抗がん剤

形質細胞性骨髄腫や多発性骨髄腫の治療に使用されるボルテゾミブ

ボルテゾミブ(ベルケイド)とは、武田薬品工業の子会社である米国のミレニアム製薬社が開発した分子標的治療薬の1つで、ベルケイドはその商品名となります。
ボルテゾミブ(ベルケイド)は、プロテアソーム阻害薬とも呼ばれており、これまでにない作用のメカニズムを持っています。

ボルテゾミブ(ベルケイド)は、形質細胞性骨髄腫や多発性骨髄腫の治療に使用されています。

ボルテゾミブ(ベルケイド)の効果・効能は?

ボルテゾミブが阻害する「プロテアソーム」とは酵素のことで、さまざまなタンパク質を分解します。

がん細胞が増殖する過程においては、多くのタンパク質が関わっているとされており、これらのタンパク質が役目を終えるとこの「プロテアソーム」のよって分解され、これが1つのシグナルとなって、新たなるがん細胞の増殖のための細胞分裂につながると考えられています。

そのため、このボルテゾミブによって「プロテアソーム」の働きが阻害されると、前述のタンパク質が分解されないため、がん細胞の細胞周期が乱され、増殖を防ぐことができます。

特に多発性骨髄腫においては、プロテアソーム阻害薬の感受性が高いことが知られているため、ボルテゾミブが保険適応となっており、再発してしまった多発性骨髄腫や難治性の多発性骨髄腫の2次治療として使用されたり、初回の治療としてもボルテゾミブが使われています。

ボルテゾミブは注射によって投与されるため、通院での治療が可能となっており、ボルテゾミブ単剤での投与のほか、デキサメタゾンという強力な抗炎症作用をもつ薬剤と併用投与されるBD療法に使用されるということもあります。

多発性骨髄腫の抗がん剤治療について、これまではMP療法が中心でした。

しかし、自家造血幹細胞移植が多発性骨髄腫の標準的治療として実施されるようになると、その移植対象者に関してはVAD療法による初回治療が行われるようになりました。

このVAD療法と大量デカトロン単独療法を比較すると、その有効性に関しては、ほぼ同等であるとの評価がされています。
海外においては、再発多発性骨髄腫の669の症例において、大量デカトロンとの比較試験(APEX試験)が行われました。

その試験における評価可能な627の症例において、デカトロン群の奏効率が18%(その中での完全奏効率1%未満)であったのに対し、ボルテゾミブ群の奏効率は38%(その中での完全奏効率6%)と高くなっており、無憎悪生存期間も明らかに延長されたという結果が出ています。

さらに、日本で実施された試験においても、ボルテゾミブ群の奏効率は30%という結果が出たため、多発性骨髄腫に対して初回の治療からのボルテゾミブの使用も承認されています。

また、自家造血幹細胞移植の適応にならない多発性骨髄腫の682の症例に対して、MP療法とVMP療法(MP+ボルテゾミブ)の比較試験が世界的に行われました。

それによると、これらの症例における無憎悪生存期間はVMP群では24ヶ月と、MP群の16.6ヶ月に対して、明らかな延長が認められ、完全奏効率においてもVMP群が30%、MP群が4%と明らかにVMP群が高くなっているという結果が出ました。

そして、この試験時の研究においては、腎障害を併発しているという症例においても、VMP群の有効性は劣ることがないという結果も出ています。

また、BD療法(ベルケイド(ボルテゾミブ)+デキサメタゾン)は自家造血幹細胞移植の適応になる年齢層に対して、それまで標準的とされてきたVAD療法よりも、奏効率・完全奏効率において優れているという報告もされています。

気になる副作用は?

ボルテゾミブの副作用としては、注射後にすぐに現れるとされている一過性の発熱や、嘔吐や下痢といった消化器症状が現れることがあります。
また、末梢神経障害という手足のふるえやしびれが発生しやすいという点もボルテゾミブの副作用の特徴となっており、その状態によってはボルテゾミブの投与量を減量するという処置が取られることもあります。

さらに、ボルテゾミブは骨髄に作用する薬であるため、骨髄抑制という白血球や血小板などが減少する副作用が発生することもあります。

この骨髄抑制が発生した場合、感染症にかかりやすくなってしまうため、身体を清潔に保って細菌やウイルスを避けるようにしたり、場合によってはそのために薬を使用するという事もあります。

その他、重篤な副作用として問質性肺炎があり、この場合、死につながるという危険性もあります。

そのため、ボルテゾミブでの治療中に、呼吸困難や息切れ等の症状が発生した場合は、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。

【まとめ】分子標的薬一覧

リツキシマブ(リツキサン)
>>世界でベストセラーの抗がん剤

トラスツズマブ(ハーセプチン)
>>HER2蛋白に特異的に結合する事で抗腫瘍効果を発揮

タミバロテン(アムノレイク)
>>耐性急性前骨髄球性白血病に用いられる経口剤

ダサチニブ(スプリセル)
>>複数の細胞増殖に関係する酵素の働きを阻害する

トレチノイン(ベサノイド)
>>人間の体内に入ると細胞の遺伝子核に入り込む

セツキシマブ(アービタックス)
>>転移性大腸がん、EGFRの発現を伴わない頭頸部がんの治療

ゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ)
>>抗体薬物複合体の1つで、主に急性骨髄性白血病の治療に使用

ゲフィチニブ(イレッサ)
>>手術不能となってしまった非小細胞肺がんに対する治療薬

イブリツモマブチウキセタン(ゼヴァリン)
>>骨髄増殖性疾患等に使われる分子標的薬

ソラフェニブ(ネクサバール)
>>腎がん・肝細胞がんの治療に用いられる分子標的薬

エルロチニブ(タルセバ)
>>膵臓がんもしくは、切除不能又は再発した非小細胞肺がんに用いる分子標的薬

ボルテゾミブ(ベルケイド)
>>形質細胞性骨髄腫や多発性骨髄腫の治療に使用される分子標的薬

イマチニブ(グリベック)
>>Bcr-Ablを標的とした分子標的治療薬

エベロリムス(アフィニトール)
>>免疫抑制剤としての使用及び、腎細胞がん治療薬としても有用な分子標的薬

ラパチニブ(タイケルブ)
>>手術不能乳がんまたは再発乳がんに対し使用される分子標的薬




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