移が最もよく発生し、なくても機能上の問題がない組織なので、「卵巣がん」の手術では切除されるのが一般的となっています。
その他、「卵巣がん」の転移が発生しやすい組織として後腹膜リンパ節があるため、「卵巣がん」の手術ではこのリンパ節を周囲の脂肪組織ごとすべて除去する、リンパ節郭清が行われます。後腹膜とは大動脈、下大動脈、腎臓、尿管等がある、腹腔の背中側にある腹膜と、背骨や背筋との間の領域のことをいいます。
合併切除する場合もあります。
さらに、「卵巣がん」の手術時には、大腸、小腸、脾臓等を一緒に切除し、腹腔内に転移したがんの全てを切除するように合併切除する場合もあります。
「卵巣がん」の手術費用は、「腹腔鏡手術」・「開腹手術」ともに約20万円(自己負担額3割)ほどが相場となっているようです。
ただ、これはあくまでも目安の金額であり、「卵巣がん」のタイプや進行度、患者の状態等によって手術方法が変わるため、手術費用も変わってくるので注意が必要です。
入院期間や治療費は・・・?
また、入院期間は「開腹手術」で約10日間程度とされていますが、これも目安であり、患者の状況等によっては長引く可能性もあり、その時は費用も多くなります。
また、手術が複数回行われる場合には、2回目以降は必然的に切除する部分が少なくなるため、費用も安くなり約10万円台になることもあるようです。
ただ、それでも高額な費用ではありますが、高額療養費制度を使用すれば、年収にもよりますが手術費用を抑えることが可能なので、活用するようにしましょう。