胆道がん検査の費用や種類、方法は?
日本人は世界的にみても「胆道がん」を発症しやすい民族
人間の体内の肝臓と十二指腸の間にある管と袋のことを胆道といい、その管のことを胆管、袋のことを胆のうといいます。
十二指腸で分泌される、胆汁と呼ばれる消化液が肝臓でつくられますが、この胆汁が通るところが胆管であり、その胆汁を一時的に蓄えている袋が胆のうとなっています。
そして、この胆管に発生するがんを「胆管がん」、胆のうに発生するがんを「胆のうがん」と呼び、この「胆管がん」と「胆のうがん」を合わせて、「胆道がん」と呼んでいます。
日本で「胆道がん」は、年間約1万8000人が罹患しており、世界的にみても「胆道がん」を発症しやすい民族といえます。
50歳以上で多く発症する胆道癌
さらに「胆道がん」は50歳以上で多く発症するので、これからのさらなる社会の高齢化により、罹患者数が増加すると予測されています。
また、「胆道がん」による死亡者は年間約1万7000人となっており、罹患者数と死亡者数があまり変わらない数字となっています。
これは、「胆道がん」に初期症状がほとんどなく、がんの早期発見が難しいため、発見した時にはがんが進行している状態になってしまっているということが、死亡率を高めていると考えられます。
そのため、定期的な検診を受けることが、「胆道がん」の早期発見には重要となります。
最も基本的な検査が「腹部超音波検査(エコー検査)」
「胆道がん」の検査で最も基本的な検査が「腹部超音波検査(エコー検査)」です。
これは腹部の表面にプローブという装置を直接あてて、体内の臓器に向けて超音波を発射し、反射してきた超音波を検出して映像化する検査です。
この「腹部超音波検査」は被検者の苦痛が少なく、何度でも行えるという利点があるので、胆のう疾患のスクリーニング検査として最適とされています。
この検査では胆道にできたがんを映し出すだけではなく、胆管の閉塞具合等も調べることができますので、胆道の検診や、胆石や胆のうポリープがある人の経過観察等にも活用されています。
この検査の自己負担額は約1,600円程度となっています(3割負担の場合)。
「超音波内視鏡検査(EUS検査)」という検査って?
超音波検査には「超音波内視鏡検査(EUS検査)」という検査もあります。
これは胃や十二指腸に、先端に超音波装置(プローブ)が付いている内視鏡を挿入し、胆のうに腸壁や胃壁越しに超音波(エコー)を当てて、反射してきた超音波を検出して映像化する検査となっています。
体外からの超音波検査という従来の件差よりもさらに鮮明な画像が得られ、がんの腫瘍の深さ・広がり・腫瘍の有無等を細かく調べることができます。
その後は「CT・MRI検査」で精密検査
このような超音波検査によって、疑わしい病変が発見された場合には「CT・MRI検査」という精密検査を受けることになります。
「CT検査」はコンピューター断層撮影検査ともいい、X線を身体の外側から照射し、身体の組織に吸収されたX線量をコンピューターで処理して、体内を輪切りにしたような断層像を描く画像検査です。「
MRI検査」は磁気共鳴画像検査ともいい、身体に強い電磁波を作用させ、それによって電子が共鳴して放出したエネルギーをコンピューターで処理し、画像に変換するという検査です。
「CT検査」、「MRI検査」共に「胆道がん」の周辺臓器への浸潤や転移の有無等を確認することができます。
ちなみに「CT検査」の自己負担額は約4,500円程度となっています(3割負担、単純撮影の場合)。
自覚症状が出ないため、定期的な超音波検査を受けることが必要
「胆道がん」はかなり進行しないと自覚症状が出ないため、定期的な超音波検査を受けることが必要ですが、その補助的検査として血液検査による、肝機能検査があります。
胆管や胆のうに出来たがんが大きくなると、胆管の炎症や胆汁のうっ滞、黄疸等が起こります。
その影響によって逆流した胆汁が血液中に入ってしまうことでALP(アルカリホスファターゼ)、Bil(血清ビリルビン)が異常高値となり、血液検査の結果に現れます。
ただ、「胆のうがん」の初期では血液検査で異常は出ず、がんが進行した場合に異常が出ることがあるというだけです。
したがって、がんの早期発見を目指す際には血液検査はあくまで補助検査と捉え、超音波検査等を必ず定期的に受けるようにしましょう。