睡眠は免疫力と深い関係にあります
昨今は消費税の増税、原発問題、政局の混乱等、様々な社会不安が拡がっているため、将来を不安視する人が増えているようです。
そのため、健康に欠かせない「睡眠」にも大きな影響を及ぼしているという結果が、2012年11月に全国の20~50代の男女800名に行われた睡眠に関する調査で出ています。
この調査では、自分の将来に不安を感じているという人が調査全体の約8割にも上っており、また、そのうちの約6割の人が睡眠に満足していないということもわかりました。
さらに、将来に対する不安の気持ちが強いほど、睡眠満足度が低下する傾向にあるようです。
そのため、世相不安がそのまま睡眠不安につながっているということも明らかとなりました。
免疫機能は「細胞性免疫」と「液性免疫」の2つに大きく分類されます。
まず、免疫機能は「細胞性免疫」と「液性免疫」の2つに大きく分類されます。
睡眠に問題があった場合、この2つの免疫機能が様々な影響を受けることになります。
細胞性免疫とは、貪食機能と呼ばれる、異物を感知して取り込んだりする機能と、体内に侵入した細菌を攻撃したりする機能を持つ免疫細胞による防御機構のことです。
この細胞性免疫は、不眠症や慢性的な睡眠不足によって、その働きが低下するという事が既に明らかになっています。
その例として、NK(ナチュラルキラー)細胞は真っ先に現場に駆け付けて対応する免疫細胞ですが、不眠や慢性不眠症が多いうつ病患者においては、このNK細胞の貪食機能が低下するということがわかっています。
睡眠不足はこの液性免疫機能も低下させてしまいます。
次に、液性免疫とは補体や抗体などによる防御機構のことですが、睡眠不足はこの液性免疫機能も低下させてしまいます。
補体や抗体とは、免疫細胞が産生するタンパク質です。
これらは、主にリンパ液や血液などに含まれていることから、液性免疫と呼ばれています。
抗体には、異物やウイルスに結合して、毒性や感染力を失わせたり、細菌に結合して細胞性免疫を促進したりする作用を持っています。
そして、補体はこのような抗体の働きを増強するという作用を持っています。
例えば、インフルエンザワクチンを接種した場合、認知症やがん患者の介護を行っている方は、このワクチン接種後に抗体がなかなか生成されないという研究報告もあるとのことです。
これはトイレ介助等によって、夜中に何度も起こされることで介護者は睡眠不足であるということが関係しているといわれています。
また、睡眠時には成長ホルモンが分泌されます。
この成長ホルモンは子供だけでなく、大人にとっても重要な役割を果たしており、古くなった細胞を作り替えたり、免疫細胞を生成したりという作用を持っています。
このように成長ホルモンの分泌が十分に行われることが、免疫物質の生成に重要となります。
この成長ホルモンは、眠り始めの最初の3時間で大量に分泌されるのですが、それ以降は分泌されません。
そのため、ノンレム睡眠でもっとも眠りの深い「深睡眠」をその眠り始めの時間にとることが、成長ホルモンの十分な分泌のために重要となります。
この「深睡眠」を取るためには就寝前に体温をしっかりと上げておくことが重要だそうです。
体温を上げると体の表面から放熱されるため、身体の深部体温が下がり、心地よく眠りやすくなります。
したがって、入浴等で就寝前に十分に体を温めておくようしましょう。