細胞増殖を抑える薬がシタラビン

シタラビン(キロサイド)とは、抗がん剤の1つで、代謝拮抗薬の中でもピリミジン拮抗薬に分類されています。
シタラビン(キロサイド)は、日本新薬から注射薬として販売されており、キロサイドはその商品名となっています。

シタラビンの効果・効能は?

がん細胞は無秩序な細胞増殖を行い、細胞分裂を繰り返し、他の臓器へ転移したり、正常な細胞へ侵入していったりします。
しかし、正常な細胞はがん細胞のような増殖は行わず、傷を負った時等の必要な場合に応じて再び細胞分裂を行うように制御されています。

このような細胞分裂の制御機能を、がん細胞は持っていませんので、多くの抗がん剤は細胞分裂速度の速い細胞のみに毒性を示すという作用のメカニズムによって、がんへの治療効果を発揮します。
DNAのコピーを行わないと細胞増殖はできないため、DNA合成ができなければ自然に細胞分裂もストップすることになります。

すなわち、抗がんの治療効果を得るためには、DNA合成を阻害する薬を使用すればいいということになります。
DNAやRNAが遺伝情報としては有名ですが、その原料としてはチミンやシトシン、ウラシルと呼ばれる物質があり、そして、これらの原料にはピリミジン骨格と呼ばれている化学構造が含まれています。

そのため、このようなピリミジン骨格に似た構造を持つ化合物を投与すれば、正規の原料と誤解してDNAの合成過程の中へ化合物が取り込まれることになり、正規の原料ではない不純物が取り込まれたことから、DNAの合成がストップしてしまいます。このような働きによって、細胞増殖を抑える薬がシタラビンとなっています。

シタラビンは白血病治療薬として1971年に発売されて以来、急性白血病の中心的な治療薬として活用されてきました。

また、シタラビンは、胃がん、膵がん、結腸がん、肝がん等の消化器がんや、乳がん、肺がん、子宮がん等の女性性器がん等の固形がんに他の抗がん剤との併用で使用されるということもあります。
さらに膀胱腫瘍に対する膀胱への大量注入療法にも活用される場合があります。

シタラビンは急性骨髄性白血病の治療において、第一選択薬となっている抗がん剤であり、若年者から高齢者まで、寛解導入から維持投与まで使用されている薬剤です。
そのレジメンは、シタラビンにアントラサイクリン系抗生物質抗がん剤である、ダウノルビシンやイダルビシンを組み合わせたものであり、これらによる寛解導入療法によって良好な結果が得られた場合においては、再発予防の地固め療法として、シタラビンの大量療法が行われます。

もしこれらのレジメンによる治療法で効果が得られない場合では、治療を継続はしますが、その後は、造血幹細胞移植も視野に入れた治療を検討することになります。

シタラビンを使用した際の代表的な副作用は?

シタラビンを使用した際の代表的な副作用としては、重篤な骨髄抑制があるため、使用時には感染症等に十分に気をつける必要があります。
また、シタラビンによる治療初期においては、高確率で嘔吐や吐き気の症状が発生するため、これらの症状の予防として、治療を行う前に強力な制吐剤を同時に投与するようになります。

その他の副作用の症状としては、抗がん剤を投与した際の特有の副作用である、発疹や全身倦怠感、口内炎や下痢、脱毛といった症状も多く発生しています。
また、急性呼吸窮迫症候群であるARDSや間質性肺炎、腸炎といった重篤な副作用も、稀ではありますが発生することがあります。

そのため、シタラビンによる治療中では、経過観察を慎重に行うことが重要となります

。さらにシタラビンの大量療法においては、中枢神経の異常や角膜炎という症状が発生することもあります。
そして、シタラビン症候群という、胸痛や皮疹、筋肉痛や発熱という症状が発生する副作用もあります。

このような副作用はシタラビンの投与開始後6時間~数日で発生し、大量療法では副作用の頻度が増しているため、60歳代以上の患者におけるシタラビンの有効性は証明されていないというのが現状となっています。
大量療法を選択する際には、このような現状を踏まえ、担当の医師とよく相談をして、副作用等のことを良く理解したうえでシタラビンによる治療を開始するようにしましょう。

【まとめ一覧】代謝拮抗剤

メトトレキサート(メソトレキセート)
>>急性および慢性白血病等に使用される代謝拮抗剤

メルカプトプリン(ロイケリン)
>>急急性リンパ性白血病の寛解後に使われる代謝拮抗剤

ペメトレキセド(アリムタ)
>>分子構造のよく似た葉酸の代謝を阻害することで細胞に損害を与える葉酸代謝拮抗剤

ペントスタチン(コホリン)
>>多くのリンパ系の腫瘍に効果がある代謝拮抗剤

フルダラビン(フルダラ)
>>多く血病やリンパ腫等の血液腫瘍の治療に用いられる代謝拮抗剤

フルオロウラシル(5-FU、カルゾナール、ベンナン、ルナコール、ルナボン)
>>多主に大腸がんの化学療法において中心的な役割を果たす抗がん剤

ヒドロキシカルバミド(ハイドレア)
>>白血病やメラノーマの治療に使用されてきた抗がん剤

ネララビン(アラノンジー)
>>再発または難治性のT細胞急性リンパ性白血病に使用されてきた抗がん剤

ドキシフルリジン(フルツロン)
>>日本では、胃がん、結腸・直腸がん、乳がんの治療薬として1987年に承認された抗がん剤

テガフール・ウラシル(ユーエフティ)
>>頭頸部がんや消化器系のがんに広く使用されている抗がん剤

テガフール(アチロン、アフトフール、テフシール、フトラフール、ルナシン)
>>代謝拮抗剤に分類されるフルオロウラシル系の抗がん剤

シタラビンオクホスファート(スタラシド)
>>骨髄性異形成症候群や急性骨髄性白血病に対する治療に適した抗がん剤

シタラビン(キロサイド)
>>代謝拮抗薬の中でもピリミジン拮抗薬に分類される抗がん剤

クラドリビン(ロイスタチン)
>>リンパ系腫瘍に治療効果のある抗がん剤

カルモフール(ミフロール)
>>大腸がん、胃がん、乳がんに対する有効性がある代謝拮抗薬

エノシタビン(サンラビン)
>>急性白血病の治療に使用される代謝拮抗薬

ゲムシタビン(ジェムザール)
>>がん細胞を自死(アポトーシス)に導く抗がん剤

テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(TS-1)
>>胃がん、大腸がん(結腸・直腸がん)、頭頸部がん、非小細胞肺がん、乳がん、膵がん、胆道がんと幅広いがんに対して適応となっている薬剤




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