抗がん剤 治療 副作用

腫瘍の増殖や転移を抑えたりするベバシズマブ(アバスチン)

ベバシズマブ(アバスチン)とは、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)に対するモノクローナル抗体であり、VEGFの働きを阻害して血管新生を抑えたり、腫瘍の増殖や転移を抑えたりする作用を持ちます。

ベバシズマブは、抗がん剤として使用されているほか、糖尿病性網膜症や加齢黄斑変性の治療薬としても期待されている、分子標的治療薬の1つです。

ベバシズマブを用いた製剤はスイスのロシュ社と、その子会社のジェネンテック社によって製造されており、アバスチンはその商品名となります。
ただ、米国においては、それまでアバスチンに認められていた乳がん治療への適応が、「高血圧や出血等の副作用がある一方で、明確な治療効果が確認されない」として、2011年11月に承認取り消しとなってしまいました。

効果・効能は?

ベバシズマブは単独で使用されるということはなく、「FOLFOX療法」や「FOLFIRI療法」等の複数の抗がん剤の併用療法に加える形で使用されるのが特徴となっています。
「FOLFOX療法」は進行がんの治療や、がんの手術後にその再発を予防するための術後補助化学療法として実施されます。

「FOLFOX療法」は、基本はフルオロウラシル(5-FU)、レボホリナート(ロイコボリン、アイソボリン)、オキサリプラチン(エルプラット)の3薬剤を組み合わせた療法です。
そして、そこに分子標的薬のベバシズマブを追加して治療を行うということが「FOLFOX療法」では多くなっています。

「FOLFOX療法」は、点滴による治療法であり、2日間の期間をかけて抗がん剤を投与します。

しかし、病院での点滴は2時間程度で終わり、残りの点滴に関しては、抗がん剤が入った携帯用のポンプを使用することによって、自宅で残りを投与するということが可能となっています。

「FOLFOX療法」では、この点滴による治療法を2週間に1回程度の頻度で受けるようになり、術後補助化学療法としてこの「FOLFOX療法」を実施する場合においては、約半年間にわたってこの治療を継続するようになります。

「FOLFOX療法」における副作用は?

この「FOLFOX療法」における副作用としては、貧血、血小板や白血球の減少、肝機能障害等が生じることがありますが、食欲低下や脱毛等の症状はあまりみられません。

また、末梢神経障害のために手や足に力が入らなくなったり、手足がしびれたりする等の症状が「FOLFOX療法」を受けた多くの人に出ることがあります。
さらに、「FOLFOX療法」の治療を続けていくと、身体に薬剤が溜まっていくため、治療を始めた頃よりも徐々に副作用が強く現れるようになります。

そのため、副作用の症状が強くみられるようになった場合は、薬剤の量を減量したり治療を休んだりすることが必要となります。

「FOLFIRI療法」は「FOLFOX療法」と同じく、進行がんの治療や、がんの手術後にその再発を予防するための術後補助化学療法として実施されています。
「FOLFIRI療法」では、フルオロウラシル、レボホリナート、イリノカテンの3薬剤を組み合わせる治療法となっており、これに「FOLFOX療法」と同じく、ベバシズマブを追加して治療を行うというケースが多くなっています。

「FOLFIRI療法」の投与方法は「FOLFOX療法」と同様であり、副作用としては、下痢、白血球の減少等がみられます。

「FOLFOX療法」とは違い、「FOLFIRI療法」の副作用では、食欲低下や脱毛という症状がみられることもあります。

ベバシズマブは、主に大腸がんと非小細胞肺がん、乳がんの治療に使われていますが、2013年、新たにベバシズマブの保険適用が認められた病気として、悪性神経膠腫(グリオーマ)があります。

この悪性神経膠腫に対してベバシズマブを使用したところ、生存期間の延長が確認されたことから、新たな治療薬として承認され、活用されるようになりました。

ベバシズマブは、上記の病気以外にも、海外では腎臓がんや卵巣がん等において承認を受けていますので、今後、日本においても適用範囲が拡大する可能性のある抗がん剤だといえると思います。

【まとめ】分子標的薬一覧

リツキシマブ(リツキサン)
>>世界でベストセラーの抗がん剤

トラスツズマブ(ハーセプチン)
>>HER2蛋白に特異的に結合する事で抗腫瘍効果を発揮

タミバロテン(アムノレイク)
>>耐性急性前骨髄球性白血病に用いられる経口剤

ダサチニブ(スプリセル)
>>複数の細胞増殖に関係する酵素の働きを阻害する

トレチノイン(ベサノイド)
>>人間の体内に入ると細胞の遺伝子核に入り込む

セツキシマブ(アービタックス)
>>転移性大腸がん、EGFRの発現を伴わない頭頸部がんの治療

ゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ)
>>抗体薬物複合体の1つで、主に急性骨髄性白血病の治療に使用

ゲフィチニブ(イレッサ)
>>手術不能となってしまった非小細胞肺がんに対する治療薬

イブリツモマブチウキセタン(ゼヴァリン)
>>骨髄増殖性疾患等に使われる分子標的薬

ソラフェニブ(ネクサバール)
>>腎がん・肝細胞がんの治療に用いられる分子標的薬

エルロチニブ(タルセバ)
>>膵臓がんもしくは、切除不能又は再発した非小細胞肺がんに用いる分子標的薬

ボルテゾミブ(ベルケイド)
>>形質細胞性骨髄腫や多発性骨髄腫の治療に使用される分子標的薬

イマチニブ(グリベック)
>>Bcr-Ablを標的とした分子標的治療薬

エベロリムス(アフィニトール)
>>免疫抑制剤としての使用及び、腎細胞がん治療薬としても有用な分子標的薬

ラパチニブ(タイケルブ)
>>手術不能乳がんまたは再発乳がんに対し使用される分子標的薬




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